第6話良縁と悪縁の間。
「私ね…」
洋子は、やんちゃな男どもが競って温泉場へ走って行く姿を眺めながらボソッと語り始めた。
「どうしたの?」
「…ん…」
「どうしたの?」
敦子は、天井の角の方をボーッと眺めている洋子に聞き直した。
「私ねぇ…妊娠しているの」
「…ん?」
「え?」
敦子は、予想もしていなかった言葉に驚いた。
「私…妊娠しているの。彼の子をお腹に宿しているの…」
洋子は、ボソッと言った。もちろん、そんな重要な話を語っているなんて、有頂天になっているいまの私は全く知らない。
「妊娠ってこと?」
「そう。このお腹に赤ちゃんいるの」
洋子は、右手でお腹をさすりながら答えた。
「…」
「へぇ…そうなんだ」
敦子は、目を丸くして答えた。
「赤ちゃんいるんだ、ここに」
洋子は、微笑みながら答えた。
「…」
「なん…何ヶ月目なの?」
敦子は、「洋子さんも座れば」と誘いながらソファーに座った。
「まだそんなに目立っていないわね…」
「…」
「もう少しで、確か…7週目を回るところかな」
洋子も指を折りながら「ヨイショ」と座った。
「2か月ちょっとか。まだ全然安定期じゃないじゃん。こんなとこに居て大丈夫なの?そんな身体でよく温泉へ来たわね。平気なの?」
「…」
「…」
「多分、平気…だと思う」
洋子は、フーッと息を吐きながら答えた。それほど、いつものような夏の太陽のようなカラッとして透き通った顔ではなかった。そんな顔をしているなんて知るわけもなく…その時の俺は、入浴場で、鼻歌混じりの声を出しながら身体を洗っていた。なんともお粗末な話だ。
「…」
「…」
暫く、2人は黙ったままだった。時間も時間なので、時計の針の動く音が効果音的にやたら良く響いたらしい。まるで、誰も居ない下校後の学校の廊下みたいだ。
「カチカチッ…」
「カチカチッ…」
「…」
先に切り出したのは、敦子さんだった。
「洋子さんの顔を見ていると…まだ晴彦さんは、洋子さんが妊娠しているなんて…全く知らせていないみたいだね。そういう会話も出てこなかったし。っていうか、誰にも言っていないんじゃない?彼が知っていれば、こんなとこに連れて来ないし…ましてや、こんな時間帯に洋子さんを一人にしておかないわね」
敦子さんの言っていることは、すべて正しい。私は当然知らなかった。
「…」
「…」
「多分、彼はまだ知らないと思う。私も一切教えてないしさ。そんな器用な男じゃないから気付きもしないわよ」
洋子は、ボソッと答えた。
「それより…なんで言わないの?普通、真っ先に教える相手って、連れ添いの夫じゃない?」
敦子さんが聞くのは、すごく当然で当たり前の話だった。
「あの人ねぇ…」
洋子は、重い口を開いた。
「…」
「晴彦って…多分、子供が嫌いだと思うの」
ボソッと答えた。
「…」
「子供…が嫌い?」
「多分」
洋子は、微妙に自信なさげに答えた。
「なんでそう感じたの?」
「まぁ…色々理由はあるにはあるんだけど…ねぇ…。うーんとまぁ…」
洋子は、下唇に力入れながら答えた。
「…」
「全くの他人に話すことで、少しは気が晴れるってこともあるでしょう??」
「…」
「あっ…ごめんごめん。そんな話、初対面の私には言い辛いよね。全然気が利かなくごめんね。要するにあれだ、洋子さんがここへ来た理由は…そのことを彼に打ち明けたかったんだ?そうでしょう?」
敦子も納得したような顔をしていた。
「…」
「えっ?違うの?」
「打ち明けるというより…彼が、子供を好きかどうか…もう一度、再確認というかさ、そういう場面で本性分かるでしょ的なほらっ…こういう温泉場って、家族とかカップルなんかが多く来るところじゃない?当然、小さい子だってくるわけで。意識しなくても…無意識のうちにこういった場所なら、彼の態度とか様子を確認出来るんじゃないかと思ってさ…」
洋子は、ぼーっと目の前を見ながら答えた。
「…」
「…確かにね…。確認か」
敦子さんもボソッと言った。
「確認してどうするの?子供が好きじゃなかったら、嫌いだったとしたら…多分一生「好き」にはならないと思うわよ」
間を置かず、さらに洋子へ喋った。
「…もし、彼が嫌いなら…」
「嫌いなら?」
敦子は、マジマジと洋子の顔を見ながら答えた。
「多分…」
「彼とはすぐに別れると思う。もう少しでこのお腹も安定期に入るし、辛くても一人で育てる。その覚悟はもう出来ている」
洋子は、片手で顔を拭きながら答えた。
「…」
「別れちゃうの?どうして?」
