『 DAY of WRATH 』
『 DAY of WRATH 』【α】
『 DAY of WRATH 』
†
この国の所在と成り立ちは少々複雑だ。地中海沿岸を一帯に支配する列強国――『ローマ帝國』の領土内に入れ子式に存在する、世界最小の独立国家にして、宗教国家。現世三大宗教のうちひとつ、『クルス教』における最大派閥、『ローマ・カトリック』の総本山とでもいうべき〝聖域〟である。
「市国」の名が示す通り、ヴァティカヌスの国土面積は、せいぜい市町村かそれ以下――言ってしまえば某
だが、その最小の領土内には、世界最大の宗派を束ねるに相応しいカトリック信仰の本拠地『サン・ペトロ大聖堂』が存在し、クルス教最高権威である〝法皇〟が治めるこの国は、まさに不可侵領域であり、こと宗教界においては、絶大的影響力を持っていた。
紛うことなき〝聖地〟――。
その聖なる地の足下、地下奥深くに、〝彼ら〟のアジトはあった。
クルス教を信奉崇拝する秘密結社であり、世界を股にかける大規模な犯罪テロ組織――破滅的教義に身心を捧げ尽くした異端信徒のみで構成された、異色の神罰代行集団。司祭が、信者が、連なっては剣をとり、また銃砲を以て、鉄火の裁きを下す。――彼らの名は《十字背負う者達の結社》といった。
《十字背負う者達の結社》では、
司祭クラス以上の教団員には非常に厳しい戒律が課されており、表向きでは姦通や妻帯が許されていない。そのため、一般信徒どうしを
これらシステムのせいで、非常に若い世代の信徒、司祭たちが破壊工作員として育成され、実戦の地に送られる。そして、そのうちの決して少なからずの者達が、戦火に命を散らしてゆく。
このような異色極まりない集団である彼らが、畏れ多くも法皇庁の存在するヴァティカヌスを隠れ蓑とし、本拠地を構えていたのだ。
地上最大の信徒数を誇る大宗教、その最高位に位置する教会が保持する
――しかし。
この時ばかりは、勝手が違った。
《結社》は敵を作りすぎた。あらゆる場所で、自他の血を流しすぎた。
応報のときは、きたのだ。
†
【3 / 16 (Thu)――『ゲヘナ』での死闘】
――『ゲヘナ』とは、クルス教における〝地獄〟を意味する。
そしてそれは、聖地ヴァティカヌスの足下深く、蟻の巣状に広がっている巨大地下施設――《十字背負う者達の結社》の
自ら進んで戒律を冒すこと厭わず。その身を地獄に墜としてまでも、只、神のためのみに働かんとする。
そんな彼ら結社が、あえて名付けた皮肉の名。
――――偶然か、必然か。
今まさにこの場では、〝地獄〟と呼ぶが相応しい、死屍累々の掃討作戦が執り行われていた――――。
(午前、2時16分)
――鮮やかな奇襲だった。
『ローマ帝政直属・異端審問部隊』――。
彼らは国連からの要請を受けて差し向けられた、帝國政府直轄の特殊部隊。帝國ローマにおける特殊警察のような組織であり、異能者に対抗するため存在する戦闘部隊であった。
国際特殊軍事警察機構・異能取締部門地中海沿岸地方担当における特記戦力とまで称される手腕は
審問部隊の者達は皆一様に、夜間迷彩の夜戦装束と完全防弾のタクティカルベストに身を包んでおり、暗視ゴーグル付きのヘルメットを装着。真っ暗闇の地下施設中を機敏かつ統率のとれた動きで進んでいく。主武装のアサルトライフルにはフラッシュライトや銃口付近の打撃スパイク、銃剣、その他オプショナルウェポンなど様々なアタッチメントを着脱可能。サブウェポンには短銃と手榴弾を装備。無論、通信機器にも余念はない。いかにも「近代的武装の完備された特殊部隊」といった見た目をしている。
だが、見た目に反してその歴史は永く、事の起こりは遥か中世以前――彼らこそ、この国で古くから『魔女狩り』を称して、帝政に仇成す異能者達と戦ってきた、弾圧者にして制裁者に他ならなかった。
クルス教的価値観に支配された
〝王道〟と〝施政〟――〝覇道〟と〝侵略〟。その裏に存在し続けた、帝政の暗部。
故に彼らは間違いなく、人類史上有数に古く、由緒正しい、世界でも指折りの対異能戦闘専門機関と言えた。――そして、歴史や格式だけではない。恒常的に国家からの政治的・軍事的バックアップを余すことなく受けながらに、貪欲に最先端の戦略・技術を取り込み続けてきた、近代戦闘のプロフェッショナル集団でもあった。
先ず先遣部隊の急襲作戦は成功。既に結社アジトの自家発電炉は制圧され、内部電源は一つと残らず落とされていた。よって、
