第18話 期待を胸に、謎を求めて【後編】

【前回のあらすじ】

 ルビーを探しに公園へとやってきた鏡太はタコ焼き屋のベルと有翼人種のセラより遺跡に関する色々な情報を聞く。その途中ノヴァと遭遇。巨大ハンマーを返して欲しいと言われるがルビーがいなくてはトロイヤへは行けない。ルビー探しの途中で朱音と遭遇。ルビーらしき人を見かけたと朱音は言う。鏡太はノヴァ、朱音を連れルビーの足取りを追う。


 鏡太・ノヴァ・朱音はルビーを探して散歩道を歩く。森林公園の池は入り口正面から見ると縦に楕円型をしていて、池の周りを取り囲むように散歩道がある。


 鏡太達は池の左側中央にあるボート乗り場までやってきた。

「こっちへ歩いてきてるのは確かなんだよね。どこなんだろ」

「鏡太あれ見るのよ。あそこにルビーみたいのいるのよ」

 ノヴァが池の方を指差している。振り向き確認する鏡太。

「どこですか?んんん。あれがそうなのかな?」

 鏡太達が見つめる先にボートに乗るルビーらしき人物がいる。

「私が見た人に似てるの。行ってみるの」「と言ってもボートありませんよ」

 そんな中、ノヴァが1つのボートを指差す。

「あるのよ。あるのよ。これ乗るのよ」「これカッコイイの。乗りたいの」

「マジですか!やだな~恥ずかしいな~どうしても乗るの?」


 ノヴァと紫音は鏡太の言葉に耳を傾けず、既にボートへ乗り込んでいる。

「仕方ないな~足こぎボートしかないし我慢するか」

 嫌々ながら乗り込む鏡太。果たしてそんなに嫌なボートとは?

「それじゃ発信なのよ~。「ノヴァさん運転大丈夫?」足が届かないのよ」

「ハハハ。だと思ったよ。僕と朱音ちゃんでごうか」

 鏡太と朱音は足漕ぎが付いている前座席に座った。後部に座るノヴァ。

「初めてなの嬉しいの」


「それじゃ宇宙戦艦トマト号発信なのよー!」

 大声で足漕ぎボートの名前を叫ぶノヴァ。本当の名前かはわからない。

「恥ずかしいからやめて!」「トマト発信なのー」

 大きなトマトに主砲が付いた足こぎボートで冒険に飛び出した。


「朱音ちゃん運動苦手そうだけど大丈夫?」「これ楽しいの~」

 インドア派に見える朱音を心配そうにみる鏡太。朱音は凄く嬉しそうな顔。

 ガチャガチャ。ガチャガチャ・・・

「ノヴァさん落ちないようにね」

「平気なのよ。それより私も運転したいのよ。」

 そう言うとノヴァは鏡太の膝の上に座ってきた。

「運転大丈夫なのかな~。それじゃノヴァさん頼みますね」


「OKなのよ~。トマト!ルビー目掛けて行くのよー。鏡太、全速前進なのよ!」

「了解!」

 ガチャガチャ。ガチャガチャ・・・

「おっ!ルビーさんだ。ルビーさーん!」

 ルビーと確認出来る位置まで来た鏡太。大声で叫ぶ。


「あれは鏡太じゃない。なんでここに・・・ソレなによ!ダサすぎるわ!」


「ロックオンなのよ!いくのよ鏡太。トマト主砲準備なのよ!」

「主砲なんてありません!いやあるけど弾出ません!」

「私が弾になるのよ」「じゃ遠慮なく」

 鏡太はノヴァを持ち上げた。

「嘘よ!嘘なのよ!離してなのよー!」「私も弾コメ手伝うの」

 朱音も一緒に砲弾ノヴァを詰め込む。


「鏡太達、何してるのかしら?それにしても止まる気配がないわね・・・」


「あれ?これってどうやって止めるんだっけ?」

 初めて乗るので止め方を知らない鏡太は考え込む。

「これ使うの砲弾なの。反動で止まるの」

「いや~止まんないよ。それノヴァさんだし(ヒクヒク)」

 朱音はあくまでもノヴァを使ってみたい様子。ルビーはもう目の前に来ている。


「ちょっとアンタたち早く止まりなさいよ!キャ!キャーーー」「ドゴーン!」

 トマトとルビーのボートは衝突。全員ボートの外へ投げ出された。


「アップ!アップ!僕泳げない・・・沈むー」

(溺れる鏡太。過去の記憶が蘇る)

「岬さんのムフフf期待してたのにな~て違う」

(再び思い返す)

「ウギャー母さんゴメンなさ~い・・これも違う」

(僕ろくな思い出ないな)

「ノヴァーいくよいくよ~」

(これ最近だな・・・)

「1つ貢献して羽買うかな」

(そうだ羽だ!確かここにあった!)