「子供が嫌いな人とは…多分一生暮らせないと思うし…」
洋子は、目の前の机を眺めながら答えた。
「結婚する前にそういう事確認しなかったの?」
「ん…」
「正直、そこまで子供が欲しいとかそういうタイプじゃなかったのよね。実際、いまの仕事好きだしずっとこのまま二人で生きて行ってもいいかなと思っていたのよ。できたら出来たで、ん…どうなのかな?って思っちゃってさ」
「…」
「そっか」
「そうなの。結構自分でも驚いてる。この先どうしようかな?みたいな」
「それに、そういう人に…大事な子を触られたくないっていうか。一㍉たりとも触られたくないって思ってしまって。なんかそういう感じになってしまったというかなんというか。私のわがままなのかもしれないけど…」
洋子は、お腹をさすりながら言った。
「…」
「なるほど」
敦子の顔もその意見に一理あると感じたようだ。お互いの「好き」だけでは、一緒に生活は出来ないというわけだ。
「…」
「嫌いでも育てている人いるわよね。ひょっとして、DVとか気にしてる?幼児虐待とか…」
「彼は、DVみたいなことするようなタイプじゃないと思うけど…」
自分のお腹を摩りながら答えた。
「なるほど、じゃ…今のところ、どうなの?晴彦さんって、やっぱり嫌いなの?子供」
「…」
少し間をおいてから答えた。
「それが…まだ全く分からないの。ここに来てから、まだ小さい子に遭遇しないからさ…。大きい子は、何人か見かけたんだけどね。それじゃ比較にならないし…まだ良く分からなくて…」
「…なんで、そんなめんどくさい事するの…。本人にずばっと直接聞けば解決する話じゃない?怖いの?洋子さん??」
敦子は、洋子の目を見ながら答えた。
「…」
「…そりゃそうなんだけど…怖いよ、やっぱり。彼の口から「子供は、どうも嫌いなんだ」と言われるのがやっぱり怖い。大好きな人の子だから…「好きだよ」って言ってほしいの」
洋子は、自分の太ももをジーッと見ながら言った。かなり動揺しており、さっきはその覚悟は出来ているって喋っていても、本音はやっぱり違うようだ。
「…そうよね」
敦子は、腕を組みながら言った。
「…」
「…じゃ~取りあえず、彼らがお風呂から上がってくるの、待っていますか?」
「え?ここで言うの?」
洋子は、びっくりした様子の答えた。
「善は急げよ」
敦子さんは、笑いながら答えた。もう「答え」が決まっているような言い回しだった。
「敦子さん、人の事だと思って…」
「他人事じゃないわよ。大事な大事な友達事よ。どこで話したって、結果は大して変わらないわよ」
「…ん…まぁ…」
「ね」
こういう時の敦子さんは、行動力がスバ抜けている。僕にもそういった行動力があったらいいと思うわけで。
「そうね。まぁ…良いわ。晴彦と「約束」したし、しょうがないわね。私も腹括って待っていますか」
「…」
「約束?」
敦子さんは、ぽかんとした表情をして言った。
「…」
「そう…晴彦とちょっとした変わった「約束」をしたの」
「そうなの?」
「そう」
「随分変わった夫婦ね」
「…はい」
洋子は、笑いながら答えた。
「それより、洋子さん…お腹大丈夫なの?冷えてない??フロントから毛布を借りて来ようか?」
「…」
「まだ、大丈夫」
洋子は、頷きながら答えた。
彼女達が、そんな重要な会話をしていることも知らず、私は、相変わらず能天気に寒くてひんやりとした露天風呂にいた。「ちゃっぷーん」海洋深層水で出来ている湯に丁度片足を付けるところだった。
「うっ…」
「ピリッ…」活きよい良く、ざぶぅーんと湯船に身体を預けた。
「痛て…でも気持ちいいわ」
私は、両手で塩湯を掬って顔に掛けた。やっぱり痛気持ちいい。癖になりそうです。この痛さ。
「…しょっぱい」
2人ほど年上らしき男性の顔がチラッと見えた。むくむくした白い湯陰で、顔の様子まで窺えないが。
「…」
人工密度の少ない露天風呂は、むちゃくちゃ最高である。贅沢なご褒美だ。
「…」
「なんや…」
うん?と思って後ろを振り返った。後ろ側にも人が居たんだ。知らなかった。
「…なんや、春さんもこっちに来たんかい」
太郎さんの声だった。風呂に入ってから、別行動を取っていたので、おおよそ20分くらい会っていなかった。内風呂は、この煩い男がいないだけで静かで有意義な時間だった。誰も居なかったわけで…心地良かった。今日一日の嫌な疲れが取れたような気がした。この甲高い声を聴くまでは。彼の声は、本当によく通るし非常に耳障りな声だった。
「えぇ…」
「しっかし、気持ちえぇな…この温泉」
