WERE LOOSE ゆるんでいた。
4
ひとが来たことは。這い上ってくるエンジンの音で、まずわかる。
段差を踏むタイヤの音、ドアを開ける音、コンクリを踏み締める音……と続き、ちょっと間が空いてから、射し込む朝日がスッと遮られる。
「おはよう、マット。」 ここのボス、ダリル・ライカン弁護士だ。
「すぐ外出するんだが。それでもか?…………うーん、そうか。」
——もはや古めかしい、キーが一杯ついてるスマートフォンを出してもらった。
「ハイ、ずいぶん眠そうね?」 続いて現れたのは
「んん、面倒ねぇ。このままでいい? 入るでしょ。」
「バッグごとですか? さすがに……」
「ほぅら、入った入った!」
——菫色の「小」バッグは、ファブレット入れに使い始めたのを見ていたが。金庫のサイズにぴったり過ぎて、(最初からそのつもりでは?)と。思わず口に出るところだった……いやぁ、危ない。
「おう、マット。ふゎ、ふぁああ~……っと、失礼。」
「おっとと、蓋がないって不便だね。勝手に点いてるときもあるんだよ……壊れてるのかな?」
——買ったばかりだというスマートフォン(指紋だらけ)を受け取って、バッグ「小」の横に押し込んだ。
「さて……」
一息ついて、パーキングのほうを眺める。
いちばん手前はビルの愛する
今日はもう、この3台で打ち止めかもしれない……というのも、残る一名が。
「
――のに、どこからともなく。超小型の
以上の4名が。現在の当出張所の定例メンバーで、全員が
ビシッとオールバックできめた弁護士、人当たりのいい黒人弁護士、前髪をキッチリ上げたマダム弁護士……そういった、いかにもな敏腕系はもう暫く見かけない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。