「羽よ!力をくれーーー!」

(バサバサ)羽の力により鏡太の背中に翼が生えた。

「よし!急いでみんなを助けよう」

 ゾンビで泳げない朱音から助けて行く鏡太。次にルビー。ノヴァは一番最後。


 鏡太は全員を救出。近くの岸に集まった4人。

「アンタ何してくれるのよ!危うく溺れそうになったじゃない!」

 なんとか溺れずに済んだルビー。めちゃ怒っている。

「私は大丈夫なのよ。泳げるけど足が短いのよ。進まないのよ」

 泳ぎは得意なノヴァ。小さい自分の体をなげく。

「裸で抱き合う男の天使が見えたの。あれBLなの」

 天国の入り口が見えていた朱音。幻覚をみたようだ。

「すみませんでしたー。初めて乗って止まり方知りませんでした」

 ただひたすらに土下座する鏡太。ルビーをチラチラ様子見。


「私に何か用事できたのよね?言いなさいよ」

(ヒエーご機嫌斜めだよ。何から話せば良いやら。どれも素直に聞き入れてもらえる状況ではないな~。少しでも気分回復するしかないよね)


「あの~ルビーさんお疲れですよね。お肩をませていただきます」

「恥ずかしいなら、目もつぶりますので」

 目をつぶり手をニョキニョキする鏡太。手伝おうと考えるノヴァと朱音。

(私も機嫌なおすのよ。協力するのよ) (私も肩もみするの。得意なの)


「疲れてないわよ!でも、せっかくだからんでもらおうかしら」

 同時に肩もみに出たノヴァと朱音。「ドンッ!」


「気持ちよくなりますよ~(プニュ・プニュ)あれ?肩に小さなコブなんてあったかな?でも柔らかい~(プニュ・プニュ)」

「ア・アア・・アンター!どこ揉んでるのよー!」

 鏡太はルビーの胸をもみ、バシッ!バシッ!ビンタされまくる。

「ずみまぜん。もうじまぜん。ごめんなざい」

 ルビーに叩かれ頬が腫れ上がった鏡太。必死に土下座。

「ホントにもう。小さいとか失礼だわ!まだ16だから成長するのよ!」

「えっ!16なの?同い年なのか~。年上だと思い敬語使ってたよ」

「まぁ、いいわよ。敬語使わなくても。ルビーでいいわ」

(怒らせたけど少しは機嫌いいのかな?でも遊園地の事は最後がいいよね)


