エルフについて

■種族


深い森に定住する亜人種。十から二十人程度の小さな集落を形成し、その顔ぶれは千年経過しても変わらないことがある。

長命かつ少数であることからあまり寿命など明確になっておらず、事故や病で死亡した個体こそあれど老衰とは無縁である可能性は否定できない。


飲食、排泄、生殖の機能、外見など人間と似通ってはいるが、大気から効率よくエネルギーを吸収する術があるため餓死することはほとんどない。

長寿の影響から生殖本能が極めて希薄であり災害、戦争などの要因で群れが絶滅の危機に追い込まれるなど不測の事態においてのみ発情期を迎える。緊急性が高いためきわめて受精しやすく、異種族との混血種ハーフエルフの存在などが確認されている。


生殖本能の希薄さから外見の男女差は小さく、飲食による摂取が最低限の為に総じて中性的で痩せた体形をしている。森で生活していることから野生動物のように触覚、知覚が鋭敏であり、その象徴として耳が角の様に長く左右に突きだしている。



■宗教


偶像崇拝の文化はない。しかし『精霊』との共存を規範としている為、禁忌としていることは多い。

自然の維持と保存を至上理念とし、個人よりも群れを重視する。群れの中には精霊となわばりの自然すらも含めている。


精霊からの恩恵を実感できる唯一の種族ゆえに他種族との確執は大きい。加工に執着するドワーフや破壊を厭わない人間などとは相容れず、排他的、偏狭などの印象を持たれている。



■精霊


精霊とは大気中に漂う不可視の存在である。エルフは特有の感覚器官でそれらとの対話を可能としているが、人間には知覚することすらできない。


精霊は現世と『精霊界』とを行き来する存在である。あらゆる元素を活性化させる性質を持ち生命の循環を手助けしている。

精霊界とを行来するさいには『マナ』を発生させる。マナは大気中に散布され、すべての生物が無自覚のうちに体内に吸収している。


それゆえ精霊界とを行き来するいわゆる『精霊の出入口』はその周辺が樹海化し、エルフが森に定住するのは精霊に寄り添うためである。



■マナ


マナは酸素と等しく生命活動に必須のエネルギーであり、吸収、循環が滞るとマナ欠乏症に陥り死に至ることとなる。


魔術師はマナの体内循環を自覚、操作するところから始め、燃料として作用を起こすことで魔術を行使できる。

しかしその習得、使用には困難を極める為、時間や環境を整えられる金持ち、なかでも資質のある天才のみが魔術師になりえるとされている。



■精霊魔法


精霊は個の持つ属性エネルギーを活性化させる特性を持っており、精霊との交信によって作用を起こすことを『精霊魔法』と呼ぶ。特性上、エルフ特有の魔術である。


自身に蓄えた魔力を消費する一般的な魔術と違い、精霊魔法のエネルギーは精霊に依存しているため術者の消耗を起こさない。内部エネルギー依存か、外部エネルギー依存であるかが大きな違いである。

また、習得が困難である魔術は用途を限定されがちであるが、精霊魔法の効果は精霊との信頼関係のみが成果を左右し、非常に自由度が高い。



■精霊界


精霊界は現世と同じ座標にある別空間に存在する。それゆえ、どこにいても隣り合わせているといえるが、精霊が出入りするのは特定の場所『精霊の出入り口』に限られている。


マナは地上に行きわたるが、出入り口に近いほど潤沢であり『精霊魔法』の効力や魔力の吸収に影響を与えるパワースポットとされている。

出入り口のほかにも精霊が好んで停滞する『精霊のたまり場』などでも同様の効果が得られることがある。


エルフの長寿も精霊の出入り口を囲み、鋭敏な感覚で精霊との交信を続けていることが原因だと考えられる。


精霊界には精霊以外が存在することは不可能とされているが、現世と精霊界の『狭間』に立ち入ることをエルフは可能としている。

『狭間』も人間などには知覚不可能で、森のなかでエルフを見失うなどの現象は狭間への移動が原因であり、これは『エルフの隠れ家』『エルフの通路』などと呼ばれている。



■深化とその果て


『狭間』を越えて現世と精霊界の二つに同時に存在している状態をエルフの『深化』と呼ぶ。

深化して精霊との接点が密になることでより強力な精霊魔法を行使できるようになる。


個々の意志によって深化可能ではあるが、精霊に対する侵略行為として禁忌とされている。

深化したエルフは群れから永遠に追われ、エルフとして生きることは許されない。


深化エルフは半身を精霊界におくことでおのずと精霊よりの存在になっていき、まず体色などに変化が生じる。

その魔力と外見から、深化状態を指して人間は彼らをダークエルフと呼んで畏怖している。


精霊界側の半身が完全に精霊化してしまうことで、現世の半身は竜の姿へと変貌する。

ワイバーンやドレイクとは異なり永劫を生きるそのドラゴンを人々はエンシェントドラゴンと呼ぶ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る