第1幕1部 二人目、代役


変な事をいうようだけど。

俺は家族と秀ちゃん、クラスメイトの事は理解できてるんだ。

それなのに、自分自身がわからない。

誕生日、覚えていない。

でも、書くときは勝手に手が動いてくれる。

あと、今日が始まったらここに来なければならないと頭にあったから。来てみたんだ。


今日、学校に来たら……その、記憶にない、見慣れない生徒が居たんだけど、その生徒は俺の席に座ってたんだ。

秀ちゃんの隣、俺の席なのに。


おかしいんだよね、その人。

俺の事を睨んでくるんだよ。何しにきたんだって感じでさ。


その人は『俺に成り代わって、楽しい?』って聞いてきたんだけど、俺は意味がわからないから、その人に対しての言葉が出なかったから、黙ってたんだ。


『俺が思い出を持ってるのに、お前は俺の代わりにここにいるけど、そもそも中身が空っぽの作り物だ。』

なんて、その人に言われたんだけど。

学校の事、家族の事も、秀ちゃんと幼なじみで親友なのに、思い出の記憶がないんだ。自分の記憶は、空っぽみたいで。

でも、話の時は勝手に口が動いて語ってくれる。


いろいろ考えてたら、その人は消えて、俺もぼんやりしてたみたいで気が付いたら席に座ってたんだ。

ずーっと、誰もいない教室でさっきの事思い出してたら、教室に秀ちゃんが来た。


俺の口からお決まりの台詞が出てくる。


でも秀ちゃん、元気なかった。

なんだか不思議な顔して、俺を見てた。

その内に、生徒会長の郁香ちゃんも来た。いつも3人で話している筈なのに、秀ちゃん、変な笑い方してた。


その内に机に突っ伏して、こっちには顔を向けてくれなかった。


郁香ちゃんも、なんだか心配そうな顔してた。

いつもは元気なのに、沢山冗談を話してくれるのに。


そういえば俺は、2人と話してる時、どんなだったかな。


昨日は3人で何を話したんだっけ。

やっぱり、それは……俺が何か、違うからなのかな。

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