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肩を
「――っ!」
突然の感触に空気と一緒に悲鳴も
「大丈夫?」
心配する女性の声は、枝折には聞き慣れないもの。
……誰?
肩につく長さの髪は、
はっきりとした
誰もが目を奪われる
その後ろには、見たことのない色。
自分の部屋と違う天井。
「大丈夫? 枝折ちゃん」
じっと見つめたまま何の反応も示さない枝折を
「……ここは?」
自分がどこにいるのか
「ここは、
八瀬高等学校。女子寮。
心の中で繰り返した。
「……高校。……あ――」
自分が今、どこにいるのか。
一週間前の、四月一日。
全寮制の私立高校に入学が決まり、家から離れることになった。
父親の車で高校に向かうことになり、久しぶりに父と二人きり。
高速を走り、徐々に眼前に広がる光景が変化していく。
のどかな景色に、枝折の心の不安が小さくなる。
高速を降りて、ナビ通りに車を走らせる。
家を出て三時間。
都心から北東に位置する関東の
周りには、八瀬中学校と木々ばかりの、
八瀬高校の正門前に到着したのは、午後二時過ぎ。
心配をする父と正門で別れて、枝折は入学案内にあった地図を見ながら、女子専用の寮に向かった。
寮母に案内された部屋は、二人で一室。
そのルームメイトが、目の前にいる
「――大丈夫。ありがとう、滋堂さん」
「ちょっと、枝折ちゃん。滋堂さんはやめてって言っているのに。水木って呼んで」
長身でスレンダーな
「ごめんなさい。……水木さん」
頑張って、やっとの思いで水木の名前を口にした枝折に、彼女は満面の笑みを向ける。
「ふふ。ありがとう」
他人と接することが苦手な枝折は、ルームメイトの存在に気持ちが
入寮して一週間。
緊張が
「そろそろ起きて、顔洗って着替えて。食堂に行きましょう。今日は、入学式よ」
入学式の単語に、枝折の心は張り詰める。
心がざわつく。
初めて、この学校に足を踏み入れた時から、
だけど……無理。
枝折は、自分の勘を無視することに決めた。
もう、ここから逃げ出せない。何があっても、ここから出ていくことはできない。
だから、自分の感覚を信じて、気をつけていれば大丈夫。
枝折は自分の心に言い聞かす。
「本当に、大丈夫? 強張っているよ。
すぐ目の前に
「ん?」
と、水木は人好きする笑みを浮かべる。
「ありがとう。平気。慣れていないだけ……」
ぎこちなく笑みを見せて、枝折は返す。
「大丈夫よ、私がいるから……さて、私は先に一階の談話スペースにいるから、着替えたら来て。待っているから」
静かにドアが閉まるのを見届けてから、枝折は
……やっと、一人になれた。
それが、
固まったままの身体をほぐすように大きく
目の前に広がるのは、緑深い森。
――まるで、
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