第21話 ハプニング満載の遊園地

【森林公園入り口】

 今日は約束の遊園地へ行く日だ。快晴に恵まれた朝。皆が続々と公園へと集まって来ている。

「みんなおはよう。集まってきたみたいだね」

 集合時刻は朝の8時。5分前になり鏡太が皆に挨拶する。

「今日は僕の母さんが引率、保護者代わりをするからよろしく頼むよ。初顔合わせもあるから自己紹介しておこうか」


「陽子で~す。鏡ちゃんの母で~す。みんな今日はいっぱい遊ぼうね」

 陽子は白いブラウスに短い赤のタイトスカート。皆にウインクして可愛らしく振舞っている。

「お兄ちゃんの妹の恵だよ~。遊園地たのしみ~」

 恵は水色のワンピース。可愛いウサギのバッグをたすき掛けしている。

「琴川紫音です。宜しくお願いします」

 紫音は黄色のワンピース。片手にはランチ用バスケット。

「ルビーよ。よろしく」

 ルビーはゴスロリのままだ。大鎌を持ちいつものルビーらしい。 

「青沼アリサですわ。今日はよろしくですわ」

 アリサは白い帽子をかぶり、避暑地へ遊びに行くお嬢様て様相をしている。

「ごめ~ん鏡君、遅くなった~。皆さん圭介の姉の岬です。宜しくお願いします」

 岬は上はTシャツで巨乳で胸のラインが丸わかり。下はデニムの短いスカート。

「姉貴~朝からグーで起こさないでくれよ。あっ俺、愛田圭介です。よろしく」

 圭介はポロシャツに下は言わずと知れたフンドシ。

「ノヴァなのよ。よろしくなのよ」

 ノヴァはブラウスと下着を見せて迷惑をかけない為にキュロット。

「あとはセラさんだけかな?」

「すみません遅くなりました~。今日はよろしくです~」

 セラは白いワンピース。旅行用トランクを持ってきている。

「セラさん凄い荷物だね。旅行にでもいくみたいだ。」

「あれれ~旅行ではないんですか~」「遊園地ですよ。遠出ではありますけど」

(この人は保護者いないと危ないな)


「ねえ鏡太。さっきから気になってるけど、なんでソイツもいるのよ」

 ルビーは圭介を指差しながら不服なようだ。

「ごめん。あとからまた増えちゃった。テヘッ」

「ぶっ殺すわよ!まあ呪いも発動中だし、ウケるからいいけど。クックッ」

「なんだと!このチッパイ!早く呪い解けよ!」

「誰がチッパイよ!もう絶対解いてあげないからね!いい気味だわ」

「やはりこうなるのか(ハア~)」

「圭介もルビーも喧嘩はやめて今日は楽しく行こうよ。さあ速くしないとバスがやってくるよ。僕を含めて10名全員集まったし出発しよう」


 バスに揺られること1時間。鏡太達は遊園地へ到着した。

「ここか~。ホントに禁止区域の壁の近くにあるんだね」

「間近で見ると迫力ありますね。頂上が見えませんよ」

 初めて見る壁の高さに、一同は呆然ぼうぜんと見上げていた。


「さあさあ。中へ行きましょう。案内板見ると休憩広場あるからそこで自由行動にしましょうね」

『は~い』陽子の引率でチケットを買い、入場ゲートを通過していく一同。

 入場しようとするノヴァを引き止める係員。

「お嬢ちゃん。これ大人券だけど間違えたのかな?