太郎さんは、ブクブクっと顔を深く付けながら答えた。
「そうっすね」
「…」
「…」
そんなに長く会話が続くわけがなかった。それほど知る仲ではないし、当然と言えば当然である。数分間、沈黙の時間が続く。嫌な時間ではなかったが、何も喋らないのは、やっぱりしんどい。
「…」
「弁護士って…、どうなんすか?」
こういう場合は、年下の私から喋り出すしかなかろうと思い。
「どうなんすか?って?」
「どんな人がなるのかな?と思って…」
俺も肩までブクブクッと浸かった。
「…」
「こんな男やがな」
太郎さんは、笑いながらフェイスタオルを額に巻いた。
「…」
「…こんな男や」
自分の顔親指で刺しながら答えた。
「別に否定してないっすよ」
夜空をボーッと見ながら答えた。
「…」
「こう見えて…俺って、弁護士という職種しか経験したことないんよ。学生時代、教授にならんかって誘われてな…。半分冗談のつもりで学校へ通っている時に試験したんや。まぁ受かったからそのままずっと商いを続けているのよ、これでも真面目な。俺の人生って簡単にいうとそんな感じやわ」
「…」
「ちょっと、話を掻い摘み過ぎたかな?」
何も喋らない私を心配して、聞きもしないことまで付け加えてくれたようだ。意外といい人なんすね。知ってましたけど。
「太郎さんって、顔にほんとに似合わず頭いいんすね」
俺は、ポツンと言った。
「口は悪いけど…が足りへん」
「はい」
私は、頬をかきながら答えた。
「アホか。これでも努力してんねん」
「学生で受かっちゃうんだ」
「受かってしまったんやからしょうがない。その時の教授に見る目があったんやろ」
「すごいっすね」
その言葉しか思いつかない。私の学生時代なんて…ああいう簡単に述べられるほどかっこいいものではない。説明するのに何枚も必要な感じ。説明ってのは、簡素であれば簡素であるほどいいと思う。最後は、一行あるいは一言で説明できるのが一番素晴らしいとされる。彼は、それが出来そうだ。
「弁護士ですもんね」
「あぁそうや」
「弁護士ってどんな職業っすか?」
「なんやろなぁ~」
「強いて言うなら、最後の正義ってやつや。例えば痴漢の冤罪で捕まってしまったり、酔った勢いで他人を殴って捕まるといった刑事事件なんかは、弁護士でしか解決できん。普通は、一生に一度会うかどうかの専門家。法律に関するトラブルはいつ、どこで起こってしまうか分からん。いざというときには、弁護士が守ってくれる。少なくとも俺はそう信じているわ」
「ほう…」意外と真面目じゃん。
「そんなこと言って、口で騙しているだけじゃないんですか?」
笑いながら言った。
「そうとも言う…アホか。お前らみたいな奴は、いっそ死んでしまえ。弁護士業ももっと楽になるわ」
太郎さんも笑いながら答えた。
「そういうお前は、何してんねん?」
「出版社のしがない営業です」
照れ臭そうに答えた。弁護士を商いにしている人の前で、ちょっと言い辛かった。所詮、どこにでもいる営業職だから。こういう時嫌になる。
「どこの?」
「KADOKAWAっていう…」
「あぁ~知ってる知ってる。ガキのころからお世話になっているよ。今も。そこの、営業しているの?めっちゃ大手じゃないですか。大したもんやぁ~顔に似合わず、頑張っていますね」
太郎さんは、感心していたように見えたが…。
「本当にそう思っています?」
「思っている思っているって。朝の早うから夜遅まで…走り回って働いているイメージあるやん。あんなクソ忙しい仕事…俺にはできんって。ほんま尊敬するわ。仕事って、あれだろ?どっかのテレビ局で出版社24時みたいな番組見たことあるわ。毎日、大作家の先生の事務所へ行って、原稿貰って来たり、一緒にアイデア出したり…たまにはポチみたいに買いに行きたくもない買い物へ行って来たり…随分大変そうな仕事やったで…」
太郎さんは、湯船から身体を出し近くの岩へ腰を降ろしながら答えた。
「俺には、そんな時間に縛られた仕事…性に合わんわ。やっぱりこの仕事(弁護士)がいっちゃんええわ」
「僕の仕事は、そういう仕事じゃなくて…」
若干話がずれているような気がしたので、修正を試みたけど…やっぱり出来なかった。この人に、どうも口では適わないと思われ…途中で喋るのを止んだ。
「まぁ~いいじゃない、どんな仕事でもそんな大差ないわ。今こうやって温泉へ来れるくらいお互い幸せなんやし…それでええやないか」
