05

王宮から一歩も外に出ない生活をしていた、もうハゲのおっさんになったデブな王の元にある日、来客が訪れた。地方の農村に住む少年とその仲間だとかで、随分貧相な格好をしていた。おつきの人たちは、そんな小汚い者、と追い払おうとしたが

「偉業を成し遂げた王様に是非お会いしたいんです!」

デブ王がこの言葉を聞いて気を良くしたので快く少年とその仲間を歓待し、宴会を開くことにした。

宴会の前にご挨拶をしたい、との少年たちの希望にもデブ王は応え広間で会うことにした。かつて、自称勇者だった王が魔王を討ち取ったあの広間だった。

用意してもらった綺麗な服を着込んできた少年は

「偉業を成し遂げた王様にお会いできて光栄です。それにこんなに綺麗な服まで下さって……。あなた様は素晴らしい王様です。王様に会えたこと、とても嬉しく思います」

王座に座っていたデブ王はその言葉を聞いてもうノリノリ。

ではちょいと若い頃の話--自称勇者として幾多の苦難を乗り越え魔王を討ち取った話でもしてやろうかなと思っていた。

そして少年を見ると後ろにいる彼の仲間達が目に入った。長いローブを纏った魔導師にシスター・剣士・行商人・精霊・機械兵士・ブラックウルフ、とどこかで見た面子。

なんだか若い頃のワシに似てるなぁと思いつつ、デブ王は少年をまじまじと見つめた。今度は少年が背負っていた大剣が目に入った。

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