「子供じゃないわよ!18歳に失礼なのよ!」

 係員は禁忌タブーにふれた。


 休憩広場までやってきた一同に陽子が予定を言い渡す。

「さて、自由行動でいいわよ。ただしお昼はここに集合してね」

「はーい」

 皆は返事をすると散り散りになった。

 案内板を見ながら圭介が話しかけてくる。

「鏡。遊園地って言ったらジェットコースターだよな。乗ろうぜ」

「いいね。行こうか」

 NOVAも同行したいようだ。

「わたーしもー乗りーたいのよー。て変な外人じゃないのよ!」

「私も行きたいです~」

 と鏡太の腕をつかむセラ。ここで普通は修羅場なのだが他の女性陣たちは絶叫系が苦手らしいので同行しない。

「それじゃ4人だね。行こう!」


 鏡太・圭介・ノヴァ・セラはジェットコースター乗り場へ来た。

「結構並んでるな~。人気だけあるよね」

 鏡太が見る先には長蛇の列。そこへ話しかけてくる店員。

「ちょっとお客さん!身長制限あるので小さな子はダメですよ」

「子供じゃないのよ!」

 係員はノヴァだけでなく圭介も注意。

「子供でなくても身長が足りてないので無理ですね。あとそちらの方も無理ですね。看板見てください」

 皆が看板を見ると『尻デカ化物禁止!』と書いてある。

「あんたこれ今、書いただろ!マジックで書いてあんぞ!」

 圭介だけでなく皆も今だなと思っていた。

「まあ、無理もないか。セラさんと二人で行ってくるよ」

 エー!と残念そうな圭介とノヴァ。二人は仕方なく乗れるものを探しに行った。


 結構待たされたが、鏡太とセラはジェットコースターに乗れた。前部座席に座り緊張する二人。

「ワクワクします~」「はじめがドキドキなんだよね」

 ガタガタ・・・急勾配を登り始める車両。

「ソロソロ頂上だよ。セラさん準備いい?一気に落ちるよ」

「大丈夫です~(ガタガタン急降下)わ~すごいです~飛ばされそうです~」

「ヒーーー。僕も飛ばされそうだよ!」(ピョーン)

 二人は飛ばされた。


「ヒーー。た、助けてーーー!」(バサバサバサ)「鏡太さん大丈夫です?」

 間一髪かんいっぱつ!セラが翼を広げて鏡太を助けた。

「ゼーゼー。ありがとうセラさん。死ぬかと思ったよ」

「いえいえ。コースターてスリルあって楽しいです~。また乗りたいです~」

「僕は遠慮します。スリルありすぎ!」


 乗り場近くに落ちてる張り紙。『危険!安全装置点検中』


 地上に降りた鏡太とセラ。それを見かけた圭介が走りよる。

「お~い鏡。俺ダメだわ。お前たちが乗ってる間、乗り物系すべて見たけど看板に

『尻デカ禁止』て書いてんのよ。あの係員の仕業だよ」

「書かれてなくても尻が邪魔で無理だと思うよ。座席に絶対収まらない」

「たしかにな~。何か乗れそうなのねえかな?」

「もしかするとメリーゴーランドなら乗れるかもよ」

「う~ん。あれは恥ずかしいな」(お前もとより恥ずかしいよ!)


 そんな会話をしていると岬が走ってくる。

「鏡く~ん。メリーゴーランド乗ってきた。注目されて恥ずかしかったよ~」

「姉貴~。馬の首ヘシ折ったんじゃないのか?」

「どうしてわかるのよ!首クルクル回ってたけど」

(この人。別な回転木馬、作って注目されてるよ)

「ホント、バカ力だな~。嫁の貰い手ないぞ!」

「いいも~ん。鏡君にもらって、もらうも~ん。ね!鏡君」

「やだ!朝を迎えたい!」

 結婚したら初夜どころか除夜の鐘が一発聞こえそうと鏡太は思った。 

「ところで今からどこ行くの?ついて行く~」

「お化け屋敷かな。圭介があんなだし」

「私お化けは嫌です~。お留守番します~」

 セラはお化けが苦手なようだ。ブルブル震えている。

「鏡君が行くなら私も行くわ」

(ここは一気に攻めるチャンスだよね。岬ちゃんいっくよ~)

 鏡太が見る先に紫音とアリサ。

「おっ!紫音ちゃん達がこっち来る。誘ってみるか。お化け屋敷ついてくる?」

「お化け屋敷くらい大丈夫ですわ。怖くありません事よ。オホホ・・・」

(これはチャンスかしら?怖い振りして抱きつくのもありですわね)

「わたしは少し怖いですけど、鏡君が行くのならついていきます」

(チャンスよね?紫音ファイト!)