無論、この状況を作り出した当の審問部隊員達は皆、可視光増幅方式と赤外線照射を併用した暗視スコープにより状況対応済み。そのうえで高性能かつ最新鋭の銃火器を携行している。戦闘は始終、彼らの一方的有利な状況で進んでいた。
一方で――――。
彼らは、結社に仕える生え抜きの異能戦闘集団――――『十二使徒』に選ばれた戦徒たち。
四人のうち一人、ひときわ背の高い青年が、革表紙の大きな書物を取り出す。
――――その書物はおそらく、クルス教の『聖典』であると思われた。
おそらくなどと言ったのは、それが通常の『聖典』と比べて、明らかに大きく、そして重厚――驚くほどに分厚く、また、ずっしりと重そうな物――であったからだ。その重ねた年月の深さをありありと感じさせる革表紙と紙質の劣化は、「年季が入っている」などという言葉ではまったくを以て足りないと一目で解るほどに――古い。
教団に仕える、異能の老鍛冶師――トバルカイン(彼は武具鍛造だけでなく戦闘装束などの裁縫、聖典の製本から古文書・魔導書の復元までも手掛ける〝作り手(クラフター)〟である)によって手を加えられたこの書物は、およそ成人男性一人分ほどの重量を持ち、不思議なことに幾らページを
これらの機能だけなら、やたらと重いだけの便利な本に過ぎない――が。
男がその古文書のページを繰り、
「〝光よ、あれ――〟」
と唱える。
すると、黒暗暗と地下通路を包んでいた一切の闇が一瞬にして切り払われ、一帯はまるで白昼のような明るさに照らし出された。
勿論、通路のどこにも機能している電燈など無く、青年の所持品や身の周りにも光源と成り得る物は一切存在しない。それは間違いなく『異能』の成せる
たった今、神の
一見、おだやかに整った顔立ちの好青年であり、色素の薄い赤みがかったブロンドの長髪は、前髪がきっちりと真ん中から分けられている。その髪色とは対照的に、青雲を凝縮して閉じ込めたような、空色の瞳――瞳の奥は生気に満ち、澄んだ輝きさえ秘めているようにみえた。くるぶしまで隠れる
――その爽やかな外見と立ち振る舞いは、とてもテロ組織の一員などには見えないが、実際には『十二使徒』の中でも顧問補佐を務めていた、高位の使徒である。
士門の〝秘跡〟から
「――――エイメン。」
彼は厳粛に、胸の前で十字を切った。
「……よもや、たったあれだけの寡兵を相手にここまで数を減らされるとは、な。向かう先の
深刻ではあるが、焦りをまったく感じさせない声でそう言ったのは、使徒が一人――〝殉葬磔刑〟神父アンドレ。
どこかしら東洋の武人のように落ち着いた神秘性を見せる男――長く伸ばした艶やかな黒髪は、前髪から左右に分けられ、独特な形で後ろに周ってから、輪のように垂らされながら結わえられている。髪から祭服まで漆黒で統一されたその静謐な佇まいたるや、黒の大理石で造られた堅牢な
「聖務に関する
アンドレは上層部から与えられた聖務を適材適所に割り振り、遂行状況や結果を記録・保管するための「聖務管理官」を務めている。
だが、そんな彼の背中にも、交叉するように背負われた長物の得物が二本――本職こそ文官であるアンドレだが、その実、自身もまた鉄棍を用いた棒術を得意とする武官でもあった。
これまで、《結社》を追っていた各国の捜査官やエージェントが幾人も、まるで見せしめのような「
「人事は尽くした。もはや私達に残された天命は、ここで最期まで戦う事、だけ――」
士門も、アンドレの言葉に対し、苦渋の相で頷いた。
「わたくし達の教団は、もはや完全に首根を押さえられていた。政治的、資金的、人脈的にもあらゆるパイプラインを断たれ、情報伝達の手段をも封じられ、混迷極まっていたところへの、見事な奇襲。してやられたというべきか」
――それを聞いて、士門とアンドレの後ろに付いて歩いていた三人目の使徒、褐色肌の青年も口を開いた。
「けど、教祖が不在の時を狙ってくれたのは、不幸中の幸いと言うべきじゃあないか? あの御方さえ
――中東との混血と思わしきこの青年の名は、使徒フィリプス。
金色の瞳と、明るいオレンジ色の髪が、浅黒い肌の色に映える。
彼の
そして、フィリプスのさらに後ろに控える、最後の一人。まだ驚くほどに若い少年――使徒
「ここ『ゲヘナ』は、聖戦の徒たる僕たちの育った、唯一の故郷……。
――そう言って涙を滲ませている姿だけを見れば、未だ大人への過渡期を抜けきっていない、華奢な少年にも見えよう。それも、ただの少年ではない。「美しい」という言葉だけでは形容するに足りない―― 一見、「性別」という概念さえも忘れさせてしまうほどの造形美を感じさせる、中性的な美少年。
