「カルロ・サリの手記」より抜粋
私の知っているセラム少将は年齢に似つかわしくない言動をする少女だ。私は彼女の立てる作戦に何度も悩まされ胃を痛めたものだ。何せ初対面の時から彼女には驚かされっぱなしだった。私はいつも彼女に付いていくことが精一杯で、凡人には天才の所業は理解出来ないと思い知らされた。そんな私を彼女はよくからかって笑っていた。私は私で、一回り以上歳が違う彼女のそんな態度を悪しからず思っていた。
思えば私は彼女に対していつも一歩下がって見ていた。隣に立っていても並び立つことは出来ないのだと諦めていたのかもしれない。そんな私を彼女はどう思っていたのだろうか。誰にも理解が及ばない地点に立つ彼女は、いつも孤独を感じていたのではないだろうか。
私が彼女に対してある種の感情を抱くようになったのはいつの頃からだろう。
机上での彼女は悪魔の如き策謀を企て、戦場での彼女は神話の戦乙女のように堂々として、それでいて時折見せる表情は容易く手折れる花のように儚げであり、私はそんな彼女を見て不敬にもこの人は私が守らねばならない、そう思ったのだった。
「カルロ・サリの手記」より
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