この人、やっぱり他人の話を全く聞かない人だ。敦子さんの言う通りだった。たまには、人の話を聞け!っつうか、全然興味ないでしょ、僕の話題に!かぁーーー。幸せねぇ…そうであってほしいけど…実際どうなんだか分かりませんって。
「……もうそろそろ出ませんか?」
私は、湯船から身体を出しながら岩越しに座った。両手でフェイスタオルを絞った。
「もう~あんた、出んのか?サルみたいなやっちゃな」
太郎さんは、寒くなったのか座っていた岩越しから湯船へ移動し始めた。
「サルって…」
「もう少し有難く入らな!じーーんって身体の奥までこの暖かさを感じるまで入らな」
「えぇっ…いやぁ…」
「出るんか」
太郎さん、出る気ゼロのようです。
「もうちょっと、おろまいか」
「はい?」
東京に生まれた人間にとっては、関西弁って本当に分からない時は全く分からない。僕は、爺さんの世代からずっと東京生まれで育っているので、関西弁ていうとブラウン管の中だけのおとぎ話の世界だった。そんなある日、小学生のときに親の友達の子として紹介して貰ったその子が、初関西弁の使い手だった。初めて関西弁を喋ったその子に対して、正直「何喋っているの?冗談だろ?」と思ったことをふと思い出していた。その日は、俺にとってめちゃくちゃ印象深かい日となっていまも深く情緒的に記憶していた。その子は、今どこにいるんだろうか?元気で生活しているんだろうか?その日意外も何度か逢って遊んだ思い出はあるけど、年齢を重ねるごとに逢うタイミングが無くなり、ほとんど逢わなくなった。
「もう少し、おらへんか?って言ったの!!」
なるほど、この表現で分かった。
「いやぁ…もう部屋に戻りますわ。浸かり過ぎると逆に疲れますし」
「そっかぁ…。俺は、もう少しおるわぁ」
「…お先に」
私は、まだ湯船に浸かっている太郎さんを一人置いて、水滴が付いているドアノブを回して場内へ向かった。もう部屋へ戻りたいと思っているが、そうはいっても身体全体がなんか塩っぽいので、そのまま場外へ出ることは出来ず、場内にあるいわゆる一般風呂に入ってその塩っぽさを落としてから出ようと思った。
「チャップーン」
「ふぅ…」
両手の諮問がふやけて、ボッとしていた。こんなに指がふやけるまでお風呂に浸かった経験がないと思われ…若干疲れが出てきた。「じゃ~出ますか」私は、フェイスタオルを右肩へ引っかけて場内を後にした。
残った太郎は、一人だだっ広い湯船に浸かっていた。白い湯気がモクモクと…。ぼーっとしてると湯船に浸かっているのは、一人じゃないことに気付く。初老いやもうちょいいってるか。そんなおじさんともおじいさんとも言えぬ男性が数メートル先にいた。ネズミと蛇といった関係か。この距離感、なかなかのものであった。先に声をかけるのは…やっぱりこの男。
「いい湯加減ですねぇーー」
太郎さんは、黙っていることが罪と思っているのだろうか。そんなことないのに。そばにいる人全員声をかける必要なんてないのだ。
「わしに言っているのか?」
「この湯にあなたと俺しかおりませんやん」
「大きな小言かと思ってな」
「さよか」
「さっき、フロントで大きな声出していた男やろ!あんた」
おじさんも聞いていたのか。有名人な彼。
「おう。そや」
「で、彼女か嫁か知らんが、見つかったんか?」
「はいはい。さっき嫁を確保しました」
湯船でくるくると指で遊ぶ太郎さんであった。
「嫁か」
「はい、出来そこないの嫁です。お蕎麦屋さん継続するってわけわからんこと連呼している迷惑な女です」
「迷惑か…わしもいっぱい迷惑かけたなぁーー」
「嫁さんにですか?」
「いや、一人息子に」
「いいーーじゃないですか。家族同士なら、しかも息子なら全然問題ない。どんな迷惑かけてもいいんじゃないですか!!」
「迷惑かけすぎて、どう喋っていいか分からんのです」
「こんちわーーーでいいんじゃないですかね」
「さっき…孫に会ってきたんやけど会った途端、緊張過ぎてはよう出てきてしまいました。予定よりあまりにもはよう出てきてしまったので、時間を持て余してしまい、今ここにいるんですよ」
「緊張?柄にもない。息子さんらに会ったら、こんちわーーーでいいんじゃないですかね?」
「そんなもんですかね?」
「家族なんて、そんなもんですよ」
「ですか」
真赤な赤の他人同士の会話こそ、案外…真実の答えに近いかもしれない。そんなもんかも。お互いに知らないので、言いたいことを言えるし思ったことが言えてしまう。言ったことでそんなに傷もつかない。もし意見が合わなければ、それで終了。以降、ばったり会う確率も非常に低い。まれに会うケースもあるが…。
