『 DAY of WRATH 』【Ω】
“主の思召しは尽きること無く”――プロパゲイト・サクラメントゥム。
――アンドレは、自らが用いる〝秘跡〟を、そう呼んでいた。
彼の異能は、“
つまり、無数に出現する手榴弾の正体は、異能の力で生み出された、〈複製体〉とでもいうべきもの。それらはコピーレフトではあるが、決して「
目の前で起こった、超常の
しかし、異端審問部隊とて歴戦の士の集まり。アンドレの起こした〝秘跡〟にもまったく
空中で撃ち抜かれた榴弾は、審問官たちの
それに対し、アンドレの投擲量もその激しさと速さを増していく。そうするうちに、どうしても撃ち落とすことができずにキルゾーンへ入ってくる榴弾の存在が出てくる。
「……!!」
足元へ転がってくる榴弾。第一発見者の隊員は、まるでその役割がはじめから自分に割り振られていたかのように、即座にそれを実行に移した。
遅れて気付いた者たちも、そのあとに続く。
「我らに勝利を……!!」
「英雄たちに!!」
――直近の隊員たちが二、三人で手榴弾に覆いかぶさり、「肉の壁」となった。これで部隊への人的被害は最小限に抑え込まれる。
爆発物の破片の飛散を喰い止めるのには、「人体」という素材が最も適している――無論、「肉の壁」となった者に死を免れることはできないことも含めて、理解している。それでいてなお、彼らの行いに、一切の躊躇いさえ見受けられなかった。ただ己のやるべきことを理解し、実行に移し、そして、死んでいく。この者たちもまた、狂信者なのだ。「戦場」と言う名の聖地を得た、狂信者――。
アンドレが手榴弾を投げ続けて数秒――――ようやく投擲が途切れたところで、ドラコフの一行が反撃に出る。
爆煙と土埃にまぎれ、部隊が素早く展開した。
「敵の能力は〈
指揮官は、敵の異能力の正体を見抜く。
通常、手榴弾は種類にもよるが、安全ピンを抜いてから四~五秒ほどで起爆する。これは、アンドレが「はじめの一つ」である手榴弾の安全ピンを抜いてから、全て投げ尽くすまでの時間と、ほぼ一致していた。
「この一瞬で見抜く、とは。……見事なもの」
だが、自分の武器は手投げ弾だけではない――――アンドレは、己の背に負っていた二本の鉄棍を掴み、
この棍の形は、クルス教において『聖アンデレ十字架』もしくは『セントアンドリュー・クロス』とも呼ばれているもの。その名を冠する殉教聖人アンデレの拷問と処刑に使われた十字架の
――その曰くつきの十字架を模した、神聖なる武具こそが、彼の聖棍。名を、『聖叉十字棍』と言った。
「
祈りを終え、アンドレ。その奇怪な黒き交叉棍を以て、異端審問官たちに打ち掛かる。
――袈裟打ちでの先制。首の骨を破砕し、まずは一人。それに対応して、審問部隊員が三名、素早くアンドレを取り囲む。三方からの、連続した銃剣刺突。アンドレは棍で二撃、三撃と
アンドレに一番近い隊員が、即断でライフル(スリングによって肩から掛けられている)から銃剣を取り外し、ナイフ戦の構えへ。接近戦を考慮し、もう片方の手もライフルから離して、サブウェポンである
斜め下から振るわれる銃剣――それをアンドレは風車のように回転させた聖叉棍で下から打ち上げる。X字棍の一先端部が廻旋とともに刀身を
グリュゴキュ、と破壊音――捩じ折られた頸椎は著しく損傷し、隊員は死亡。きりもみしながら放り出されて、どっと地面に落ちる。
アンドレは側方宙返りの慣性のまま振り下ろされる両足を、もう一人の隊員へ二連蹴りとして浴びせ、倒れゆく相手の胸板を踏み台に、今度は後方宙返り。残ったもう一人の敵へ、上空から大きく叩きつけられる聖棍。遠心力も込みで、鋼の棒芯が力強く相手の胴体を打ち、交差部で押さえつけながら、己の全体重もぶつけて、押し倒す。倒れ込むと同時に、
――武術全般の中でも特に棒術を得意とする使徒アンドレだが、極めて特殊な形をしたこの鉄棍に関しては、扱おうと思えば通常の棍法だけでなく、それなりの熟練度が必要とされる。そのような武具に対して、中心から四方に分かれる棍それぞれを巧みに持ち替えながら取り回し、アンドレは見事、使いこなしている。
銃弾を、鉄棍による防御で弾きながら接近。アンドレは隊員たちを、防具の上から、次々に打ち据えていく。ヘルメットやボディアーマーの重装備で守られているのにもかかわらず、隊員たちはなぜか皆一撃で昏倒し、戦闘不能に陥っていた。
「……くそっ! 化け物め!!」
