第6章

第2部 プロローグ

 トリセイン王国の最北端には、どこの国と定められていない中立した地域がある。この中立した地域は、トリセイン王国と他の国が協力体制で調査しているフィールドがある。『黒の塔』と呼ばれるところだ。

 黒の塔は一見すると直系400メートルほどの大きさの塔なのだが、実際に入ってみたら外から見ただけの空間とは思えないほど広い。各国の調査班の調べでは、『魔法的な痕跡は一切なく、空間そのものがねじ曲がり、こういう現象が起きている』とわかったのが最近のこと。半径2キロの円状のフィールドのどこかに、上に続く階段があり、調査班はこの半径二キロ内にある階段を探して上の階を目指す。

 学園調査隊としてこの『黒の塔』に派遣されたエルフのキーニャライムエリムシンに、エルフの里襲撃の報告が届いたのは、事案が発生して1ヶ月はたった頃だった。

「――里が……」

 キーニャライムエリムシンは小さく呟いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る