楽しみや
喜び
微笑みなどは
どんなに大げさにしても
誰も困らない
「…遅いわね、晴彦さん」
「そう…ですね」
2人は、お風呂にも入らずフロントの近くにあるソファーに座って待っていた。もちろん、そんな状態であることは一㍉も我々男どもは全く知らない。浴場内で、くしゃみをしているくらいボケッとしていた。何ともお粗末な男どもでしょう…。
「うちの旦那も遅いわったく…。こういう時は、時間お構いなしなんだから…ったくもう…」
「…身体…冷えてない?お腹」
敦子は、洋子のお腹を見ながら答えた。
「ちょっと…寒いかな」
「もう…部屋に帰る?それか…フロントで毛布を借りて来ようか?」
「…どうしようかな?」
「…そろそろ~帰ろうかな?実は、もう…眠くて眠くて…」
洋子は、そっとソファーから立ち上がった。
「お腹にも負担かけるし…そうした方がいいわね。すぐ出てくると思ったんだけどなぁ~。もう…ごめんなさいね、洋子さん」
「いいえ、大丈夫です。そもそも…お風呂には、あまり入るつもりなかったですし…入ったとしても、すぐ出てくるつもりでしたから。なんだか疲れちゃったわぁ」
洋子は、片手を天井高く上げながら欠伸した。
「そう…ふぁ~。洋子さんの欠伸を見ていたら、私も眠たくなっちゃったわ。どうせ、あいつは自分の借りた部屋に戻らず、当たり前のように、私の部屋に戻って来ると思うの。私も先に戻ってテレビでも見ながら彼を待っているわ。なんて世話のかかる男どもかしら?」
敦子さんもソファーから立ち上がりながら、片手を上げ吊られ欠伸をした。時間も時間なので仕方ないか。
「敦子さんって、やっぱり優しいのね」
「そんなことないわ。亭主のわがままを聞いてあげているだけ。旦那と揉めるのが面倒なだけよ」
「そっか」
程なくして、私も浴衣に着替えフロントの前にあるソファー辺りを通ったが、もう2人姿はなかった。しかし~相当気持ちが良かった。長風呂って最高だね。悪くない癖だな。
「洋子も風呂から出たのかな?」
俺は、ふっとそんなことを思った。
「…」
「まだこんなとこにおったんかい、晴彦さん」
「うん?」
後ろへ振り向いたら、浴衣姿の太郎さんだった。
「もう部屋に戻ったんかと思っていたわ。意外ととろっくさいんやな?」
「とろくっさいって…。随分なこと言うじゃないですか?まぁ~こんなときくらいのんびりしたいじゃないですか…。何にも考えずに…」
私は、欠伸をしながらモゴモゴと言った。
「そりゃ…そうやなぁ~。でも性格やな…俺は。こういう時でもゆったりした行動取れんのや…。いっつもこう…構えてやなぁ…」
太郎さんは、いっつもリアクションが大きい。たまにイラっとする仕草がああったりする。でもそういう仕草が彼の良さでもある。
「…今…お前、俺の話を聞き流したやろ?大事な話してんのに…」
「…」
確かにほとんど聞いていない。むしろ、正解。
「シーっ」
私は、左手の人差し指を口元に近づけながら言った。
「なんや?」
「なんやじゃないですよ」
「だからなんや?」
「もう…」
「これだから太郎さんって。今…何時だと思っています?いつもこんな感じなんですか?」
「…こんな感じってなんや」
「だから…」
「えっ?」
私は、鈍感な太郎さんにスマフォでタップして時間を教えた。
「もう~12時近いんですよ。少しは、静かにしたらどうですか?」
わざと小声で言ってみた。
「…そっか?」
「そっかって…」
「おう」
「えぇ」
私は、一言そう言い残して、スタスタと小走りながら1階と2階の間の踊り場を抜けて2階へ向かった。当然、廊下には誰も居なかった。ぽつーんと中年男性2人いるだけであった。
「…もう一杯お酒…付き合わんか」
自販機の前で言うと
「…」
私は、じーっと太郎さんを見ながら言った。
「もう、僕は寝ます」
軽く頷きながら洋子の待つ205号室へ向かった。
「さよか」
太郎さんが、珍しく小声で返事を返したのを一瞬耳にしたけど、わざわざ振り返ることもないだろうと思い振り向きもしなかった。太郎さんは、口が寂しそうな雰囲気を醸し出しているが、ここで振り向いたら最後である。今日は、このまま素直に寝むることにする。
「…」
「ガッチャン」鍵は、掛かってなかった。不用心な奴だ。
「ただいま…」
私は、ゆっくりドアを開け寝ているであろう洋子に向かって小声で喋った。部屋は、照明が一つボンヤリと付いているだけで薄暗かった。やはり彼女は寝ているのだろうか?
「…ただいま」
俺は、再度小声で喋りながら、奥の部屋へ入って行った。
「…」
洋子は、布団を肩まで深く被ってスヤスヤと気持ちよく寝ていた。いつもと同じような顔をして。この寝顔を保つために日々頑張っているんだ。「俺も早く寝よう」上着を脱ぎ洋子の隣に引いてある布団に入った。
「…おーさぶ」
”ぶるっ”布団と毛布を深々と肩まで被ると、さっきまで暖かかったはずの体温が若干低くなった気がした。極端に低くなったわけではないが、思ったよりふかふかじゃなかった布団が自分の体温を奪ったのである。なんか残念な出来事だった。
「ガチャン」敦子さんの部屋も鍵を掛けていなかったらしい。旦那がこの部屋へ来ることを確信していたのだろうか。
「ただいま」
太郎さんも部屋に戻ったようだ。戻ったといっても自分の借りた部屋ではない。つまり敦子さんの部屋へ行ったわけだ。太郎さんが小走りで奥の部屋へ向かった。
「…ただいま」
目の前には、二対の布団が引いてあり、その脇でポツンと深夜のテレビを見ながら、お茶を啜っている敦子さんの姿があった。どういうわけか、宿の照明は、薄暗い場合が多い記憶がある。どうしてだろうか?
「なんやまだ起きていたんか?」
太郎さんは、自分の部屋に帰ってきたかのように当たり前に「よいしょ」と言いながら座布団の上に座った。
「うん…ちょっと眠れなくてさ」
敦子さんも当たり前のように、ボソッと言い返した。
「…ほう」
「どうかしたんか?」
彼は、会い方の様子が変だと瞬時で分かったらしい。さすが「夫」だというべきか?私は…というと妻の異変に気付きもしない…男だけれど…。
「何でもない」
「…」
「…」
2人は、しばらく無言でたいして面白くもないテレビを見続けていた。深夜帯の番組ほど落差があるケースはない。しょうもない番組は、見るだけ無駄だった。暇つぶしにもならない。面白いと思われる海外ドラマなどは好き嫌いがあるのでこれに当てはまらない、私は好きな方で、CISほにゃららという警察シリーズドラマは特に好きで毎回録画してまで見ている。確かマイアミやNYなど舞台をあちこち変えて製作しているようです。日本のテレビドラマと違って、一話一話監督や脚本担当者を変えたりするので、何となく飽きることが少ないように思える。日本のドラマのように製作費をかけずに放送しているのとはわけが違う。んー違うな。製作費を抑えても面白いドラマはたくさんある。いまは思い出せないけど。回れ回れメリーゴーランド…って主題歌のドラマは今でも好きです。覚えていますか?
「ねぇ…一つ聞いていい?」
敦子さんから切り出した。
「…」
「何や?夜も遅いしなぁ…難しいことは、頭が回らんよ」
太郎さんは、お茶を啜りながら返事した。
「…」
一呼吸おいてから
「私のお腹に赤ちゃんがいるって言ったら驚く?」
敦子さんも湯飲みを持ちながら、毎日の出来事ように当たり前のように淡々と喋った。
「…あん?」
一瞬、目が点になった。そりゃそうだろう…予想もしない発言なわけだから…例え嘘だったとしても。
「なんて?」
「…だからさ」
「どうやら…赤ちゃんがいるらしいの」
「…らしいって…お前にか?」
太郎さんは、意外に冷静な態度で湯飲みを持ったまま答えた。眉間には、皺を寄せているが…。
「…お前にできたんか?」
太郎さんは、少し大きい声で敦子さんに聞き返した。太郎さんは、子供が好きなのだろうか?今の彼が子供を抱いている姿なんて全く想像が付かない。太郎さん自身が子供のような人だから…。
「ほんまか?」
太郎さんにも「こんな一面もあるんだ」と思うほどの真面目な顔だったようでして、私にそんな顔を当分見せることはないだろうなぁ。
「…」
「…だとしたら嬉しい?」
敦子さんは、鼻をピクピクしながらニヤッと笑いながら言った。もちろん、彼女のお腹に子供なんているわけなく…。
「…はぁ…」
髪の毛をくしゃくしゃにして、
「…なんや、冗談か」
彼は、そういう話題が途中から冗談だと分かっていても、落胆した表情もひとつ見せず隠すこともしなかった。ちょっと寂しそうだったに違いない。
私の方はというと、何も気付かずに布団の中で夢を見ているのだった。ある意味、幸せな男だといえよう。
「…なぁーんだ!ばれたか」
「アホか。初めからバレバレやわ。冗談言うならもっと笑える冗談にしぃーや。お前の冗談くらいすぐ読めるじゃ」
さすが、太郎さんというべきか。自分の妻とはいえ敦子さんの冗談を瞬時で見破ったのは、大したものです。はい。
「…なんで、そんなこと言うたんや?お前…らしくもない。子供がほしいんか?」
