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「うちの車で、『
と、ドライバーが叫ぶとき。車の中では、いったい何が起きているのか……?
この単純なことを、うちの
まあ、聞けたといっても、「車おたくローヤー」のビルに………だけど。
「え? ……知らないで受けてたの?」
―――と、ビックリされつつも。「
一、アクセルとブレーキの踏み間違い
二、アクセルとブレーキの踏み間違い
五、アクセルとブレーキの踏み間違い
六、アクセルがフロアマットに噛んで戻らなくなる
七 、アクセルのペダルの一部(樹脂)が、劣化して
八、アクセルのワイアーが破断などして引っかかる(電子制御でない場合のみ)
九、スロットル・ボディが油汚れなどで固着して開きっぱなしになる
十、アイドリング・スロットル開度の変動
十一、ターボチャージャー軸受けオイルの吸気への混入(ディーゼル車のみ)
……後半の、よくわからない話はさて置いて。このときは、まあ色々とあるものだな――とだけ。単純な感想だった。
ビルによると、「
………
よく見ると、一・二・五って全部同じじゃん!
三・四も無いし!
「それ以外の六から八番までは物理的な原因、十一番は化学的な原因といえるね。そして十番だが……」
いやいやいや。そんな……大学の先生みたいに普通に解説に繋げられても。何か気づかないかい?……っていう風に、ニターッとするとかしてくれないと。
「でも、ビル。うちとしてはそうでも……やっぱり、
「えー……」
苦笑しつつ。見るに見かねて……という感じで、助け舟を出してくれたのはジェンだった。その航路を阻もうと、目頭を山型に盛り上げて「
「多分ねぇ、あれの準備なんでしょう。マットに必要なのは、『正しい答えはどれか』じゃあないのよね?」
「そうです、そうです。」
「あれか……でもなぁ。」
まだ不満そうで、もう一押し必要だった。
「わたしも聞いたし、間違いないわよ。」
「ええ。ボスからは『向こうの言い分まで一通り聞いて来い』って。」
「 わかったよ。まあ、あろうはずがない……と言わざるを得ないけど。」
ぶつぶつと渋りながら、ビルは書き加えた。
『十二、スロットル電子制御の
それが、1年ほど前のやりとりだった。
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