「それじゃルビー、少しお願いがあるんだ。聞いてくれるかな?」

「嫌よ。「ヘッ」どうせどこか飛んでくれ~とかでしょ」

「どうしてわかるの?能力者?」「違うわよソレ見たらわかるでしょ」

 ルビーはノヴァを指差した。

「ソレって誰なのよ!わたしなのよ?」

「ハハハ。そうかノヴァさんみたら検討つくよね。飛んでくれない?」

「嫌だわ。行き先だけは聞いてあげるわよ。言いなさい」

「トロイヤです。ダメ?」

 ルビーは鏡太の頭を指さし文句を言う。

「あんたバカ?めちゃくちゃ疲れるのよ。あんな遠く嫌よ!」

「僕の血全部あげるからさ~」「それこそバカよ!あんた死んでしまうじゃない」

「確かに全部だと再生に時間かかるから仮死状態になるかも。それじゃ分割で」

「あんたソレ、ウケるんですけど(ププッ)分割ね(クックッ)」

「もういいわよ。その分割とほかに、なにかおごってくれれば」


「やったー。それで分割は何回払いで?32回くらいだと助かります」

「(キャハハハ)それでいいわよ。もうお腹痛い~」

「それじゃ、まずは圭介の家にハンマー取りに行きましょう」


 鏡太・朱音・ノヴァにルビーが合流し圭介の家へ来た。

「何これ立派なやしろね。だれが建てたのかしら」「岬さんです」

 愛田家の庭に建っている社を見て思い思いに感想を言っている。

「このぬいぐるみ可愛いの」「私の別荘するのよ」

「ところであんたコレ運ぶのよね」

 巨大ハンマーを指してルビーは言う。

「はい。重いけど仕方が無いです」

 そう言うと鏡太はハンマーを持ち上げる。

「頑張ってね。それじゃ飛ぶわよ。一気は行けないからそのつもりで」

「何やるの?怖いの」

 朱音は空間跳躍は初めてなので震えている。

「空間跳躍でノヴァさんの故郷へ飛ぶんだよ」

「大丈夫なの?酔わないの?」「う~ん僕は平気だったけどわからないな~」

「鏡君が平気なら大丈夫なの」

 朱音は少しだけ安心した。

「それじゃ行くわね」

 ルビーは呪文を唱え鎌を一回転させる。円形の黒い空間が現れると4人は吸い込まれた。


 トロイヤついた鏡太、ルビー、ノヴァ、朱音。テトまでもう少しの場所。

 長旅なのでルビーがトイレ休憩は大丈夫か聞いてきた。

「もう少し飛ぶけど、おトイレとか大丈夫?」「僕は平気です」

「私トイレに行くのよ。我慢できないのよ」「私も付いていくの」

 ノヴァは朱音を案内してトイレへ。我慢の限界のようだ。

「トイレここなのよ。入るのよ」

 バタンッ!と閉まる2つのドア。


『ゲロゲロゲロゲロ・・・』ノヴァと朱音は酔っていた。


【トロイヤ国・鉱山の村テト】

 ノヴァの家の前にできた黒い空間から現れる4人。

「さあ着いたわよ。ここがテトね。今回は以前にきたから家まで飛んだわ」

 どうやらルビーは一度来た場所へは直で飛べるようだ。

「パパに会いに行くのよ。朱音そこなのよ」「付いていくの~」

 ノヴァと朱音は家のドアの前まで駆け寄る。ドアが開きパパが出てくる。

「お~。ノヴァお帰り」

「パパ~ただいまなのよ」「始めましてなの」

 父の手を握る二人。


「ゲロ・ゲロ・ゲロ・ゲロ・・・」

 酔っている二人はパパの胸元へぶちまけた。

「二人共、変わった挨拶ですね。それは流行りですか?パパも今度やってみよ」

(この人ヤバイよ!)

 鏡太はパパに来訪の挨拶をした。

「今日はお借りしたハンマーを返しに来ました」

「それはどうもどうも。お茶を出しますから、そちらのテーブルへ座って下さい」


 家の外にある木のテーブルに座る4人。

 どうぞとパパはお茶を出すと座る。鏡太はパパに聞いてみる。

「ハンマーはこのままで大丈夫ですか?広場でいいなら運びますけど」

「それでは後にでも広場へお願いできますか。クソ重いし面倒なので」

(この人正直ものだよ!)パパは凄く嫌そうな顔をしている。

「あとで運びます。それでついでですが少しお話が聞きたくて」

「なんでしょう。知ってる事であればお答えします」


 鏡太は自分の情報と照らし合わせてパパに遺跡について話を聞いた。

「僕達の国ジャポネアのネクロにある禁止区域のことです」

「そうですね~。始まりの地については以前に話しましたよね。学者の話では石碑と関わりがあるらしいみたいですが」

「各地にある石碑と関係してると僕もそう思います」

「今のところ3つのエリアに石碑があることは解っています。ジャポネアの情報はつかめていません。恐らくあるとは思いますけど」

 鏡太とパパの会話にルビーの思わぬ発言。

「バレンタインにもあるわよ。まあ噂だけど」

「ということは、今のところは4つの石碑ですね」

「ほほ~それは石碑が4つとは、また謎ですね~」

 とパパは言いながら、少し考えて鏡太に提案してきた。

「どうですか。石碑見に行かれますか?と言っても私も遺跡までは案内はできませんけど」

「う~ん何も準備もしてないしな~」

 ハンマーを返すことしかなかった鏡太は決断に迷う。

「遺跡は学者も偶然に鉱山で発見したものらしいです。中は迷路なので。いまだ発見されていない何かがあるやも知れません」

「迷路か~。見に行きたいけど危険かも知れないな。それに女の子3人いるしね」

(う~ん。どうしようかな~)

 決断を迷う鏡太にノヴァ、ルビー、朱音が後押しするように話しだす。

「私がいれば帰りはなんとかなるのよ。遠耳スキルで方角はわかるのよ」

「私も行っていいわよ。面白そうじゃない」

「私もまだ見ぬBLさん期待してますの。楽しそうですの」

「う~ん。みんながそう言うなら行こうか。ただし、危ない時はすぐ引き返すから、そのつもりでね。それでいいかな?」

「大丈夫なのよ」「イイわよ」「はいなの」

 ノヴァ、ルビー、朱音は問題無い様子で返事する。


「鉱山は暗いので装備はわたしが準備しておきます。入り口までは案内しますので気をつけて行ってください。ノヴァ頑張っておいで。それでは鏡太さん娘をお願いします」

「パパ~はいなのよ。行ってくるのよ」

 装備の心配をしていた鏡太はパパの申し出に少し安心した。そして日暮れ近いのもあり、野宿しようと決める。

「分かりました。でも、今日はもう遅いな。すみませんテントなどありますか?」

「テントは用意しますので好きな場所にお泊りください」

「ありがとうございます。そうだ母さんに連絡しないと」

 ピピッ陽子に通信。すぐにつながった。

「あら鏡ちゃんな~に?」

「母さん今日はノヴァさんの家に泊まるから帰らないよ」

「ノヴァさんて誰なの?」

「ドワーフの女の子だよ。それじゃね」(通信終了)


「うわ~ん。鏡ちゃんがロリコンになった~」


















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