「じゃ5人で行こう」

 抜けがけは許さないと思う紫音・アリサ・岬。再び始まる女子バトル。


 鏡太・圭介・岬・アリサ・紫音の5人はお化け屋敷に入った。

「中は暗いな~全然前が見えないよ。それに歩きにくい。あの~みんな離してくれないかな~」

 鏡太にしがみつく女子3人。

(なんか柔らかいものが当たってるんですけど・・・)

 と思いながらも鏡太は肘をムネへと押し付け感触を堪能する。

「圭介のエッチ!(バシッ!)どさくさに何してんの!」

「フゴッ!何すんだよ姉貴!なんで殴られるんだ!」

 殴られたのは鏡太のせいだと圭介は気づかない。皆は暗闇の通路を恐る恐る進んで行く。

 お化けが現れた!

「キャー!鏡君怖いよ~♡」

 紫音は鏡太に抱きつき胸を押し付ける。

「紫音ちゃん大丈夫だよ~(む、胸が!)偽物だから安心して」

(普通サイズだけど柔らか~い♡)デレ顔の鏡太。暗闇でその表情は誰にもばれない。鏡太はお化け屋敷ていいものだなと思った。


 お化けが現れた!

「キャー!鏡君、怖いですわ♡」

 アリサもわざと胸を押しつける。

「アリサも意外と女の子なんだね」

(柔らかいデカパイ♡)鏡太の遮断機はMAX。だが誰にもわからない。


 お化けが現れた!(岬いくのよ!)

「キャー!こわい~こわい~ムギューー!」

「ぐ、ぐるじ~。死ぬ~」

 鏡太は首をつかまれていた。

「ぜーぜー。お化けになるとこだったよ岬さん!」

「ごめんね~。暗くて間違えちゃった~」


「ホント暗いよな~。俺も後ろだから全然みえんぞ」(むにゅ)

(ウオーこの柔らかい感触は!パイオツだよな?ムニュ。ムニュ)


 岬(アンッ♡。やだ鏡君たら暗いからっていきなり大胆!少しだけよ♡)


圭介(感激だ~。お化け屋敷サイコー!ムニュ。ムニュ巨乳がたまらん!)


 岬(アンッ♡もうだめよ~鏡キュン♡それ以上は岬ちゃん声でちゃう~)


「・・・」目が合う姉弟。

「ケ・イ・ス・ケー!どこ揉んでるのよシネシネシネシネーーー」

 化物がさらに進化した。

「ホントこいつだけは!姉の胸をわしずかみでむなんて飛んだ変態だわ!」

(鏡キュンならOKよ♡。次こそ決めてみせるわ!)


 お化けが現れた!

「キャー。キャー」(ムギュ!ムギュ!ムギュ!やったわ岬)

 ったのは圭介だった。


アリサ(次は私が決めますわ。オホホ・・・先越されるもんですか!)

紫音(私も負けない!先越されないから。紫音ハートをつかむのよ!)


 お化けが現れた!

「キャー!キャー!キャー!お化けよ!お化けよ!助けてーーー」

 アリサと紫音の悲鳴!