さきほど二連蹴りを喰らった隊員が、体勢を立て直し、アサルトライフルでの銃撃を加える。至近距離で防ぎきれず、アンドレの腕に鮮血と銃傷が
それでも怯むことなく、「哈ァッ!」という掛け声とともに、交叉棍を打ちつける。
異端審問官はそれを、手に持ったライフルの銃身で受け止め、防御。そのまま棍を受け流して、銃口を相手に向け、トドメを刺そうとする――が。
「――ッ!?」
ライフルの銃身は、打ちつけられた鉄棍からびたりと吸い付いて、離れなかった。それらはまるで工業用の強力な接着剤で接合されたかのように(もしくは強力なネオジウム磁石がお互いを引きつけ合うかのように)分かちがたく、ライフルはあっという間に棍に絡め取られてしまう。
よく見てみると、聖棍と、ライフルの銃身が、混じり合うように融合し、くっ付いてしまっているではないか――。
「鍛冶師、老トバルカインの造られた『交叉十字棍』。その奇跡は『交叉』の形が示す現象――即ち〝結合〟」
教団に仕える老鍛冶師、異能者トバルカインは、自身の造った『神聖武具』に、超常の力を宿らせることが出来る。それら〈聖造〉の際には、いくつかの困難な条件をクリアしなければならないが、つまりは、ファンタジーに出てくるような魔法の武具を創り上げる、〈
そして、アンドレの『聖叉十字棍』に与えられた力とは、彼自身も言ったように――「棍」と、「棍で打った物」、もしくは、それらどうしを〈結合〉させる能力。
この能力を使い、敵の防具と棍を〈結合〉させれば、擬似的な「すり抜け」のような現象を引き起こすことも出来る。アンドレはこれによって、防具の向こう側にある人体急所に、効果的な打撃を与えていたのだ。相手の防御力を無視した打撃、そして敵の武器を簡単に奪うことの出来るこの『聖叉十字棍』の附属効果は、まさに白兵戦にうってつけのものといえた。
さらに、その応用法は攻撃面だけに留まらない――。アンドレは、さきほど撃たれた自らの腕の銃創部をその神聖なる鉄棍で押さえ付けると、傷口の肉どうしを〈結合〉させ、ぴたりと閉じてしまった。このように使えば、応急措置程度ではあるが、治癒能力としても使用できる。
「ば、化け物め……」
――奇跡の一部始終を見ていた隊員は、もう一度だけ、今度は心の底からの畏怖を込めて、そう言った。
「化け物でも悪魔でも結構――」
――どうせ私達は、聖人にも天使にもなれないのだから。
アンドレは鉄面皮の如き無表情のまま、鉄棍による突きで相手の眉間を砕き、これを殺した。
「――なれば、私の持つこの十字棍も、いまやヒトの罪背負う慈悲深き十字架ではなく。諸手に持ちて貴様たちを打ち砕く、悪魔の鉄槌となろう――」
アンドレは、十字棍のX字に別れた先端のうち二つを、それぞれ両手に持った。継ぎ目もなく繋がっていた
そう、交わっていた二本の棍は、使い手の意思でいつでも自由に着脱可能――先ほどまで、分かつことなく完全なひとつの
両手に黒の鉄棍を構え、アンドレが舞った。自在に棍を
八面六臂と敵を打ち据えるその舞いは、攻防一致である。双棍は敵から撃ち込まれる弾丸の到達を阻みながら、黒い嵐のように吹き荒ぶ。
一陣の黒風となったアンドレは敵部隊の布陣を縫うように進みながら、打つものの打撃音と、打たれるものの悲鳴が、黒影の過ぎ去るあとに追従した。
「こいつッ、止まらないッ……!!」
「弾が当たらんぞ!」
「展開しろ! 面で捉えるんだ!」
審問官達は驚愕する――。
一体、この神父の眼には、どこがどのように見えているのか。多数の敵の動きを、果たして、何手先まで読んでいるというのか。
とても尋常の戦士には計り知れぬ、超反応と思考速度――それらを見せつけながらも、感情亡き静かな相のまま、たとえ躰に銃弾を受けても臆さず、止むことなく、息ひとつも切らさずに。嵐のように振るわれる双棍の勢いは、速度を落とすどころか、無尽蔵に強まるばかり。
その働きぶりはまるで、演算機の脳と鋼の心臓を複数個搭載している、戦闘機械のような――。
「――哈ァアッッ!!」
カカン! コン! カンッ! カコン!!――聖棍が数閃、瞬時多方向に
……そう、敵の躰を直接、聖棍で打つ必要はない。棍でライフルの尖端さえ打ちつければ、その異能が銃口を〈融結〉させ、弾丸の出口は無くなる。その状態で引き金を引けば、腔発した弾薬が筒内爆発を引き起こす。幾人もの隊員のライフルが暴発し、うち多くが戦闘に支障をきたすレベルの怪我を負った。あとはアンドレが手を下さずとも、その混乱に乗じて周りの信徒たちが
「……クソッ、あの
隊員の一人が叫ぶ。アンドレを取り巻く異端審問部隊の面々は、即座にライフルからマガジンを取り外し、薬室内の装弾も排出。銃口下部のアタッチメントを銃剣へと取り替え、アサルトライフルを完全に短槍として運用する方針に切り替えた。
だが、その戦闘状況こそまさに、武人たる使徒にとっては願ってもない独壇場。アンドレは己が双棍を〈結合〉と〈分離〉で臨機応変、様々な形に組み直し変形させながら、その冴えわたる武錬をまざまざ見せつける。
二本の棍を、直角――Tの字型に接合。アンドレはしゃがみながら、そのT字棍を最大限のリーチ、ほとんど端を持った状態で地面すれすれに振るいながら一回転。己を囲んでいる敵どもの足を、軒並み刈り取った。
文字通りに「浮足立った」隊員たちは固く冷たい土の上に転がされ、そこへ周囲の信徒たちが群がり襲い掛かって、息の根を止めていく。
この波状攻撃を逃れ、素早く起き上がることのできた隊員が、約一名。彼は目の前の信徒をライフルのストックで殴り抜き、その顎から下を吹き飛ばす。さらにもう一人の立ちはだかる信徒を蹴倒し、銃剣で上から、素早く。肋骨の隙間を通すように、肺から心臓までが串刺しにされた。
「……ゥォオオォ!!!」
勢いづいた審問官は、獣のような吠え声を響かせた。そのまま邪教徒たちの刃と銃砲を掻い潜り、一直線、アンドレに向かって、獰猛な銃剣突撃をかます。
並の武芸者では防ぎようのなかったであろう、見事な吶喊と
同時に右手では、遠方の壁際から自分を狙って銃を構えていたもう一人の隊員に向かって、『交叉十字棍』を投げつける。廻旋しながら飛んでいった聖棍は、アンドレに向けられていたライフルを叩き落とし、さらに、土壁と融合して狙撃者の体を
そればかりではない。たった今棍を手放したばかりのはずのアンドレの右手――そこにはいつの間にか、彼が左手で押し止めていたものと全く同じアサルトライフルがもう一挺、はじめからその手の中に在ったかの如く、握られていた。
“
〝秘跡〟による〈増殖体〉が、瞬時に出現していた。
異能によって、「無」から〈構築〉された銃身。寸分たがわず創造された銃口から吐き出されるは、そこに存在し得無かったにも拘わらず、理外の力によってを顕現を許された、実存の弾丸。それら黒鉄の
神父が、唱える。
「――詩篇に主のふるわれるごとく鉄の杖、いま、我が両の手のうちに。
彼は、己の手で〈複製〉されたアサルトライフルを、もう片方の手に〈二重複製〉。両手に突撃銃を構えた二挺機関銃のスタイルで敵兵を薙ぎ倒しながら、『聖叉十字棍』を回収しに走る。
双棍の扱いを得意とするアンドレにとって、短槍術の要領で銃剣付きライフルを二挺操ることは造作も無い。それに加え、最新の
彼は道阻む者達をライフルの掃射と銃剣の斬撃刺突で排除しながら、
弾切れし、ボルトストップ状態となった二挺のアサルトを放り捨て、アンドレは壁と結合していた神聖武具を、磔死体から引き剥がした。
やはり。己の武具が一番、手に馴染む――。
Tの字に繋がっていた聖棍は再び二本一対へと分解、今度は棍の先端どうしを
しかし異端審問部隊の装備は軍用のアサルトライフル――いくら間合いを伸ばしたとはいえ、射程距離の差は歴然であり、棍棒の一本だけでどうにかなるものではない。
異端審問部隊の者達もそれが分かっているからか、即時、冷静に距離を取って、複数人によるライフル銃の掃射を浴びせてきた。
部隊員たちの犠牲は、無駄ではなかった。彼ら決死の覚悟と殉職によってこそ積み上げられ、届き得た勝機である。これまでの激しい戦闘による失血、蓄積したダメージと疲労――アンドレの足は、思うように動いてはくれなかった。
――弾は、面白いように当たった。
まずは右腕。左肩。
次に左脇腹。
右太腿。
左膝。
全身に連続してライフル弾を受けるアンドレの躰は、関節の壊れたマネキン人形が踊り狂うかのように後退し、壁際まで追い詰められた。
「うっ……ぅ……」
息も荒く、意識も混然としている。
いよいよ袋の鼠となった使徒にとどめを刺すため、審問部隊が隊列を組んだ。
「目標補足!」
ドラコフの掛け声とともに、一斉に射撃の構えへと移行、
「……
冷厳な指揮官の号令が、無慈悲に響き渡った。
今わの際。幾つもの銃口が己に向かって並び、そこから吐き出される、火と煙――そして、弾頭が疾駆するのを、アンドレは視た。
もはや戦闘本能のみを拠り所に、かろうじて立っていただけのアンドレ。彼にその無数の射線を躱す
躰じゅうの銃創から熱い体液が流れ出す。自らに空いた穴という穴から急速に血流が失われていくのは、まるで肉体から魂が抜け出していくかのような感覚を
使徒は、目前の虚空に向かって、何かを見出すかのように、光を求めるかのように、手を伸ばし――――最期の言葉を。搾り出した。
「我らが……教団に……栄光、あれ……」
呆気ない、最期だった。
アンドレはどっと壁に寄り掛かり、目を閉じた。壁面にずるずると血の跡を残しながらへたり込んで、動かなくなる。
ドラコフの部下の一人が、死亡確認のために、死体の傍らまで歩み寄った。異能者が相手では、一切の油断も手抜きも許されない。死んだふりなどさせないよう、確かなトドメを刺しておく必要がある。
審問官はサブウェポンの拳銃を抜き、アンドレの頭と心臓に、銃弾を四発ずつ、念入りな点検作業のように――迅速に丁寧に、確実に、撃ち込んだ。
「……フン、ようやく一匹駆除したか」
使徒アンドレの
だがその時には既に、次なる異変が彼らを襲っていた――。
何か、大勢の人影のようなもの――それらが、ゆらゆら、のろのろとした動きで、異能審問部隊を取り囲んでいた。
群れで蠢く、不気味な人型のシルエット。その正体は、使徒でも、信徒達でもなかった。人間――いや、「生き物」ですらもなかった。
「 “主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻から吹き入れた。そこで人は生きた者となった”――――」
青年の発する、張りのある清らかな声が墓堂内に響き渡る。『聖典』創世記――第二章七節よりの引用である。
すると、
「土の
――剣林弾雨の修羅場にも拘わらず、教会で聴衆に説法を聞かせる司祭のような、よく通る声。
「しかし当然か、模倣であるがゆえ、主の素晴らしき奇跡には及ぶべくもなく。ヒトによって造られたそれらは、とても生きものとは呼ぶことのできない、不出来で醜い代物だったと云われています……」
大きな聖典を片手で胸元に抱え、威風堂々と異端審問部隊の前に姿を現したのは、もう一人の『十二使徒』――士門。
「――であれば。
醜き背信者である我々が使役し、醜き神敵である貴方がたを葬るがため。この醜い
士門はそう言って、壁に
「悔い改めなさい、御国は近付かれた。
心せよ、救いは平等に訪れる。
我らこそは、
今ここに汝らが罪精算され、負債無き清き魂を以て、天にまします我らが神の御許に旅立たれんことを――エイメン。」
祈りの言葉の終わりとともに、泥人形たちの
隊員たちは銃撃で応戦するが、凝縮された土の塊であるゴーレムに対して、突撃銃の掃射では効果は薄い。
「点」での貫通力が高いライフル弾を用いても、弾頭が細かな土の粒子を押しのける際に運動エネルギーが吸収・発散され、威力はほとんど殺がれてしまうのだ。防弾用の土嚢に弾を撃ち込むのと同じようなもので、あまり有効な攻撃手段とは言えなかった。
ならばと、
そうしている間にも、士門の使い魔たちは弾丸を意に介することもなく、緩慢な歩みで、しかし確実な足取りで、敵に近付いて行く。抱き
「何をしている! 総員即時、ショットガンもしくはグレネードで対応しろ!!」
ドラコフが叫んだ。彼の部隊が採用する
「む……!」
士門は敵勢の対応の早さに、一驚の声を漏らした。
ショットガンやグレネードといった兵器は対象への貫通力よりもむしろ、ターゲット表面に与えるダメージが非常に大きい。「点」ではなく、「面」で――榴弾の爆発や散弾による広範囲な損壊は、この局面において、問答無用かつ一瞬でゴーレム達の行動力と攻撃能力を削ぐことができる。ドラコフの判断はまさしく、歴戦の将の名に恥じない、的確な采配だっただろう。
……だが、この土人形たちの行進も、結局は使徒士門が次の〈詠唱〉を行うための時間稼ぎにしか過ぎなかった。
「――“主は硫黄と火を主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地に生えている物を、ことごとく滅ぼされた”――」
〝創世記、第十九章・二十四節〟――士門は先ほどと同じように、聖典の古ぼけた紙面に連なる文字を、すらすらと読み上げた。
彼に与えられた
『聖典』の内容は全て、一字一句漏らさず暗記しているが、それでもなお「引用文のページを開き、
戦闘中にこれらの条件を全て満たし、詠唱を行う
鼻腔を突く独特の臭気が、辺りに充満した――。
次の瞬間、燃えさかる硫黄の雨が〈実現〉し、その場にいる全員の頭上へと降り注いだ。
まるで小隕石か火山弾の群れ――天変地異のような光景の中、敵味方の区別なく、火の雨に打たれた者達が、貫かれ、炎に包まれ、死んでいく。
術者自らの身と、さらには大量の仲間までをも危険に晒すこの詠唱は、士門にとっても禁じ手であり、最終最大、真の奥の手と言ってよかった。
――構うものか。裁きとは本来、罪を犯した者すべての上に平等に訪れなくてはならないのだから。なれば、己等でさえも、等しく神の裁きの範疇のうち――。
士門からの攻撃を受け、ドラコフは今度こそ、確信した。その能力の正体を――。
対策は講じていた。即時、行動に移す。
禁じ手であり奥の手でもある作戦を用意していたのは、士門だけではない。異端審問部隊の
『全部隊に告ぐ、総員防毒マスクを装着しろ――』
襟元のマイクから各隊員のインカムへと送られる命令。あらかじめ予定されていたその行動は、実にスムーズだった。ドラコフは自身もコートの中に隠し持っていた軍用のガスマスクを装備し、脇に控えた二人の隊員へ、作戦決行の合図を出した。
彼らがライフルオプションのランチャーを上空に向けて、グレネード弾を発射する。榴弾は頭上30メートルほどまで上昇、天井に当たる前に起爆。
それは、ただのグレネード弾ではない。爆散により、ホスゲンを主とした致死性の窒息剤を空気中に散布する化学兵器――つまりは、毒ガス弾だ。
――国際連合定める兵器使用関連の禁止条約に、「兵器のABC」という言葉がある。アトミック(A)・バイオロジカル(B)・ケミカル(C)の頭文字を取ったこの略称が示しているのはつまり、原子爆弾を筆頭とする「核兵器(Atomic weapon)」は勿論のこと、ウィルス・細菌などを用いた「生物兵器(Biological weapon)」に加えて、毒ガスなどの「化学兵器(Chemical weapon)」もまた、国際戦争条約においては「凶悪かつ非人道的な兵器」としてカテゴリされているという事実だ。本来、不当に攻撃対象を苦しめ、未曽有の拡大被害を齎すこれらを使用することは、たとえ国家間の戦争であっても、使用した側が大義を失い、国連を含め全世界を敵に回すにも等しい行為であるとされている。
無論、それが異能者相手であっても変わらない。原則、対象への非人道的兵器の使用は禁止されており、特警や異端審問部隊のような対異能特殊部隊の場合でも当然、例外ではない。ゆえにドラコフが発案した掃討作戦『オペレーション “ディエス・イレ”』――その中でも、この「毒ガスによるは
――その「禁じ手」を使わざるを得ないほどに、使徒士門の〝
先日、部隊に壊滅的な被害を齎したのも、この神言遣いの能力に他ならない。故に、ドラコフは密かな決心とともにこの奥の手を用意していたのだ。強力な敵の異能――
そしてこの作戦は、なによりドラコフの元軍人としての覚悟と信条の表れでもあった。単に「言葉」を奪うだけなら、気管支系を刺激するだけの催涙弾等でも、充分な効果を発揮できたはずだ。だが、もとより敵は皆殺しにするつもりで結社アジトに乗り込んだドラコフにとって、そのような生易しい選択肢は存在しなかった。慢心も油断も無く、敵に抵抗の手段は残さない。敗残兵の存在すら許さぬ。禍根は根絶やせ。やるからには、徹底的に――だ。
今の今、この最後の大詰めまで毒ガス弾を使わずにとっておいたのも、アジト内に散開していた全戦闘部隊の合流と、電源掌握を済ませた別働隊の地上退避を待ってのこと。この深大な地下施設――複雑な構造のせいで部隊ごとの意思疎通のしにくい結社アジト内において、無暗に毒ガスを使用することは、万が一味方側の被害を出してしまうことにもつながる。また、有力な教団幹部を数名ほどは生かしたまま捕らえておきたいという思惑もあった。そのノルマも概ねクリアしたと言える。
ここまで来れば、あとは敵の総てが追い詰められ、一か所――それも、ガスの逃げ場が少なく気流の生じない地下の最奥――に集められること、そのタイミングだけが、ドラコフたち最大の狙いにして最終作戦始動の合図だった。この時のために、慎重に丁寧に部隊を展開させ、『十二使徒』の残党を
「(何せ事情が事情、秘密裡に持ち出すことさえ困難な毒ガス弾。当然数に限りがあるからな――)」
それらを入り口付近からいくら散布したとしても、アリの巣状に深く広がる『ゲヘナ』に対しては効果も薄い。別働部隊に施設内のすべての換気装置の動作を切らせたのも、このためである。もし地上にガスが漏れ出してしまっては、作戦が明るみに出、一般人にも被害が及ぶことになりかねない。そうなってしまっては、非人道的兵器使用の事実をもみ消すことも難しくなる。
しかしその心配もなく、鼠たちは思惑通り袋小路へと追いやられ、事は上手く運んだ。毒ガスに関して追及されたとして、「敵が集団自決のために使用した」とでも報告すれば、どうとでもなるだろう。
「(やはり害虫の巣を燻すにはこのやり方が一番効果的、だな――)」
一網打尽――ドラコフは、作戦の成功と、己の部隊の勝利を確信した。
異変――。士門もすぐ、敏感に気管支の異常を感じ取る。たった一息で彼の気道と肺は不可視の毒に侵され、喀血を伴う呼吸障害が引き起こされた。
「(これは……まさか、毒ガス――!!)」
彼はこれ以上毒を吸引しないよう、即座に息を止める。幸いと言うべきか、特殊工作員として厳しく育てられる『十二使徒』の修行中には、長時間の潜水訓練などもあり、士門も数分程度の無呼吸運動であれば難なくこなすことが出来る。――だが。それと同時にこの状況は、異能を完全に封じられてしまったことになる。
“
もっと正確に言えば、それは、彼の持つ聖典――神聖武具『聖典原全』と己の異能を組み合わせた、〈空想具現化能力〉とでも言ったほうが正しかった。
士門の持つ『聖典原全』もまた、老鍛冶師トバルカイン製の神聖武具の一つ。『死海文書』よりも以前の〝最古のオリジナル〟たる聖典原本、そして旧約・新約だけにとどまらない全ての外典・偽典をも網羅し――それらと「あるもの」を材料に、トバルカインの異能によって編纂された、世に二つと無い神言の書である。
この『聖典原全』――はるか遠き昔より、人々に寄り添い受け継がれ、人類史に刻み込まれた一大宗教の起源を記す、信仰の書。そこに秘められた〝秘跡〟は、古の荒唐無稽な神話めいた光景でさえ、ヒトの脳の、遺伝子の、根源的記憶として呼び覚まし、それがあたかも真実であるかのように読み手と聞き手に追体験させる。有り体に言えば、〈読み上げた内容を、今まさに目の前で実際に起こったことと錯覚させる〉という幻覚系能力である。
これだけでも、相当強力な幻惑効果を発揮する……が。
それに加え、士門はさらに、己自身の異能――集団的な「妄想」や「空想」、または「集合的深層意識」などを具現化する能力――“Proxy God’sworks(祈り在る処に奇跡在り)”を有している。
「より多く」の人間が、「より強く」、「同じ想い」や「情景」を抱いた時。それが鮮明であればあるほど、思考者間のシンクロニシティが強ければ強いほど、はっきりと現実世界に引き起こすことができるという能力だ。
これらを組み合わせ、『聖典原全』を肉声言語として語り聞かせることで見せた〈幻想〉を、共有意識として〈本物〉に変えて奇跡を起こすことを可能にしたのが、神のみわざの代行とでも謂うべき――“Word of God”なのである。
故に、術者の言葉を聞く者――すなわち〈幻想〉を見せる相手が多ければ多いほど、比例して強大な効果を発揮するこの能力は、まさしく今この時のような、敵味方多数存在する混戦でこそ最も輝くものだった。しかしそれも肝心要の「言葉」を封じられてしまっては、もはやどうすることもできない。
無論、このような時のために教団側の対抗策がないわけではない。実際、
「――さすがは少将です。言語発声による異能行使を、催涙効果のある化学兵器で封じられるとは」
副官の女性隊員は誇らしげにドラコフを誉めそやしたが、当の上官は、つまらなさそうに部下のおべっかを一蹴した。
「……そもそも致死性の毒ガスを吸えば、異能者であろうが、そうでなかろうが、大概の生物は死ぬ。よほどの不死身もしくは対毒性の能力でも持っていない限りは、な」
敵がヒト科の生態をしている以上、当たり前のことだ。このような手段は、もっと積極的に使っていくべきなのだ――。非人道的? 笑わせる。そもそも異能者やそれを信奉する輩を「人権」の所有者としてまともに扱う方がおかしいのだ。
ドラコフはガスマスクの下でこめかみに青筋を浮かび立てながら、無惨に毒殺されていく信徒達を侮蔑の表情で睨み付けた。
ドラコフのハンドサインに従い、防毒装備を完備した隊員達が新たな陣形を展開。ゴーレム群の壁と、降り注ぐ火の雨を掻い潜り、既に死に体と言ってもいい信徒たちを駆除しながら、士門にもアサルトライフルの掃射を浴びせてくる。先ほども彼らがそうしようとしたように術師本体を狙うことは、
