第014話 順番

辺りには、机が規則正しく並んでいる。どこまで続いているのか先は見えない。机にはそれぞれ別の人間が座っていて、自分が呼ばれるのを待っている。アナウンスが流れる。

「P52EK2Q番。」無機質な声。これは私の番号ではない。

「はい」どこかで短く返事が聞こえた。アナウンスは続ける。

「前へ」その返答を聞くとP52EK2Q番は立ち上がり、前へ進み、闇の中へ消えた。それから、静寂が辺りを包んだ。


ある男が隣の人間に声をかけた。即座にアナウンスが流れ、厳しい口調で告げる。

「DF5S4Y6番、退出しなさい」男の顔から、サッと血の気が引いたのが分かった。彼は立ち上がり弁明する。

「オレ、いや私は、」その続きを言う前に、男は駆けつけた監督者達によってすばやく排除された。再びこの空間を静寂が支配した。周りには重苦しい雰囲気が漂っていた。



沈黙が続いていた。誰もが、じっと息を潜めて辛抱強く自分の番号が呼ばれるのを待っているのだ。長い。気が狂いそうになる。私とて、例外ではない。先ほど、またひとり退出者が出た。無理もない。この孤独に耐え切れなかったのだろう。分からない。知りたい。いつ終わるのか。いつ自分の番になるのか。


安らぎなど、望むべくもない。

いつまでも待ち続けなければいけない。

自分に出来ることなど何もない。


誰か、いっそ殺してくれ。

せめていつ終わるか分かれば、

待つことくらいは出来るというのに。

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