「そんなに大声あげて二人共オーバーだな~。倒れることないじゃない」

「なんだよ!俺、何かしたか?」

 アリサと紫音は超化物に進化した圭介が原因で気絶した。

 女子お化け屋敷バトルは化物を造った岬が勝利した。


 その頃、トロイヤの鉱山では。謎の少女が活動していた。

「自分の名前は思い出してきたにゃ。けどにゃんでココにいるかわからないにゃ。ピカ~ゴロ~とかなって逃げたまでは覚えてるにゃ」

「寝てたのかにゃ~?お腹もすいたにゃ~ね。どこか出口あるかにゃ~・・・」

 天井を見上げる少女。

       「あったにゃ!飛んででるにゃ!(バサバサ)」


「この穴、小さいけど出られたにゃ。まるで迷路だにゃ~ね」

 少女は透明なスライムを発見。

「このネバネバの食い物かにゃ~(むしゃむしゃ)美味しくにゃ~ね」

 少女は辺りに水晶がある泉についた。

「水場もあったにゃ(ゴクゴク)凄く美味しいにゃ~」

 水を飲んだ後。岸辺に倒れている怪物を見つける。

「これは!トカゲにゃ?食べてみるにゃ。(ガブガブ)美味しいにゃ!」

「お腹はふくれたけどココからどうやってでるかにゃ~」


 再び遊園地。一人でぶらつく鏡太。

「圭介には参ったよ。あいつどこ行っても問題おこすよね」

「あら鏡太じゃない。偶然ね~」

(見かけて追いかけてきたんだけど)

「ルビーも一人なの?なにか乗った?」

「乗ってないわ。何かオススメはあるのかしら?」

「僕もあまり詳しくないからね。あのフリーホールての乗ってみる?」

「そうね~いいわよ」


(シュイン・シュイン上がっていく音)

 フリーフォールは初めてなので緊張している鏡太とルビー。

「これどうなるのよ?なんか高くなってるわよ。上がる速度も早いわね」

「さあ僕も知らないよ。見晴らしが良いから展望台みたいなものじゃないかな」

「確かにそうね。眺めがいいわ~。ソロソロ頂上かしら?」


「ついたみたいだね(ストン)・・・ギャーーー。落ちる落ちる~」

「キャーーー!落ちる落ちる~助けてーーー」


 カックンと地上についた二人。

「ケロケロケロケロ・・・」「ゲロゲロゲロゲロ・・・」

 地面にぶちまけた!

「ウッ気持ち悪~い・・・私これダメ」「僕もダメ。内蔵でそうだった・・・」


「鏡太なにしてんのよ~ウッ!チョロチョロチョロ・・・」

 ノヴァも乗っていたようだ。

 3人はスカイダイビング級でゲロった。


 昼食。参加者全員、広場に戻ってきていた。

「鏡君。お弁当持ってきたのどうぞ」(紫音、挽回よ!)

「ありがとう紫音ちゃん。いつもながら美味しいね」

 それを見たアリサの反撃!(負けるもんですか)

「私も作ってきましたわ。今朝の採れたてですのよ」

「市場まで買い出しか~焼き魚ね、どれ。(モグモグ)中々いけるよ」

「嬉しいですわ」(当然ですわ!ウチの池の鯉は高いんでしてよ)


(この展開はやばいな。岬さんも来るよな~)

「鏡く~ん♡私のも食べて~」(これでイチコロよ!)

「岬さんのね~どうせ食べ物じゃないよね?パスで!」

「食べ物よ~チキンよチキン!今、出すわね」「コケッ」

「あんた何持ってきてるの!食べ物だけど生よナマ!サバイバルさせるつもり?」

「今シメるわよ~」「やめてーーーー!」

(もうヤダ~進歩はあるけど常識的じゃないよ。さて問題は母さんだよな)

「はい。鏡ちゃん食べて~何も入ってないから~安心して~」

(なんか怪しいぞこの展開!絶対入ってるYOU BEEが!)

「どうしたの~速く~母さんの愛が詰まってるわよ~」

「わかったよ。その愛もらうよ!(パカっ)こ・これは!」

「カラじゃないかーーーー!」

「だって食材切らしてたから愛情だけいれたの~ダメ?」

「愛情以前の問題だよ!僕グレちゃうよ!ホントにもう余計にお腹減ったよ」


「あの~よろしければ私のアンパンあげましょうか?食べます~」

「セラさんは優しいな~。いただきます!この際、何でもいいです!」

「では遠慮なく召し上がってくださいです~」

 袋を渡すセラ。鏡太は即座にブン投げる。

「こんなアンパン食えるか!」

「ひどいです~。何でもいいと言ったです~」

「なんでもって袋にセメダイン入ってるんですけど・・・」

「食べ物だと聞きましたです~」

(この人、食べてるんじゃないの!頭わいてるよ・・・泣)


「お兄ちゃん。あっちに購買あったよ(むしゃむしゃ)」

「恵~おまえは強いな~。お兄ちゃん心が折れそうだよ」

「鏡も馬鹿だな~。姉貴の弁当なんて食べれるはずがないだろ。(ホゲッ)」

(私も作ってきたけどあげれる雰囲気じゃないわね。恥ずかしいし)

「わたしも購買お弁当なのよ。美味しいのよ」


 一方、その頃。鉱山を抜け出した少女。

「空気がうまいですにゃ~。さてどうするかにゃ~。町並みが見たこと無いにゃ」

「探検するにゃ!」

 少女はふもとまで降りてきた。

「街にゃ~。小人さんにゃ!食べ物売ってるにゃ!くださいにゃ~」

 店主:はい毎度~。300キルです。お客さん勝手に食べたら困ります!

      「うるさいにゃ~ね。ニャーニャーニャー」

 少女は不可思議な呪文をとなえた。

 店主:なんだか眠気が・・・グーグー・・・。

「うにゃ?何か寝てしまったにゃ。私がやったのかにゃ?」

「う~ん。昔、使ってた呪文なのかにゃ?300キル?通貨も違うにゃね~」

「ここはどこにゃのかにゃ~?」

 そんな少女の行動を見ていた村人が騒ぎ出す。

「あんた誰だ!見ない格好してるな?」「知らない種族だわ」

「鉱山に出るっていう化物か?」「みんな離れろ危険だぞ」

「うるさいにゃ~よ。化物とは失礼にゃ!」

 呪文を唱えた少女により、近くにいた数人は眠りについた。

「さて探検にゃ~。なんでアタチを化物て言うにゃ?」

「アタチから見たらみんなが化物にゃ。ここはうるさいから嫌いにゃ」

「あそこの家行って見るにゃ」

 高台に見える一軒の家を目指す少女。

「ごめんくださいにゃ~」


「はいはい。あなたはどなたですか?旅人さんかな?」

「う~んそうですにゃ。お腹減って泊まるとこもないですにゃ」

「そうでしたか~。うちもママに逃げられ、娘は遠い国に商売で、私一人で寂しくて寂しくて。良かったら、うちに何日でも泊まってください」

「そうしますにゃ。ありがとうにゃ。いい人にゃ~」

「ついでに新しいママになってくれないかな~(ボソッ)」

 ドワーフの身長に近いせいか親近感をもたれ少女はどこかの民家に住み着くことになる。


 再び遊園地。

「鏡君。ミラーハウス行ってみよう」

「ミラーハウスか~そうだね。いってみようか」

 鏡太は紫音に誘われミラーハウスに入った。


「痛~。かがみで道がわかんないや。紫音ちゃんとも、はぐれたな~あっ!そこにいた」

「紫音ちゃーん。やっと合流したよ。カガミばかりでココ大変だよ」

「あ、鏡君こんにちわなの」

「あれ?その話し方は朱音ちゃん?」「そうなの」

「なんでここにいるの?紫音ちゃんは?」

「わからないの。でもココ楽しいの」

(僕たちと別で友達と遊びに来たのかな?)

