登場人物解説①
※キャラクターの紹介というよりは作者視点による解説になります。
もっと皆さんと話がしたいなーという欲求の発露なので、暇潰しだと思ってください。
▪️ギュムベルト
15歳。
第二シリーズの主人公。娼館で下働きをする孤児の少年。
身の程を思い知るまでは誰もが痛い勘違い野郎だ。というのがスタート地点。
外に出て人と接することでいかに人生が一人では成立しないものか、人と人との摩擦こそがドラマであり人生の醍醐味であることを体現するキャラクター。
演劇とはそれを知るための教材的な側面を持っていると思います。
イーリスたちが人前で何かをするエキスパートということもあり、新シリーズにおいて読者と一から演劇を知っていく視点として最適との考えから誕生しました。
無垢の状態から始まることもあり、若い頃にしがちな失敗や勘違いは全てして欲しいくらいの気持ちで書いているので、苦労するに違いありません。
それがリアリティのあるドラマになると思うし、そういう意味で第一シリーズから続く最弱主人公の系譜と言えるかも。
演劇の物語に彼は必要ですが、エルフの物語には必要ない。いたずらに登場人物が嵩むことには悩みました。
エルフの物語の雑音、邪魔になるかなって。リーンエレ中心にすべきかなって。
しかし、劇『団』の雰囲気を読者によく理解してもらおうと考えたら、縮こまっても仕方がないのかなと思いました。
今後もし続くとしたら、演劇適正と絡めてドワーフの話、ホビットの話って、いくらでも書けると思うのです。
でも、時間も気力も限界があるから結局四部作くらいになるのかなとか。
それで、締めくくった時には全編でギュムベルトの物語と言えるようになるのかなと。
今後、未熟な部分を強調して書かれるであろう彼はきっと好かれないだろうなとは思いますが、嘘くさくない現場の空気を届けてくれると思うので暖かく見守ってくれると嬉しいです。
▪️ユンナ
12歳。
ギュムベルトと似通った境遇を持つ幼馴染。子供とセックスしたい大人の玩具。
まず演劇やるぞーってなって、どこでやるのかとなった時に売春宿が候補としてあって、それ以上に意味を持つスタート地点を思い着くことはありませんでした。
踊り子にしても芸者にしても、女性を魅力的に魅せるということは自分を買ってもらう為の手段というのが根底にあります。
演劇や芸能、アイドルも同様。売春するかは別として、付加価値をつけた方が売れやすいのは確かです。
ルックスに差が無くても、より人が欲しがるものが高く売れるのです。
芸人の下積みはストリップ劇場みたいな伝統もありますし、舞台が娼館であることには色々な活用法があるなと思い、併せて娼婦を登場させることになりました。
主人公と同い年でも書けることは色々あって悩んだのですが、年下に。
そうした理由は読者さんが不快感を覚えてくれたら良いなと思ったからです。
ロリコンの登場する素晴らしい作品はそれが禁忌であることが前提としてあるからだと思っています。
それが本来グロテスクであるということは失念すべきではなく、後ろめたいことであるべきだと思っています。
もっと脇役の予定だったのがとてもイキイキしてきたので、書いてる途中から今後の役割やエピソードなどがポンポンと浮かびました。
それを書くことになるかは気力次第ですが。
▪️ユージム
20歳。
やる気のない警備兵。
新しい世界に入る時、猛者だらけの中に手ぶらで放り込まれたような状況で、同時に始める『奴』の存在は重要です。
刺激にもなるし励みにもなるし上にも下にもない安心感もあれば、嫉妬の対象だったり危機感を煽る存在でもあります。
シリーズが長くなるほどやりようの出てくるポジションだと思います。
▪️エルフ姉さん
シリーズ全体の主役をギュムベルトだとして、今作の主役は彼女です。
もっと目立たなく書いた方が良かったのか、それだと正体が明かされた時に物足りないのか。
最後まで無名のモブっぽい扱いを心がけるか悩んだ結果、作劇上の役割が増えてあの塩梅になりました。
演劇という閉じた空間でどうやってファンタジーに価値を与えるのか。
ひとつの答えとして、異種族をかけ離れた存在としてしっかり描く。そうすることで『異』世界感を出せると考えました。
そういう意味では誇張されたエルフ象だと言えます。
善し悪しとは思いますが冒険しないんだから、そこは盛らないと味がしないよ。という感じです。
じゃあ何が人間と違うのかなって考えたら、出産の比重だろうなと。
常に急かされている人間と違って期限に圧倒的な余裕があるんだもん。
減らないのに人間の数を超えないなら、人間と同じペースで子供を作ってはいないということかなと。
性欲やテストステロンの分泌量を意識して種族を描くことは、舞台が娼館であることとも繋がりが出でくるなとも考えました。
問題は、新シリーズこそもっと皆に読んで貰えるものにと思ったのに、売春婦と無法者しか出てこないアングラ作品になってしまったことです。
でも、ガチガチに噛み合ったテーマを分解なんてできなくなっちゃった。
エルフの物語を脚本だと言ってしまうと臨場感が損なわれる。
なので現実のパートと脚本のパートを同時に起こっていると読者に錯覚して貰わなければならない。
エルフ姉さんはその仕掛けとして、娼館のエルフとして名前を明かさず、口調が昔と大きく異なります。
男女差の乏しいエルフ同士で暮らしていた時には女言葉でも男言葉でもなく、男を喜ばせる仕事を長年続ける内に女言葉になっていったという変化を表しています。
主役回は終わりますが、照明には火をつけるか消すかしかない世界で灯りを自在にできる
。そんな彼女は劇団で大活躍すること間違いなしでしょう。
▪️娼婦A
美容目的で稽古に参加、ニィハに背骨を鳴らされてはしゃいでいた。
ミーハーなタイプで責任が伴うことには消極的。
演劇には参加しなかったけれど、途中で投げ出すことを事前に回避できた分別のある子とも言える。
当日はよく手伝ってくれていた。
▪️娼婦B
シエルノー役。普段は無口で孤立している一匹狼タイプ。
しかし情熱は本物で、黙々と台本を読み込んで問題を起こすことなくシエルノー役を全うした。
普段と役との落差が大きくみんなを驚かせた。
▪️娼婦C
メディレイン役を失恋のショックにより辞退。
▪️娼婦D
娼館の支配人役、虫歯で当日脱落。
身勝手に役を降りたCに怒り、掴み合いの喧嘩を演じるほど情熱を燃やしていたが不幸に見舞われた。
本番当日に脱落者が出たエピソードは作者の体験談。脱落したのが主役で今も第一線で活躍されている大人気の役者さんだったので作中より大惨事でした。チケットも払い戻しに。
演劇が生物であることが伝わる出来事だったので入れてみました。
▪️娼婦E
エルフの娼婦役から急遽メディレイン役へと変更された苦労人。
出番直前にユンナが暴走したのでストレスで死にかけていた。
▪️マダム・セイレーン
娼館パレス・セイレーネスの支配人。
高級店であることを価値として、女性の尊厳と将来を守っている敏腕女史である。
役割としては二つの物語が同時進行していると錯覚させる為の装置であり、演出として娼館の客に馴染みの店から始まる物語を体験させるというイーリスの演出意図とも連動している。
読者と作中の観客に対する二つのアプローチを果たすキャラクターとなっている。
偉大な陰茎海賊団とのやり取りは完全に勢いの産物。
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