士門は『聖典原全』を盾にし、弾丸を防ぐ。分厚いなめし革の表装と、幾重にも重なった古紙の束がライフル弾の貫通力を分散させ、その進行を押し留める。
ドラコフも前に出て、ゴーレムどもを肉弾戦闘で粉々に打ち崩してゆく。グレネードの爆熱と散弾による損壊で、焼け焦げ、脆くなっていた泥人形。焼き菓子を砕くように、いとも簡単に粉砕される。屈強な老将の振るう、固いグローブの拳骨が、ずっしりとした軍靴の踵蹴りが、強化プラスチックのライフルストックが――あらゆる打撃を駆使し、
「死ねい……ッ!!」
鋭く銃剣を突き出す。
刃が、腕。士門の上腕の肉を切り裂いた。胴にめがけて後ろ廻し気味の強烈なサイドキックが見舞われる。
士門は、言葉で戦う「神言遣い」である――――もちろん彼にも戦闘部隊『十二使徒』の一員として、それなりの体術の心得はあったが、とりわけ近接格闘において軍隊格闘システマの達人であるドラコフには、及ぶはずもなかった。
蹴りを喰らい倒れた士門に、ドラコフはいよいよトドメの銃口を向ける。
士門が死を覚悟したその時、彼の前に、数人の信徒が、守るように踴り出た。
彼らは
「士門様をお守りしろ……!!」
「我らのことは構わず、どうか詠唱を!!」
「神敵に、相応しい神罰を――!!」
異口同音に叫び散らし、毒に侵され、血を吐きながらも、士門の前に立ち、弾丸を喰い止めんとする。敵部隊の容赦ない銃撃に、次々と撃ち抜かれてなお、矜持と信仰を胸に散ってゆく信徒たち。
「(なんと、わたくしは不甲斐ない――)」
彼らの姿を見て、士門は恥じた。苦痛から逃避し、命惜しさに言を封じていた己自身を。
そして使徒は覚悟を決め、聖典を
「“我より力ある者が来たる――神の御子は火と精霊によって、お前たちに洗礼を授けるだろう”」
――〝Mによる福音書、第三章・十一節〟。
――たったこれだけの詠唱を行うのにも、肺が焼けるように熱く、内臓が
だが、その苦痛にさえ、今の士門は喜び勇んだ。
――おお、これぞ我が信仰の誇り。
死をも受け入れ、殉教者の悟りさえ覚えた神言遣いの〝覚悟〟は、異能に対して強力に働いたのである。彼の周囲は瞬く間に燃え上がり、煉獄のごとき火の海に包まれる。
聖火によって焼き払われる、審問部隊の隊員たち。そのさなか、ドラコフは一瞬早く危機を察知し後退、炎に巻かれるのを回避していた。
炎の壁により、神敵たちが使徒に近寄ることかなわず。視覚も遮られ、正確に銃の狙いを付けることもできなくなる。
だが、士門の〝秘跡〟は、これだけでは終わらない。幾多のライフル弾が身を掠って飛んでいく中、彼はさらなる詠唱を――。
「“見よ、白い馬が出ずる。それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利のうえにもなお、勝利を得ようとせん”――」
――〝Jの黙示録、第六章・二節〟。
ひと際大きな炎爛の
士門がその聖なる呪言に合わせ、聖典を持たざる左手を掲げ、弓を引くような動作をとった。すると、周囲の火が、熱が、鼓膜を
そこに形成されたのは、燦然と光り輝く、一本の
収束した圧倒的熱量と爆発的推進力をその場に押し留めようとする力場が、周囲に放散するプラズマを不自然に引き寄せ、射手の頭上に巨大な光輪として輝きを放つ。その
あまりのまばゆさに、全ての者が戦いを止め、目を眩ませた。一体この矢にどれほどの力が秘められているのか、その場にいる誰もが、想像すら及ばず、戦慄した。
「――黙示録の騎士よ、我に、ただ、このときのみ、勝利を与え給う。天使長の放つが如き光の矢を以て、今、神敵をうち滅ぼさん」
エイメン。
――血咳の入り混じった祈りの言葉が、
絶命と引き換えの、最期の攻撃。
士門の死と同時に解き放たれた光の矢が、何人もの敵を貫き、ドラコフに向かって、真っ直ぐに突き進む。
光の速度にすら迫ると思わせる、知覚不可能の攻撃。矢を受けた者たちは、己の躰が、それに貫かれたことすら気付けない。ワンテンポ遅れてやってくる膨大な熱エネルギーの伝播により、傷口から溶岩の如く溶け出した肉体が、赤く熱く、急激に膨張し、盛大にはじけ飛ぶ。
ほぼ手足の末端だけを残し爆発四散していく部下たちを尻目に――しかしドラコフには、その時すでに、この攻撃を回避し終えているだけの、充分な余裕があった。
「(間抜けめ。
彼が嘲笑いながら、横に躱した、その刹那。
ガツ……ン!!
足首を、何かに強打され、ドラコフは大きく体勢を崩した。
「(何だ――!?)」
己の足元を見て、ドラコフは驚愕した。
黒い、長い鉄棍が、くるぶしの辺りに、打ち付けられている。その先を辿って視線で追うと、亡者のように這いずりながら『聖叉十字棍』を振るったと思われるアンドレがいた。血の海に伏し、半壊と言っていいほど原形をとどめてない顔面で、息も絶え絶えにドラコフを睨み上げている。
――聖棍は〈結合能力〉によりブーツと床、それぞれを取り込んで繋ぎ合わせており、完全に、ドラコフの移動を封じていた。
敵将は、驚きに目を見開いた。嘘だ。有り得ぬ。やつは完全に、トドメを刺され、息絶えたはず――。
理外の出来事だ。
だが、事実である。
たった今、彼の足は確実に、逃れ得ぬ『死』の手によって掴まれたのだ。
馬鹿な、この私がこんなところで――? 私はローマ帝國直属異端審問部隊討滅科連隊指揮官、ドラコフ・レングランだぞ。このような化け物に、理不尽かつ埒外の能力者相手に、殺されて良い道理が無い。これは何かの間違いである。間違いは正されねばならない。死ぬのは貴様等だけだ。それが戦場の摂理――――――
「馬鹿なッ! このわたしが、こんなとっ――――」
断末魔の時間すら与えられず、ドラコフの頭部は、士門の放った一条の光の矢によって木端微塵にうち砕かれた。
死。
彼の輝かしい経歴も、闘いの記憶も、そのすべてが脳漿と一緒に弾け、飛び散り、
相討ち――。
使徒士門の躰は隅々までガスの毒性に侵され、瞳孔の開ききった両の目は、苦悶のあまり
「見事
――そう言った使徒アンドレの命も、もはや風前の灯火。彼が生き、意識し、思考できる時間は、僅か数瞬と言っていいほどしか残されていなかった。
頭部の左側はほとんど残っておらず、胸部も弾痕によって肉の花が咲いたようにえぐれ返っている。損壊した肉体の捌け口からは、一目見て明らかにおかしい――人間一体がその身から流すには多すぎる量の血が、未だ
このような致死確定の状態で彼が未だ生きていられたのは、自らへ〝秘跡〟による「保険」をかけていたから――。
破れた黒衣から覗く、血塗れの躰には。皮膚の内側にへばりつくように透けて見える、「心臓」と「脳髄」らしきものが脈動している――。
それらは、〈増殖〉の異能――〝主の思し召しは尽きることなく〟によって生み出され、彼の肉体へと埋め込まれた生命維持装置だった。
〝数量倍化〟――アンドレは戦闘が始まる直前、自らの頭部と胸部を切開し、心臓と脳に触れ、〈増殖〉の異能を施し、それぞれスペアをとっておいたのだ。
そしてこれら増殖体の臓器を『交叉十字棍』の能力で、己の躰に、血管に、神経に――〈結合〉させていた。施術のため切開した部位も、同じように聖棍の能力でふさいでおく。この「保険」のおかげで、頭と心臓、計八発の弾丸を撃ち込まれながらも、即死を装い、機を窺うことに成功した。大量に流れ出していく血液に対しても、彼の能力の本質は「物質の複製」ではなく、あくまでも「数量への干渉」――即ち、〈倍化〉にこそある。これにより、血液量を増やし続けることで、失血による死を遅延させた。
そんなものは申し訳程度の延命にしか過ぎず、ほんの僅かな時間稼ぎにしかならないことはアンドレ自身が一番良く解っていた。現に、こうやって死にかけた毒虫のように血泥の中を腹這うのがやっと、腕をついて上体を起こすことさえままならないだろう。それでもなお、敵を欺き、たった一度のチャンスに奇襲を掛け、ほんの一瞬、ドラコフを足止めする程度なら――――釣りが返ってくるほどの時間だった。
死に逝くアンドレは、半壊した顔面に一つだけ残されたその細い眼を、
それは肉片と頭蓋と、
それは猛毒を喰らい、胸を掻き毟り、血を吐きながらに死んでいった
それは主の後を追うようにばたばたと、
それは
血。
炎。
瓦礫。
拡がる毒。
屍体。
屍体。
屍体。
屍体の山――――。
まったく――――――
「まったく――――――我ら人間というものは、どうしようもなく、度し難い」
使徒は静かに、瞼を下ろした。
†
(―DAY of WRATH― 完 )
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