透き通るような白磁の肌と、絹のように滑らかで艶のある、乳白色の髪。穢れを一切知らぬかのような、純白の祭服。――信心深い者ならば、誰もが「天使」と例えたくなるであろう容姿をしていた。
しかし、そんな冶羽の纏う、目が痛くなるほど純粋な「白」の中、両の目の瞳だけは、鮮血を煮詰めて精製された宝石のような――まるで、錬金術における賢者の石か、もしくは悪魔から授けられた
どんなにか弱く愛らしい姿をしていたとしても、最年少で『十二使徒』入りを許された狂信徒。わずか十五歳という若さで破壊工作部隊に身を置く彼もまた、例外なく人外の戦力を持つ戦徒であることに、疑いは無いのだ。
その天使めいた貌に埋め込まれた悪魔じみて美しい瞳が、語らずとも「この地で最期まで戦う」という彼の意志を、覚悟を、強く、
しかし――、
「否――冶羽」
アンドレがゆっくりと首を横に振る。
そして士門も、
「うむ。わたくしもそう思います。君はここで死すべきではないと」
そう言って優しく冶羽の肩を押さえた。
「君は我ら使徒の中で、最も若く、そして最も神の愛に満ち溢れている。これより先、教祖に永く仕え、貢献できるだけの未来と力を持っている。故に君は、この場を落ち延び、教団の
「そんな……」
少年は悲しそうに、兄弟子を見上げた。
士門は特に、他の使徒たちに対しても非常に面倒見がよい、仲間内の世話役だった。そんな優しい兄弟子のことが、冶羽は好きだった。士門のことだけではない。幼い頃から教団内で育ち、苦楽を共にしてきた『十二使徒』の兄弟子たちは、冶羽にとって常に敬愛の対象であり、血を分けた本当の兄たちにも等しい存在だった。
「――そんな、嫌です!! 逃げるだなんて、使徒の恥だ!! 僕は兄さん達とここに残って最後まで闘います……!!」
いきり立つ冶羽を、フィリプスが後ろから押さえ
士門は、背の低い冶羽の目線に合わせるよう屈み込み、悲しい笑みで微笑みかけた。
「君は我々使徒の希望なのです。我らの遺志を継ぎ、繋げ、大願成すことは、おそらくもう、君にしかできない。どうか、ここは聞き分けて」
そう言ってから、フィリプスのほうに視線を上げる。
「……フィリプス、君の行う〝秘跡〟は、冶羽の〝秘跡〟と非常に相性がいい。彼と一緒に逃げて、彼を守ってあげて下さい」
「し、しかし――」フィリプスは遠慮がちに目を逸らした。
そこへアンドレも、迷っている弟弟子の背中を押すように言う。
「これも我等使徒に与えられ
二人の兄弟子にそう言われて、フィリプスも決心したように、「ああ、分かった――」と、悲痛な顔で頷いた。
「……!! フィリプスさんまで、何を言っているんですか! 子供扱いしないで下さい! 僕は皆さんと肩を並べるに足る、神の
冶羽は泣きながら懇願したが、その願いは聞き入れられなかった。
「ここを出たあとは、東の国でヘテルと合流しなさい。すでに
使徒ヘテルについて、士門は複雑な表情を見せる。そんな彼に代わって、アンドレの言葉があとに続く。
「そのうえ、ヘテルが用いる、かの〝秘跡〟。あれは我等が神の加護なき地で戦うには、必須とも言える、
「でもっ……!!」
冶羽は未だ反論しようとするが、前方――〝地下墓堂〟へと繋がる通路から、敵の分隊が迫ってくる。もはや、口論している時間も残されていなかった。
士門が戦闘へ備えた構えに移行し、叫ぶ。
「……さあ、フィリプス! 冶羽! ゆきなさい!!」
アンドレが、冶羽の頭にそっと手を置いた。
「振り返らずに、走れ。案ずるな。我ら使徒兄弟、
言うや否や、士門とアンドレの足が地を蹴った。彼らは若い弟弟子達を逃がそうと、敵の部隊へ切り込んでいく。
フィリプスは兄弟子らの意志を
――走り去る同胞のうしろ姿を、見届けることはしなかった。アンドレは背中に負った己の武具を手に取り、言った。
「かの国で
使徒の中でも特に粗暴で喧嘩っ早かった屋古部とは違い、アンドレはいかにも武人然とした性格をしている。そのためか折が合わないことも多かった二人だが、しかし彼らは、似たような武器を扱う者同士、幾度も手を合わせ、武技を研鑽しあった仲でもあった。どうやらアンドレは、同志を打ち斃したその
「老師とともに散っていった屋古部と叉井、そしてこれより死地へ向かわんとするわたくし達――それらが決して実を結ばぬ仇花であったとしても、必ずや、生き残った兄弟たちが望みを、種を残してくれましょう。死者から流された血も、その血の応報も、道半ばの無念も……彼らがきっと果たしてくれる。憂うことなど何もありません、アンドレ――」
士門は、穏やかに、そう答えた。
「そう、だな……」アンドレもまた、達観した様子で、士門の言葉に同意する。
滅びの覚悟はとうの昔に決まっている。しかし、聖域を土足で踏み荒らした神敵共を、ただで終わらせてやるわけには、いかない――。士門は古の聖典を開き、己が異能と闘争本能を呼び覚ます。
「では、
†
――《十字背負う者達の結社》地下アジトにて、勇猛果敢に戦う信徒達。
施設内の武器庫全てを敵部隊に押さえられてしまった今、彼らが手に取ることのできるのはせいぜい、礼拝堂に残されていた儀礼用とおぼしき武装――西洋拵えの古めかしい両刃剣や、大小様々な鋼鉄の十字架、厳かな礼装を施された古式拳銃、銀の短剣などなど――いかにもといった品物ばかり。
それに対し、整えられた近代兵器を駆り、まるでネズミか害虫の一匹一匹を駆除するかのように冷静かつ執拗確実に信徒達を狩り殺してゆくのは、帝國公安部の厳しい選抜試験と訓練を乗り越えた、選りすぐりの異端審問官たち――『帝政直属異端審問部隊』。
ボディアーマーと高性能な銃器・通信機器により武装した、屈強な隊員の群れ。その近代武装と徹底的に訓練されたチームワークの前に、結社構成員たちは
決して結社の構成員たちが弱いわけではない。むしろ、幼少より苛烈な戦闘訓練を日常として育てられてきた信徒達の中には、身体能力や個々の力量に限って言えば異端審問隊員たちの
しかし。信徒達にとっての不幸は、それだけのアドバンテージを帳消しにしてしまうほど、異能審問部隊における指揮官の采配が優秀だったことだ。現在、信徒勢が頭目無き烏合の衆団であることを差し引いたとしても、「多対多」における連携戦術の練度、戦略の習熟度、実戦での経験値――どれをとっても教団を圧倒している。
――ローマ公安部・異能取締部門・殲滅課属・異端審問部隊・討滅科連隊隊長。指揮官、ドラコフ・レングラン。
いかにも軍人然とした見た目の、元軍人。
かつては帝國軍に所属、陸軍少将まで上り詰め、戦闘の最前線では軍一個師団から一個旅団の指揮統率を任されていた。キャリアこそ優秀な成績で士官学校を卒業し、将校からスタートしたエリート中のエリートでありながら、実地による実戦を何よりも信奉し、自ら志願した数々の過酷な戦場にて、実力と地位を叩き上げてきた。その肩書、内実ともに偽りはない。
ただ一つ、彼に軍人としての問題点があるとすれば、それは彼の
この渇きを癒すのは、清らかな水でもなければ、友愛の安息でもない。ただただ、流される血潮のみ。そう。敵の、同胞の、己の、流し合い、混ざり合う血こそが――――。
「――我が部隊の、現在の被害状況および、作戦の進行状況を」
ドラコフが、隣に控える副官に尋ねた。彼の副官は、きびきびと動く、褐色肌の逞しい女性隊員だった。彼女は、「はっ!」と気を付けをして答えた。
「把握しているだけでも、死者、百五十四名。部隊のおよそ半数が壊滅。しかし、今や敵も総崩れであります。現在、最奥のカタコンベにまで後退した残党は推定三百名――墓所入口付近にて、第一部隊が交戦中ですが、これらを片付けて最奥へ突入するのも、もはや時間の問題と思われます。また、別働隊は施設内すべての発電源、配電盤を掌握。作戦の通り、換気装置も一つ残らず停止させたとの報告を受けております」
「死者半数か……」ドラコフは帳簿の数字を勘定するかのような事務的口調で、そう言った。「上出来だ」
――本来ならこの階層に来るまで、部隊の三分の二を犠牲にすることも想定していた。
勿論、このような突入作戦よりも安全確実に事を運べるであろうプランは、作戦会議上、幾つか存在した。
例えば、こちらから新たに地下トンネルを掘り進んで仕掛ける坑道戦――却下。法皇庁からの許可が下りるわけがなく、工事にも時間が掛かりすぎる。敵に感知されるリスクも高い。
もしくは隠密潜入から建築支点への爆発物使用、敵アジトの自重崩壊工作――却下。この地下施設の真上には、ユネスコから世界文化遺産にも登録されている、傷つけることの許されぬ大聖堂が存在する。
ならば、地中の施設に対し、運河から引いた大量の水を流し込む水攻作戦――却下。施設の各階層に設置された、水位に反応して開閉する排水機構の存在。そして結社構成員、水を無尽蔵に吸収・放出する異能者「〝海割り〟のモゼス」の在籍により、戦果期待できず。
――上記理由と、幹部数名ほどは生かしたまま身柄を拘束しろという上からの命令。それらを鑑みてドラコフの取った選択が、此度の精鋭一個中隊による大規模突入作戦であり、オペレーションの進行度も既に佳境へと差し掛かっていた。
通常の掃討戦であれば、戦意喪失した敵軍を追滅するのは、想像するよりもずっと容易い作業――例えるなら、ひっくり返した岩の裏にわらわらとへばりつく、虫の子たちを散らすようなもの。だが今回のような敵――狂信者どもが相手と限っては、そうも単純な話ではなくなる。投降の生よりも、特攻の死を嬉々として選ぶような連中に対し、自分達と同じ思考や倫理観を期待してはならない。たとえ少なくない数の駒を失うことになっても、念入りに、虱潰しに、敵残存兵力を殲滅していくことが肝要となり、それが、後々の禍根――報復者の誕生や、生き残りによる組織の再興――を断つことにもつながる。
「重要な幹部連中と敵戦力が一つ所に集まっているこのタイミングを叩けるのは、おそらく最初で最後のチャンス。なんとしても根絶やしにするのだ」
諜報部から入ってきている情報によれば、四月に控えている結社の〝復活祭〟なる儀礼――そこでは、相当人数を要する大掛かりな礼拝と、多数の異なる
やはり、あの国――「ヒノモト」の特警から提供されたデータが役に立ったな――と、ドラコフは思う。
以前、ヒノモトの特殊警察が捕らえた重要人物――国際手配犯でもあり結社実動部隊『十二使徒』の実質的リーダーでもある男――
件のデータファイルには、幹部や構成員の情報、教団の計画進行のレポート等だけにとどまらず、《十字背負う者達の結社》に対する資金援助や政治的なサポートを行う企業と政治家政党、宗教法人など、ありとあらゆる情報が網羅されていた。
「(辺鄙な島国の警察とはいえ、なかなか馬鹿には出来ないものだ――)」
もちろん、強力な異能者であり、結社内の実力者でもある遊夛の身柄を奪われた事は痛手だったが、ただでさえ無国籍化の進んだこの世界、未だ〝近代鎖国〟の名残と影響も色濃いヒノモト政府を相手に、形骸だけに成り下がってしまった治外法権も国際犯罪法も適用させることは困難だ。特に《十字背負う者達の結社》の上位構成員達は皆、国籍を抹消されており、結社の
「(……そう、そんな事は。そんな事はどうでもいいのだ……。私にとって、すべて、戦いこそが――――)」
もとよりドラコフにとって、その手を血で汚すことも知らぬ
「首尾も上々、作戦進行上の問題もない。別働隊には、そのまま地上付近にまで隊を戻し、各出口を固めるよう伝達。ネズミ一匹逃がさないよう、しっかり見張っていろとな」
――そんなドラコフに対し、副官の女性は自信と誇りの表情を見せ、言った。
「敵も手強いですが、我々とて少将御自らが育て上げられた優秀な兵士であります。勝利は当然の成り行きでありましょう」
〝少将〟――と呼ばれ、ドラコフは少しだけ顔を曇らせる。
「その呼び方はよせ。私はもう軍人将校ではないのだから」
そう、己はもう純粋な軍人ではない――。
位の高い将校は、なかなか自らが最前線に出ることが出来ない。人の死に直接、触れられない。
だからこそ、退役後わざわざ、軍の誉栄職と莫大な褒章を蹴ってまで、彼は熱烈に志願したのだ。一大軍閥を築けるほどの多大な権力と、金満に私腹を肥やせるポストにも、一切目もくれず。この特殊な軍事警察機構における対異能戦闘殲滅部隊――遥か昔より人外の者達と血で血を洗う闘争の歴史を刻んできた、『帝政直属異端審問部隊』を。
血と硝煙にまみれた過去を懐かしみながら、ドラコフは今再び、こうやって〝戦場〟に立てていることを、歓喜さえしていた。もし彼がクルス教徒であれば、天の神に感謝の祈りでも捧げているところだったろう。
だが、その闘争の悦びを解き放つべくは、今ではない。まだだ。――まだ、熱く疼く血管と、心の臓の高鳴りを理性で抑えながら、ドラコフは
「――そんなことよりも、だ。今現在、最重要リストに入っている対象たちのうちで死亡、もしくは捕虜となった者は、何名確認出来ている」
「は。投降してきた大司教と枢機卿を一名ずつ捕虜に。射殺を確認できているのは、幹部以上では枢機卿二名、大司教三名、参謀『東方三賢者』の三名、そして司教連から十四名。それ以下では、
「……死んだ司祭どもの中に、『〝鍛冶屋〟トバルカイン』、もしくは『十二使徒』のメンバーはいたか?」
「いえ、それは、まだ……」
「フン。もっとも厄介な者達は未だ仕留めきれていない、か……」
『十二使徒』――幼少の頃より異能を開花させた者を集め、狂信的な戦闘機械として育て上げられた、武装司祭集団。彼らの強さと信仰心、そして危険度は、一般の信徒どもとは次元が異なる。
先日、地上で取り逃がした四人の使徒が、この本拠地に逃げ込んだという情報もある。おそらく、この掃討作戦で失われた大勢の部下も、半数以上はその使徒達によってもたらされた被害だろう。
ドラコフも、先の戦闘で、率いていた一個中隊が全滅する憂き目に遭っていた。そのとき、司祭、信徒らの遣う異常極まりない
特に『十二使徒』のうちの一人は、明らかに〝
「(しかし、それでこそ倒し甲斐が、殺し甲斐があるというもの――。
いつかのように、また私を愉しませてくれるか? おぞましい、モンスターどもめが……)」
ドラコフは、軍人時代に行った、かつての「ゲーム」を――血潮の沸き立つ闘いの数々を思い出す。
前線に立てぬ鬱憤と欲求不満を晴らすため、自ら買って出ていた。衆人環視の中で行われる、捕虜や反逆者の処刑である。
ルールは単純にして明快。第三者の手出しできない鉄檻の中で一対一、ドラコフと相手はお互い己の身一つ、ナイフ一本と拳銃一挺を持たされ、フェアな条件の下殺し合う――――。
部下の兵士たちは、古のコロセウムの観戦者さながらに熱狂し、また同時に、自分達を率いるこの少将の強さと残虐性に恐れ戦き、心酔した。兵士間で一大娯楽となったこの「
だが、そんな誰よりも、そして何よりも、この血みどろの遊戯を楽しみにしていたのは、他ならぬドラコフ少将本人だった。彼の顔や躰には、それらの戦いで負った幾つもの傷が、勲章のように誇らしく輝かしく、生々しく残されている。
その幾多の闘いの中でも、彼をギリギリの一線まで追い込み、これ以上ないスリルと愉悦をもたらしてくれた相手こそが、他ならぬ『異能者』達だった。
戦場の、究極とも言えるストレスと危機的状況下を切り抜けてきた生存体。彼らの中には、様々な要因から異能を発現させた者も殊の外多く存在した。敵にも、味方にも。捕虜にせよ反逆者にせよ、異能者達の持つ面白おかしい特殊能力、そして鋭敏化された戦闘本能は、ドラコフを存分愉しませるに足る代物だった。
だが、それと同時に、当時の陸軍少将はこうも思った――。
この異端どもはおそらく、飽和状態となった人類から湧いて出た「膿み」だ。歪な成長を続けた末あちこち裂けた骨肉から、止め処なく流れる膿汁。傷を傷で返すことで歴史を重ねてきた我々の創部を汚す、雑菌ども。いずれ自分達人間にとっての害悪となるは必至。可及的速やかに排除しなくてはならない脅威である――――と。
「(だからこそ今、自分は、ここにいる――――帝政直属異端審問部隊の隊長として)」
殊更、それが宗教的思考に精神を支配され、そのうえ徹底的な戦闘訓練を受けてきた異能者となると、その危険度は言うにも及ばず。もはや存在を
ドラコフたち一行は奥へ奥へと突き進み、敵勢が立て籠もっている、最奥の地下墓地前へと到達した。扉の前を守っていた信徒たちは、既に先遣隊により完全に排除されている。あとは、指揮官による突入の合図を待つばかりである。
「……少将!」
「少将殿!!」
「命令を!」
「今すぐオーダーを!!」
熱に浮かされたような目をした隊員達から、口々に声が上げる。
その狂信的な部下たちを見て、隊長ドラコフ・レングランは、誇らしげに口の端を吊り上げた。
本当に、良く出来た戦闘マシーンどもだ。
いいだろう、御褒美だ。
「――聴け諸君!!」
――興奮していたはずの兵隊達が、指揮官の声に傾聴すべく、一斉に静まり返った。
彼らの指揮官は、澱むことなく続ける。
「――我々はここへ辿り着くまでに多くの同志を失った。
だが、戦友達の流した血は、ただの一滴たりとも無駄にはならない。
何故ならその血河は我等を勝利へと導く道標であり、積み上げられた屍肉はその上に建つべき平和の
だからこそ私は! これだけの犠牲を重ねたうえで、なお! 敢えて言おう! 貴様らに『死ね』と! 『命を捨てろ』と!! それこそが我々の使命、兵士の役目であり、そして誇りであると……ッ!!」
サー! イェッサー!! 突撃銃を構えた隊員たちが、声を揃えて敬礼する。
「武器を取れ! 確乎たる殺意と強固なる覚悟を以て引き金を引け! 死ね! たった今、お前達は死んだのだ! 自己を殺せ、公僕ども! 己を殺し――そして死んでも敵を
サー!! イェッサー!!! 隊員達は、先ほどより、ひと際大きな声で、最敬礼する。
「――闘いが怖い者、死ぬのが怖い者、一歩でも引き退がりたいと思った者は、今すぐ前に出ろ! 私が今ここ、この手で、その軟弱な首の根をへし折ってやる!!」
彼が弁舌ともに振り下ろした裏拳で、石の壁が砕け、こぶし大の穴が開いた。がらりと崩れ落ちる瓦礫に、その場にいた全員が、息を飲んだ。
「臆してはならない……!
退いてはならない……!!
神話を思えッ!! 自ら『死』に飛び込み、それを乗り越えた、超越者だけが英雄と呼ばれることを……!
これは決まり事なのだ! 古来より、化け物は英雄によって駆逐されてきた!
なれば今この時とて同じ! 敵は醜い化け物であり、諸兄等は祝福された英雄に他ならない!
故に!! ここで死ねばそれ即ち英霊!! 生きて帰っても蓋世の英雄である!!!
分かるか!? 確約されているのだッ! どう転ぼうとも、栄誉は……ッ!!
だからこそ、心せねばならない――正義は我々にあると!! そして正義とは、英雄と呼ばれるべき者だけに許された純粋なる
忘れるな――! 貴様らにはそのパワーを存分に振るう権利が――そして振るわなければならない、義務があるッッ!!」
ドラコフは、演説を畳み掛けるため、「すぅ」と深く吸い込んだ。
――戦狂いの血が、騒ぐ。
「――さあ、待ちかねただろう!? 戦闘だ!!!!
制圧せよ、撃滅せよ、鏖殺せよ、蹂躙せよ! 帝政に仇成す愚か者ども、完膚なきまでに叩き殺してやれ! 横たわった奴らの躯を、頭蓋を、
この日のために磨き上げた、黒光りする
ソドム・ゴモラを滅ぼした礫弾嵐の如く! やつらを連なり貫くのは、貴様等の
そして堕ちる先は、いいかッ!! 一人と残らず叩き堕としてやれッッ―――死んだことさえも後悔するような、ウジ虫まみれのクソ地獄にッッ!!!!!!」
「サーッ!!! イェッサーッ!!!!」
全隊一致の敬礼。軍靴の固い踵をぶつけ合う音が、揃って響く。今、地下奥深く――聖戦を前にした鬨の声が上がった。
「(……うむ)」
将は満足そうに頷く。
この部隊は、兵士たちは、ドラコフにとって、間違いなく生涯最高の傑作だった。彼は、指揮官としての揺るぎない自信と矜持を以て、殺戮の開幕を告げる。
「総員、突入準備。これより、本作戦『オペレーション〝ディエス・イレ〟』の最終フェイズに移行する――」
†
『レクイエム』――“
黙示録の災厄、苦しみの炎に焼かれ、
――異端審問部隊に追い詰められた教団残党は、『ゲヘナ』の最も奥深く、地下墓堂までの後退を余儀なくされていた。
そこは地下に建設された広大なドーム状の空間であり、天井も異様に高い。主に、殉教者たちの躯の安置や土葬を行っているエリア。まさに、教団内で「最も地獄に近い場所」と言えた。
敵部隊によって主電源を落とされているため、たくさんのかがり火が焚かれ、
特殊部隊の猛攻から逃れ、この大墓堂まで辿り着けたのは、信徒、司祭、幹部連中を含め、おおよそ三百人。特に、力の弱い女子供や老人、非戦闘員から、真っ先に撃ち殺されていった。三千人からいた常在構成員は今や、約十分の一まで減らされてしまった計算になる。
最後の砦であった、墓堂を守る頑強な鉄門扉――それすらも指向性爆薬によって破られ、いよいよ敵部隊の突入を許してしまっている。掃討作戦の段取りも、ここにきて大詰めだ。
弾丸が飛び交い、双方の戦闘員が塵芥のように命を散らし、斃れていく。だが、どちら側が押されているのか、
信徒達も皆、そのことが分かっているのだろう――覚悟を決めた顔をして、幹部を守るように陣形を組んでいる。
両陣入り乱れる混戦の
すれ違いざま、信徒どもの首筋や心臓に
しかし、仲間の死を、敵の圧倒的戦力を、間近で見せつけられて尚、狂信者たちの戦意は微塵も揺らぐことはなく。
「おのれ……!!」
「悪魔めっ!!」
「うおおッ!!」
雄叫びを上げながら、襲い掛かってくる。
――ドラコフはそんな信者たちの蛮勇に対し、両腕を広げ、狂喜した。
「……フハ、フハハハ! それでこそ異端者ッ! これこそが戦争よッ!!」
先頭切って駆けてきた二人に挟まれ、双方より横薙ぎと袈裟懸けの剣撃が襲い来る。ドラコフは横一閃の薙ぎを、屈みの低姿勢で転身しつつ躱し、もう一方から袈裟懸けが振り下ろされてきたのを、振り向きざまライフルの
諸刃の西洋剣独特の
その正確で計算し尽くされた敵将校の動きに、信徒達はここにきて
接近、回避、射撃、肉弾、装填、換装、鹵獲。すべての技法が、他の有象無象とは一線も二線も画す、異次元の高度さ――。
「フハハ! どうした!? 温い! 温いな――!! 露助の
ドラコフは片時も止まることなく、敵の攻撃を全て計画的に躱しながら、ライフルの
続々襲い掛かってくる信者達も、何をされたのかも分からないうちに武器を奪われ、投げられ、あるいは手首や肘の関節を極められたかと思うと、次の瞬間には、奪われた自分の武器でとどめを刺され、返り討ちに遭っている。まるで流れるように、それでいて機械的な動作――。
この元陸軍将校の使う、不気味なほど一切無駄の無い、不思議な動き――それはソ連に伝わる軍隊格闘「システマ」によるもの。「システマ」は連邦の伝統武術を元にし、戦場での使用を想定したうえで、近代戦闘における格闘概念により改良を重ねられた、軍隊格闘術の
ドラコフの遣う「システマ」は幼少時代、彼と同じく陸軍将校だった祖父が大戦時代に捕らえてきた、ソ連出身の捕虜から教わり授かったものだ。幼いドラコフは八年間この捕虜から「システマ」を師事し、これを極めている。ドラコフの師匠でもあったその捕虜は、ありとあらゆる技をドラコフに伝授し、やがて用済みとなったあと、己の教えたありとあらゆる技の実験台となり、戦闘者として――否、健常な人間としては再起不能になった。そして最終的にはドラコフが祖父と父に教わりながら行うたどたどしい拷問術の練習台にされ、洗いざらいの情報を吐きだし、死んだ――。
これが、ドラコフが齢にして十五になる頃の話だった。彼が指揮官ながらずば抜けた戦闘能力と冷酷さを有しているバックボーンは、これら幼少時の体験にこそあった。
「さぁ、――どこにも無いのだ! イカれテロリストどもの逃げ場は! 今こそ蹴散らし! 踏み潰し!
将の戦いぶりに、その苛烈さに、兵たちの士気はさらなる高揚を。
ドラコフの号令に従って、隊員たちが更なる前進へと繰り出した、その時。
突撃する部隊の前に打って出る、黒い影――――。瞬間、鉄の棒のような何かが数度翻り、一瞬のうちに数人の隊員が打ち
「――神意に背を向く愚か者、ども。ちり灰にすぎぬお前たちが。ちり灰にすぎぬ私たちが。我ら何を足掻こうとも、主の怒りとさだめは変わらぬことと、知れ」
黒い闖入者――使徒アンドレが、ドラコフらの前に立ちはだかる。ここに辿り着くまで幾多の戦闘を繰り広げたのか、その姿は血に染まっており、特に、頭部と胸部からは多量の流血
武装した黒衣の使徒は、身の丈を超す二本の黒い鉄棍を、交差させるように背負っている。そして、手に持った手榴弾が一つ。
その手榴弾は、最新式の物ではない古いデザイン――投擲用の柄の付いた「スティックグレネード」と呼ばれるタイプのもの。
アンドレは、起爆ピンの抜かれた
再び落ちてきたそれをキャッチすると、手榴弾はなぜか、二つになっていた。
ぽんっ……。
もう一度、同じように放り上げる。
すると、「二つ」だった手榴弾は、空中で「四つ」になった。
落ちてきた手榴弾を全て掴み取り、アンドレはそれらをジャグリングのように両手間で
――――奇術の如く、いくら投げても尽きることのない手榴弾。それはまるで、手の内から無限に湧いて出ているかのようだった。
“主の思召しは尽きること無く”――プロパゲイト・サクラメントゥム。
――アンドレは、自らが用いる〝秘跡〟を、そう呼んでいた。
(【Ω】へ続く――)
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