脚注9
〔1円入札〕
1989年富士通が広島市水道局のシステムを1円入札した事が発覚したことからITゼネコンという用語が一般に知られるようになった。
ゼネコンとはもともと建築業界の用語で、元請負者として工事を一式まとめて発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う業者をいう。
元請け、下請け、孫受けの多重構造が形成され、いったん入札して大手の顧客を囲い込むことができれば、その後の発注の窓口になることで入札の時点の契約は安くても元が取れる。
例えばインフラ構築からコンピュータ機器の設置、納入後の運用メンテナンスに至るまで、「利益はあとから追いかけてくる」から、入札は可能な限り安くしてライバルを蹴落とす。
大企業ゼネコンが体力にものをいわせて非常識に価格を下げれば、ライバルの中小企業はかなうわけがない。こうして「1円入札」がゼネコンのルーティーンになってしまった。これは特に官公庁の公共事業において盛んだった。
経済産業研究所の報告書によると、平成13年度の政府調達において、NTTグループで全体のシェアの4割、ITゼネコン大手4グループ(NTTグループ、日立グループ、NECグループ、富士通グループ)で6割、ITゼネコン大手10グループで8割を受注している。
政府調達は巨額であり、市場規模は中央官庁と地方自治体を合わせて約2.2兆円にのぼる。これは日本のIT産業の約2割のシェアを占める。
1円落札は業界のかかえる企業秘密の闇の一つだった。
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