第90話 私の考えた作戦でございます!
私達は場所を移動して、大勢の前で、直接、私が念話を使い、考えた案を話した。私が話せるゴーレムだって知らない大勢の人は驚いてるけれども、そんなことは気にしない。
「つまり、上手くいけばそのサナトスファビドを捕獲することもできるのね」
「そう、上手くいくんですかね?」
「わからんっすね」
私の案に対して、様々な意見が飛び交う。
それを挙手制でそれぞれ案を話してもらって、改善していった。
私の案も完璧って訳じゃないしね。
「_________まとめるとこうなるな。作戦において、アイリスちゃんと私が重要になるわけだ」
お父さんが案を絞り、作戦を練り直してくれる。
兵士さん達の誰かが犠牲になるわけでなく、呪毒の効果もほぼ無意味なこの作戦ならいける。
単純に言えば、囮は私がするってことなのだけど。
毒は受けないし、回復と防御に特化してるから死なないし、私が生きてることを向こうが知ったら驚いて、必ず摂食を試みるはずだから。
それで、あのわけわかんないくらい強力な隠密も無効化できる。
無論、それだけじゃないけどね。
「以上。この作戦に何か質問がある者は…?」
誰も手を上げない。
「よし、ならばこれでいこう。……それと今から、敵を拘束し力を制限するためのアイテムを支給要請しなければな。以上だ! これでこの会議は終了とする。各々、仕事に戻ってくれ」
兵士さん達はみんな、元にいた場所に戻っていった。
私は……作戦を遂行するために、いち早く、闇魔法を纏った状態のスヒョウラ を完成させなきゃいけなくなってしまった。
でも、精神的疲れが取れてない。
ちょっと困った。
「あ…アイリスちゃん」
【どうしました?】
ロモンちゃんが話しかけてきた。
「その…私も魔人対融して、一緒に頑張るから。やらせて。断っても私は魔人対融するからね」
ジッと私の目を見ながらそう言っている。
【私が死ぬ危険性が…】
「1対1でもアイリスちゃんは大丈夫だった、だから大丈夫なはず」
【でも、私の腕が折られたりしたら激痛が…】
「そんな覚悟は出来てるって、さっき言ったじゃん。……魔人対融したほうが、スムーズに行くんでしょ?」
ロモンちゃんの目がマジだ。
やっぱり、お姉ちゃんでたるリンネちゃんをあんな目に合わせたサナトスファビドを、許せないのかもしれない。
私とロモンちゃんレベルの魔人対融となると、この村から、あの、私が自爆した場所までは効果が及ぶ。
だから、ロモンちゃんの本体を村に起きつつ、現地では融合している状態ってことはできるけど…。
【しかし】
「むぅ…。大丈夫なの! 大丈夫だから私を信じて…!」
そう言いながら、ロモンちゃんは私を抱きしめる。
折れるべきかな、ここは。
【わかりました。しかし、お父様に相談しなくては。お父様が止めれば、止めですよ?】
「うん、わかった」
というわけで、私とロモンちゃんは、作戦中、魔人対融をしていて良いか、お父さんに訊いてみた。
お父さんは、私とロモンちゃんの頭をなでながら、一間おいて答えてくれる。
「私は、ロモンを信じよう。ロモンが大丈夫だというなら、大丈夫だ。きっと」
「……うん! ありがとう、お父さん!」
すんなり、了解してくれた。
正直、私としても助かる。
この作戦で闇魔法入りの氷魔法を使わなきゃいけないんだけれど、魔人対融した方が確実性・威力・精度・範囲、全てが大幅に上昇するからね。
ちなみに、闇魔法を入りの氷魔法で作った氷は、自然では溶けない上に壊れにくくなるらしい。
本で読んだ。……これを使うんだ。
【ではお父様、私は仮眠をしばらくとった後に、魔法の練習をします。ロモンちゃんは明日の朝になるまで、ゆっくり眠ってMPと疲れを癒して下さい】
「了解した。……頼んだぞ」
「うん…! 魔人対融の練習は?」
【それは不必要でしょう。普段から練習してますから。今日の残りの時間は休むことが最優先です】
「わかった」
ロモンちゃんは休憩室に行き、眠りについた。
お父さんも仕事に戻る。
私は二人を見送ると、3時間ほど空いてるベットで眠った。
その後、闇氷魔法の練習に疲れない程度で全力で取り組む。
何度も何度も____
◆◆◆
そして翌日。
「今日は大事な日だ」
「「「はい」」」
お父さんが朝早くから、兵士さん達全員を集めて話をしている。私とロモンちゃんも、もちろんそこに参加してるよ。
「…魔王の幹部がどういうわけか復活し、多くの少女や我が仲間達を苦しめてきた_________」
お父さんの10分程度に及ぶ集会が終わり、私の考えた作戦は始まった。
まず、お父さんや私達以外の兵士さんらは、戦闘や拘束をするための準備をしてもらう。
これは昨日から仕込んでいたため、早く済んだ。
「アイリスちゃん…いくよ!」
【はい!】
次に、ロモンちゃんは私に魔人対融をする。
意識がなくなったロモンちゃんの身体を側にいた人が受け止め、安全な場所に運ぶ。
それを確認したら、私と、私の中に入っているロモンちゃんだけであの、私が自爆をした因縁の場所まで向かった。
ここまで、全然、予定通り。
もし、サナトスファビドの気が変わって昨日の夜にこのクレーターまで来ていたら、それまでだけどね。
着いたら、真ん中に座り込む。
________あとは、ひたすら待つだけ。
【あ…アイリスちゃん! 凄いね、もうそこまで…】
闇氷魔法の練習を始めた私を見て、ロモンちゃんはそう言った。
【はい。闇魔法と氷魔法の合成使用は普通にやったら1日で終わる代物ではありませんでしたが…魔流の気を纏った状態で行えば、上手くいくようなのです】
【へぇ…! やっぱり魔流の気って凄いね。今練習してるのは…?】
【魔流の気を使わずに、精度を上げてます。そうすれば、より効果が上がるはずです】
【ナルホド…】
サナトスファビドはなかなか来ない。
感覚だけだけど、もう3時間は待った。
ロモンちゃんという話し相手が私の中に居なければ、かなり暇だったかもしれない。
お父さん達もきっと、私達からの連絡を今か今かと待ってくれているはずだし。
そう思ってからさらに2時間。
午後3時。
【来ないですね】
【そうだね。…うーん、そろそろくるんじゃないかな?】
そんな感じで話し合ってた時だった。
後ろから、念話が聞こえた。
【な…なんでおまえが…】
私、いや、私達はそれを聞いて、ゆくっりと立ち上がる。
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