「…」
敦子さんは、無言のままだった。
「…」
「…まだ…考えたこともないけど…私は。もう少し後でもいいかぁ…的な。あのお店もあるし…うんうん。やっぱり、そう答えるわよねぇ…普通。そりゃそうよねぇ…うんうん…納得したわ」
敦子さんは、淡々と独り言のようにお茶を啜りながら言った。
「…」
「なんやねん?わけ分からんぞ!あの店は、早うたためって言っているやろ。いつ閉めんねん」
太郎さん夫婦も以前からちょっとだけ確執があったと思われるあのお蕎麦屋の閉店問題を咄嗟に口にしたわけで。私もあの店があまり流行っていないのなら、無理してまで続ける意味があるのかと考える質だが、どうなんでしょうか。祖父の思いを受け継ぎたいと思う敦子さんの強い思いも理解できるけど…無理は、絶対に続かないと思われ。
「…ん、まぁいいか」
「なんや、いいかって。閉めてもいいかって話か。そりゃええやろ。そりゃ。いつやいつ?」
「…洋子さんが、そう状況なのよ」
ポツンと言った。
「うん?なんや洋子さんが突然出てくるねん。あの店を閉めるって話と洋子さんは全く別やぞ。どういう状態やっていうねん?」
太郎さんは、この状況が全く理解できていない。一体なんなんだと。
「…なにごちゃごちゃ私の話を曲げて聞いているの?バカじゃない、もう…」
「あん?」
「彼女のお腹に赤ちゃんがいるのよ」
敦子さんは、面白くない番組をジーッと見ながら言った。
「…ん?」
「えっ?あの嫁はんにか?」
太郎さんは、やっと我に戻れたらしい。
「そうなの。さっきフロント前のソファーで突然告白されちゃった」
湯飲みにお茶を注ぎながら答えた。
「お茶飲む?」「おう」
2人は、無言の会話をした。夫婦とは、そんなもんです。太郎さんは、当たり前のように湯飲みを敦子さんに手渡しした。
「ふーん」
「ふーんって話よね、マジで」
「ふーんって話や。そうなんや…分からんもんやなぁ…スタイルもむちゃくちゃ良かったやん。あんで妊娠しているんか?」
太郎さんは、若干びっくりするもその後は淡々と返事を返した。
「もう…むちゃくちゃ良いってのは余計です」
「お前よりちょっとだけええやないか」
太郎さんって案外見る目あるね。
「もう…」
敦子さんは、ふくれっ面になった。
「そうなんだけど、さぁ。そのいい方本当にムカつくわ」
「ごめんごめん」
「ごめんは、一回でいいんです」
「ごめんって…」
太郎さも言い過ぎたことに気付き、頭を下げた。
「…」
「あんな身体でもう妊娠2が月くらいなんだってさ」
敦子さんは、注ぎ終わった湯飲みを手渡しした。
「そんな身体でようこんなとこへ来たな?えぇんか?」
「それはどうかな~?私にもそれはよく分からないや、経験ないんで。でも、あの後は、温泉に行かなかったわ。ちょっと怠そうだったし。おかげで、楽しみにしていた2回目のお風呂へ入りそびれちゃったわ。朝起きたらもう1回ちゃんと入って来ようっと。元取らないとね」
「なんやお前も入らなんだんかい?もったいない。俺なんか、指がふやけるまで入ってきたで。気持ち良かったわぁ」
「彼女から妊娠しているって告白されて一人で部屋に帰せないでしょ、洋子さんを」
ポットから急須へ湯を注ぎながら答えた。
「まぁ…、そうやな。確かに」
耳たぶを引っ張りながら答えた。
「…」
「それがさぁ…妊娠にもびっくりしたんだけど…もっと、びっくりすること彼女から聞いちゃった。あっでも…この話してもいいのかなぁ…」
「お前の悪い癖やで。話の出来へん話を持ち出すなよ、気持ち悪い」
太郎さんは、真顔で言った。
「…」
「…で、何を聞いたん?」
”おいおい、結局聞くんかい?”と突っ込みを入れたくなった。太郎さんは、もともとしょうもない番組を仕方なく見ているより敦子さんの会話の方が面白いと思ったらしく、テレビそっちのけで聞き始めた。これが世に言う「深夜の井戸端会議」である。しかもその話題の中心は、なんと私ら夫婦の話だったなんて。
「…やっぱり言うの止めようかな?」
「もったいつけんと早う言えや。俺は、弁護士仲間では、口の軽ない奴で有名やで。安心せい」
私含め、今日の4人の中で太郎さんが一番軽いと思うが…。いや、敦子さんか…この二人のどっちかや。いや…敦子さんだろ。どちらにしてもこの話題早く終わらないかな?今日、夢の中で魘されているのはこのせいか…。
「…まぁ…あれっちゃうか。良くある話やけど、彼の子とちゃうちゃうか?」
「そこまでとは~言わないけどさぁ…」
「なんや…。そうだったら大したことないやん?示談で済む話やん」
太郎さんは、「ふわぁ~」と欠伸をしながら言った。
「晴彦さんにまだ言ってないんだって、赤ちゃんがお腹にいることを」
彼女は、とうとう口を割ってしまった。
「ほーほー」
「それはそれは、意外やな。あの嫁さん、晴さんに言うてないんかい」
「…そうみたい」
「わざわざ喜ばしい話題を複雑にしてどないするんやろ?普通やったら、妊娠に気付いた時点で、真っ先に夫に言うやろう。相手も愛する夫なわけやし。おかしなやっちゃな、洋子さんも」
太郎さんは、急に鼻がむずむずしたらしく、片手でその鼻を触りながら話した。
「敦子さんが、今も(子供を妊ったことを)黙っているのは、彼が子供を嫌いだと勘ぐっているからなのよ」
「ほーほー」
「この温泉宿に来たのも、彼が本当に「子供」が好きかどうか調べに来たんだって。そう~私に喋っていたわ」
「…どうしようもないアホな話やな。まぁ~くだらん。子供が嫌いな奴なんて…そうおらんやろ…?いやぁ~おったかぁ~おるなぁ…世間にはけったいな奴おるなぁ。こないだも似たような裁判したな、そういやぁ…「子供は、私の子!」って別の男の子を宿して、最後までしら切って言い争っていた愚女もおったわ。結局、俺に依頼してきた旦那に養育権も取られちゃってさ。まぁ、取られるわな。いろんな男がなぁ…」
太郎さんは、ブツブツ言いながらお茶を啜った。
「…」
「しかし、晴さんってそんな感じに見えんけどな」
「私もそう言ったんだけど…」
「~で、どないすんねん?」
「嫌いだったら、別れるって、彼女…」
「それも、どうなん?話が飛躍しすぎてないか?」
少し眉間にしわを寄せながら答えた。
「障らせたくないって、そんな人に大事な子供を」
「へぇ…意外とめんどい女性やな、洋子さんって」
「めんどいって…」
「それだけ真剣に考えているのよ、私には分かる。洋子さんってそういう人なの」
「…そうでっか」
太郎さんは、唾を飲み込みながら言った。
「…」
「世の中は、全て縁から始まるんよ」
「えっ?」
「縁がなければ、その子はこの世に誕生しないっちゅうこっちゃ」
「…なるほど」
「良縁でなければ誕生しないのよ、子供ってのは。俺らがどうこうできる話とちゃうわ。複雑やな…そう考えると…」
太郎さんは、うんうんと頷きながら答えた。
「…」
「ちなみに…」
敦子さんは、ジーっと太郎さんを眺めながら言った。
「なんや?」
「あなたは、子供好きなの?ちゃんと聞いたことなかったけど…」
敦子さんも結局それが聞きたかったか?
「…」
「そんな心配すんなや、安心せい。俺は、大好きや」
「ふぅ…良かったぁ」
敦子さんは、ホッと胸を撫で下ろした。やっぱりこのことを聞きたかったのね。そりゃそうだ。
「これから一人でも二人でも作ろうや」
太郎さんは、真顔で答えた。
「うん」
「下らんことを聞きおって…ったく…」
太郎さんは、敦子さんのおでこを軽くポンと右手で叩いた。
「…だってさ、心配になってきたんだもん。私は、そんなこと思ったこともないけど、そんな話を耳にしたら…やっぱり私でも多少気になるよ」
敦子さんは、顔を真っ赤にしながら答えた。
「大丈夫だって…。それより、いつあの売れん「そば屋」をたたむねん?もうえぇ加減にしぃやぁ…。お前のためを思ってやなぁ…」
「もう少し待ってよ、やれるとこまでやらせて。お願い。それにさ、あの「お蕎麦屋」は…」
「爺さんの形見って言うんだろ?苦労して就職した銀行を辞めてまで…せんでも…」
「ごめん」
敦子さんは、目を真っ赤にして答えた。
「…」
「まぁ~えぇわ。ふぁ…もう寝ようや…疲れたわ…」
太郎さんは、湯飲みを置き背中越しに引いてある布団にフラフラッと横になった。敦子さんは、ボーッとそう様子を眺めていた。
「はぁ~い。肩でもお揉みしましょうか?」
「おう。なことより小作りしましょう?」
太郎さんは、満面の笑みを浮かべながら布団に寝そべった。敦子さんは、ゆっくりと両手を彼の背中に滑らせた。彼らは、これ以上ない幸福感に満ちていたに違いない。
形だけの幸福は要らない
あなたの気持ちがほしいのだ
その少し歪な形の愛がほしいのだ
真っ直ぐな気持ちなど興味がない
歪な形こそ、最も人間らしいではないか
もう…偽善者にはなりたくない
これからは
等身大の姿で勝負する
それでこそ、
価値があるというものだ
そのためには
あなたの気持ちがほしいのだ
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