「紫音ちゃん見てないんだよね?」

「お姉ちゃん見てないの」

「そうか~。朱音ちゃん、一人で大丈夫だよね?僕、紫音ちゃん探すから行くね」

 紫音の分身とは知らない鏡太はミラーハウスの出口からでた。鏡太を見つけてかけよる紫音。

「鏡君。待った?」

「全然。出口がわからずかなり迷ったから、さっき出たとこだよ」

 鏡太は朱音の事を紫音に伝えた。

「さっき朱音ちゃんとあったよ」

「朱音と?いるはずはないと思うけど。見間違いなんじゃ?」

「確かに朱音ちゃんだったけど。う~ん。どうなんだろ。何かスッキリしないど。まあいいか」


 紫音のドッペルゲンガーはカガミを見ると時に発動する。だが鏡太も紫音もその事には気づいていない。


 再び1人の鏡太。それを見かけたルビーが声をかけてくる。

「鏡太。観覧車乗りましょうよ。あれならさっき見たいにならないわ」

(ついでに二人っきりになるチャンスだわ♡)

「いいよ。観覧車乗ろうか」


 観覧車に乗ったルビーと鏡太。

「これもながめがいいね~。落ちそうもないしゆっくりだから安心だね」

「そ、そうね。これは安全だわ」

(ドキドキ)緊張しているルビー。

(何かきっかけはないかしら。お弁当わたせないじゃないの)

「お腹減ったな~。さっき購買行ったらパンしかなくてさ、力が出ないよ」

(これだわ!いまよ。今出すのよ)

「そ、そうなの。それは大変だったわね。わ、私のでいいならどうぞ」


「そう言われても僕、吸血鬼じゃないから首出されてもね~」

(わたしのバカバカ!動揺して何やってるのよ)

「上に来ると風が強いね。ゴンドラが揺れてるよ」

「そ、そうね」(もう一度チャンスを頂戴!)


 二人が乗ってるゴンドラが突風で揺れた!ガタン。ルビーは鏡太に飛びつく。

「キャッ!ごめんなさい」(ドキドキ・・・)

「ぼ、僕の方こそ」(今日のルビーなんか可愛いな。意識しちゃうよ)

「あ、あのね。鏡太にお願いがあるの」(モジモジ)

「僕に?」(ルビー凄く可愛い仕草しぐさしてるよ)

「うん。な、なんか恥ずかしいけど」(モジモジ)

(うわー!これってもしかして告白とかじゃ)

「ぼ、僕で良ければ話きききょ(バシッ)聞くよ」(興奮してんだよ)

「恥ずかしいけど言うね。わ、わたしね。鏡太に・・・」

(キ、キター!母さん僕、大人の階段登ります)


「私のお弁当食べて欲しいのよ。はい」(母さん下り階段でした!)

「そ、そうなんだ。アハハ・・・。お腹減ってるし頂くよ」

(モグモグ・告白は残念だけど僕の為に弁当作ってくれて嬉しいよ)

「うん!美味しいよ。ありがとうルビー」

「よかった~。嬉しい♡お茶もあるからね。どうぞ」

「ありがとう」

 鏡太とルビーの距離はかなり縮まった。


 その頃の謎の少女。

「キムさ~ん。お茶が入りましたよ。冷めないうちにどうぞ」

「熱いのだめにゃん。冷めてからいただくにゃ」

「そうそう。これ買ってきたので着てください。頭にはこれをどうぞ角隠しです」

「ありがとにゃ~。似合うかにゃ?」

「とても似合ってます。可愛いですよ」

「照れるにゃ~ん。おじさんはホント優しいにゃ」

「いえいえ。ところで翼は普段は出さない方が良いですよ。黒い翼は目立ちますからね。角も隠せば村人も怖がらないと思います」

「わかったにゃ」


 猫耳にアンミラの少女。名前は『キム・リック』。現在使える呪文はスリープ。

 居心地が良い、この家を凄く気に入っている。























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る