第2話 あんたに見ず知らずの誰かの為に命をかけて戦う覚悟があるっていうのかい?
金海沢デザイナーズ学園。
名前だけ聞けばクリエイティブ系の専門学校のような気もするが、実はそうじゃない。
専門学校という所は間違ってはいないのだが、その専門分野が普通とはかなり異なる。
金海沢デザイナーズ学園が専門にしている分野は対エイリアンなのだ。
平たく言うと、金海沢デザイナーズ学園はエイリアンと戦うための組織兼人員育成の学校というわけだ。
エイリアンと戦う人員といっても色々いるようだが、検査などを受けた結果、俺はその中でも花形と言われているデザイナー科に配属された。
このデザイナーというのは先ほど電車から見えたエクスユニットのパイロットの事を差す。
(しかしいったい誰が決めたのかは知らないが、パイロットのことをデザイナーって呼ぶなんて紛らわし過ぎるだろ)
俺はそんな事を思いながら、学園のパンフレットに書かれた説明文へと目を通していく。
他にも色々特殊な学科の名前が並んでいるが、どんな事をするのだろうか。
俺は元々大きな志を持ってこの学園に入ったわけではないので、よくわからない事が多い。
俺がこの学園に入った一番の理由は、志願して合格すれば国が全額負担で色々と面倒を見てくれるということだったからだ。
だけど、ばあちゃんはエイリアンと戦うことになるこの学園への進学に反対した。
『
学園に志願すると言った時、ばあちゃんに言われた言葉が蘇る。
俺はそれに答えられなかった。いまでも答えられる自信はない。
でも、ばあちゃんにはここまで色々と苦労をかけてきたので、俺はあまり負担をかけたくなかった。
『俺の人生だ。これからは自分でなんとかする』
俺はばあちゃんにそう啖呵を切り、反対を押し切る形でいまこうしてここにいる。
(流之介、おまえはもう逃げ帰るわけにはいかないぞ。答えはなくともやっていくしかないんだ)
俺は自分にそう言い聞かせ、決意を新たにした。
「……とまあ、それはいいとして」
俺は道の途中で立ち止まり、視線を横に滑らせて地図を見る。
「ここはどこなんだろうか」
一言で言おう――迷った。
この町は田舎過ぎて目印となるものがないのだ。自然に溢れすぎている。
それでいて周りに人の気配もないので道を聞くということも出来そうにない。
これはかなり詰んでいる。
焦りからか、地図を適当に描いてるんじゃないかとさえ思えてきた。
「いかんいかん」
うまくいかないから周りが悪く見えてきてしまっているぞ。
さっき駅で会ったお姉さん情報によると、学園は海沿いにあるらしいのでとりあえず海を目指すのがいいか。
「よし、それならこのまままっすぐだな」
俺はそうひとりごちると再び足を動かし始めた。
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