第17話 シュリア
あらすじ
ピリオ側→ダンクだと思った?残念、 スーパーハイパーマスターウルトラアームストロングネオパーフェクト暗黒大魔王様でしたー!
ダンク側→ スーパーハイパーマスターウルトラアームストロングネオパーフェクト暗黒大魔王様だと思った?残念、ダンクでしたー!
〜洞窟内〜
ピリオと包帯男は杖に魔法で灯りを点し、洞窟内を歩き続ける。
ヒカリゴケが光に反射し、仄かな輝きが洞窟を照らしてくれている。それはまるで異世界に来たような感覚だった。
「これ、何の魔法なの…?」
「何だ若者よ。ヒカリゴケも知らんのか?」
「ヒカリゴケ?」
「光を反射する特殊な苔の事だ。
…さて、着いたぞ」
「…?」
包帯男はそっと手を差し向ける。
そこには小さなテーブルと椅子とベッドが置かれた、洞窟内の小さな生活空間だった。
「ベッドだ!」
「今日はここで休むが良い、矮小で無知なる若者よ。
果て無き世界へ旅立つには、やはり朝日を浴びながらと相場が決まっているからな」
「矮小で無知なるって…何か嫌味ったらしいなぁ」
「実際、ヒカリゴケを知らなかったし、今貴様が使用している灯りの魔術より洞窟向けの魔術など、沢山あるのに使ってはいない」
「え?」
「洞窟内の地形を記憶す魔術、暗闇に灯りを灯すウィル・オ・ウィスプ、獣や虫除けの呪文…。
それらの基本呪文を使わず『ライト(点灯)』の呪文だけで洞窟内を歩くとは、魔術師として無知な証拠だな」
「う…」
次々と自分の知らない呪文を聞かされ、思わずたじろぐピリオ。
包帯男は話を続ける。
「…そう言えば貴様、名はなんだ?」
「え?何でここで名前を聞くの?」
「いつまでも『若者』では他の若者が来た時面倒だろう。
問おう、貴様の真名は何だ?何が貴様を現世に留まらせている?」
「え、ぼ、僕の名前はピリオ…。
ピリオ・ド・シュリアだよ?」
「何っ!?」
包帯男の目が見開く。そしてピリオの両肩を掴んだ。その力はあまりに強く、ピリオではふりほどけない。
「き、貴様…!
あのシュリア家の者なのか!?
しょ、証拠を見せろ!」
「え、う、わ、わかった、わかったよ!
だから放して!」
「む……すまない」
解放されたシュリアは鞄からある物を取り出す。
それは父、オタク・ド・シュリアから貰ったシュリア家の紋章だ。
丸いペンダントの中には雄山羊の絵が描かれている。
それを見た瞬間、包帯男の雰囲気が一瞬で変化した。
「…な、なんだとオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
包帯男はもう一度ピリオの両肩を掴む。
「き、貴様!
シュリア家の娘だったのか!?
『彗星魔女』スター・ド・シュリアの一人娘だったのか!?
答えろ!答えて見ろ若者よ!」
「……………」
しかし、幾ら包帯男が叫んでもピリオは一切喋らなかった。
何故なら突然の咆哮に立ったまま気を失っていたからだ。
それに気付いた包帯男は肩から手を離し、ガクリと膝を付く。
「……そうか、もう終焉ピリオドか。
始まりのシュリア、スター・ド・シュリアが来れば我など一瞬で消えてしまう…」
包帯男は辺りを見渡した。
ヒカリゴケが見せる洞窟内の幻想空間を、包帯男はじっと見つめる。
「…できるならば、もう一度貴殿に会いたかったなぁ。
我が弟子、ダンス・ベルガードよ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます