『体育祭権謀術数模様 -Happy Days!-』【4】

【4.ハーフタイム】




「もぉーう、すっっっ…ごい! カッコ良かったですぅううううッッ……!!」



 直前まで慌しくドタバタと準備に追われていたワリには無事に応援合戦の演技披露を終えることが出来、その後の後片付けも滞りなく済ませた、俺たちC組連合応援団員だったが……しかし予想に違わず、天文部の《部活動対抗障害物リレー》参加メンバーである俺と三樹本みきもと早乙女さおとめ高階たかしなの四人は、応援合戦の終了後まもなく行われるそれを控えて、着替えをしているまでの時間も無く、その足で学ラン姿のまま、またもや慌しく集合場所でもある入場門へと向かうこととなった。

 そんな俺たち四人を、入場門に到着するなり、迎えてくれたのは。――体操着にブルマ姿で待ち構えていたように走り寄ってきた小泉こいずみの『きゃああああっっ!!』という絶叫に等しいかん高い叫び声と、続く絶賛の言葉。

「ホントに感動しました!! ちょーステキでした! 学ラン着てる応援団員という部類のヒトを、こんなにもカッコイイと思ったのなんて初めてですぅうううっっ!!」

 言いながら、それでも何か言い足りないのか、手足をジタバタさせては「まぢスゴイですー!!」とキャーキャー喚く。

「応援席も、すっごい盛り上がってたんですよーっ!! もう皆ノリノリで、特にオンナノコたちは黄色い声で絶叫しながらポンポン振ってましたし!! そのくらい、部長たちってば、すっごい迫力満点でカッコ良かったですーっっ!!」

 褒めてくれるのは嬉しいのだが……そう素直に臆面もなく面と向かって絶賛されると、なんだか照れくさくてコソバユイ。

 何と返事を返していいものやら分からないままに、とりあえず笑って「ありがとう」とだけ、返しておく。

「コッチからも応援席、見えてたで? 皆ちゃーんとコッチの指示通りにポンポン振ってくれて助かったわ。こっちこそアリガトなー?」

 小泉のアタマを軽くぽふぽふ叩きながらニコニコ笑顔でそんな返答を返せる三樹本が……さすがカレシだけあって、扱い慣れてるというか褒められ慣れてるというか……なんだかスゲエと思ってしまう。――『ありがとう』しか返せない俺より全然オトナでやんの。

 確かに三樹本の言う通り。そもそも俺たち応援団員は、“C組を代表して応援合戦に出場するメンバー”というだけであって、“応援”そのものは、やっぱり“C組連合”というチームぐるみで皆が一丸となってやらなければいけないものである、と考えているから。

 よって俺たちC組応援団の応援合戦の演出の中には、応援席からの参加も含まれていた。

 …とはいえ、声を出してもらうことと応援道具でもある黄色いポンポンを振ってもらうこと、くらいのササヤカなものでしかないが。

 それでもタイミングを合わせてもらわないことには“参加”と呼べるイミは無く、タイミングを合わせてもらって初めて“演出”と呼べるべきものにもなる、というものでもあり。

 しかしその点については、三樹本の言葉通り、事前に俺が説明して軽く打ち合わせただけにしてはバッチリな出来栄えを、それこそC組生徒一丸となって、披露してくれたんじゃないかと思う。

 振りを合わせながら応援席の様子が見え、ここまでキレイに揃うと壮観だよな、と……本番中、動きながら内心“これで一位は貰った!”と一人ニンマリしていたような記憶もある。

「でもー……これでまた、みっきー先輩のファンが増えちゃうなー、と思うとー……ちょっぴりフクザツー、ってゆーかぁ……」

 そして、三樹本の前で今度はクネクネとオトメゴコロで葛藤し出した小泉を、少し離れたトコロから白い目で見つめつつ早乙女が小さく「けっ、バカじゃねーの」と呟くと……同時、それを耳ざとく聞き止めた小泉がキッとした視線を上げてヤツの方に向き直るや否や、即座にニヤリとした笑みを浮かべて、

「ああ、そういえばアンタを『カッコイイ』って言ってるモノズキなオンナノコも居たわね! やっぱ応援合戦の効果ってスゴイわねー? こんなアンタでも、そーやって学ラン着てるだけで『早乙女くんって、あんなにカッコ良かったっけ!?』なーんて、それなりに良く見えちゃうんだからーっ!」

 ――強烈なイヤミ攻撃、炸裂☆

「ファンが増えて良かったわねー?」と、相変わらずのニヤニヤ笑顔で三樹本の身体ごしに言ってのける小泉を、仮にも先輩の陰に隠れられている手前、殴るにも殴れず、握り締めたこぶしをフルフル震わせつつ、「いらねえよ、そんなもん!!」と怒鳴るしか出来ない早乙女。――やや哀れ。

「ミカコは、どう思ったー? 副団長としての早乙女っちのこと!」

 そして、やっぱりイヤミ攻撃の延長なのか、早乙女の気持ちを知っているからこそのイヤガラセもどきに続けられた小泉の言葉で、…対して、そんな意図とは全く気付くことも無く相変わらず普段通りのニコニコした笑みでそれまでのナリユキを見守っていた高階は、しかしイキナリ話を振られたというのに鉄壁の笑顔を崩すことも無く、「そうねえ…」と、やっぱり普段通りのおっとりした声音で、返答を返す。――そんな高階も、今は俺たち同様やっぱり黒い学ラン姿。それが妙に似合っていて、しかも身体の線にピッタリとフィットしてる学ランのラインが妙に色っぽくて、加えて普段は感じられない凛々しさまでも雰囲気から感じられたりしてて。そんな彼女を一目見るなり凝視して硬直した早乙女が、その後、鼻血でも噴き出しそうになったかミョーな動きで鼻のアタマを押さえつつクルリと百八十度方向転換していたのを、シッカリ俺は目撃している。

「もちろん、カッコ良かったと思うわ。さすが空手の上手な人は違うわよね」

 私みたいな付け焼刃な動きとは全然違うもの。続けられた高階の言葉に被さるようにして、やや頬を染めて首をブンブン振りながら、即座に「そんなことない! 高階こそ、初心者にしてはマジで良かったし動き!」と、よりにもよって高階の両手をガッと掴んで握り込み、それを力説する早乙女。

「コラコラ、ミカコ~? お世辞も言い過ぎると、この単純バカ、付け上がっちゃうわよー?」

「ううん、お世辞だなんて…そんなことないわよ? 本当に、先輩たちに負けず劣らず、早乙女くんも副団長としてスゴク活躍していたと思うし」

「ありがとう高階っ!! そこのバカチビと違って、俺のことを本当に解ってくれるのは君だけだ!!」

「…イエそんな大袈裟な。誰が見ても当然のことを言っただけだもの」

 ――高階、君は何て罪作り。…と思うのは、きっと俺だけでは無いだろう。

 そこで案の定、「なによ『バカチビ』って!? アタシのことッ!?」と即座に食ってかかって噛み付こうとした小泉の言葉は、アッサリと三樹本により、口を「もがっ…!?」という言葉にもならない呻きと共に塞がれて、阻止されてしまう。

「まあまあ、ここは早乙女っちに花を持たせてやりーや桃花ももか。せっかくC組を代表して身体を張ってまで頑張ってくれたんやから」

 …サスガ三樹本、よーく分かっていらっしゃる。

(だって、もうそろそろ、このへんで来るハズ、なんだもんなー……?)

 ここで三樹本いわく『花を持たせて』でもあげとかないと……マジでホントに冗談では無く、そろそろ“いつものパターン”に差し掛かる頃合だし。

 こうやって早乙女と高階が、何だかんだとイイ雰囲気になっているトコロで必ず……、



「――なーに手ェ取り合って見つめ合ってやがるんだ、テメエら?」



(こーやってジャマが入ることになってんだよねー碓氷うすいセンセーの……)

 しかも毎回毎回、出てくるタイミングをキッチリ計ったように現れて下さるし。――これは降って湧く登場の仕方を既にチャッカリ心得ているとしか思えない。どこぞの忍者ですかアナタは?

 そーやって、ふいに背後から響いてきた低くオドロオドロしい声にビックリしたのか、反射的に二人がバッと握り合っていた手を離す。…ホントに束の間の幸せだったなー早乙女。可哀想に。

 しかも碓氷センセー、今日は〈体育祭〉という場所柄ゆえに全くもって煙草が吸えない、という状況にある所為なのか……はたまた、さきほどの“午前の部”最後の競技で食らった例の“吊るし上げられ”が尾を引いているのか……普段にも増して、あからさまに機嫌が悪いし。

 そんな不機嫌さMAXな重低音の声で何の前触れも無くイキナリ言葉を投げつけられたら……そら、早乙女でなくともビックリするわな。

「あ、先生っ! さっき私が応援合戦に出てたの、ちゃんと見ててくれました? 学ランもどう? 似合う?」

 しかも高階、センセーの顔を見るなり、すっげえ嬉しそうな表情になったかと思うと、そんなことまでニッコリ可愛く言ってくれちゃって。…早乙女、さらに哀れ。

 そこで、「はいはい、見てた見てた。ゴクロウサマ」と軽くあしらう碓氷センセーが、あしらいつつも、片手で高階のアタマをナデナデしてあげちゃったりなんか、して……むしろ、さっきの早乙女との雰囲気よりも“イイ雰囲気”醸し出していたりなんか、しちゃってて……それを目の当たりにしてしまう早乙女が、ドコまでも哀れ。そして不憫。

「学ランも、なかなかに似合うじゃねーか。なんっか普段とは別人みたいだぞ?」

「ホントに!? 別人だった!? 先生がそう言ってくれるなら、頑張った甲斐があったなあっ♪」

「確かに、言うだけのことはあったよな。よく頑張った。お疲れさん」

「うわーい、先生に褒められちゃった~!」

 ――このほんわりした会話をジャマするのは、非っ常ーっっに! 気が引けるのだが。…てゆーか、ナゼにこんなにも普段以上にラブラブしてやがるんだコイツら? やっぱ、さっきの《“借り人”競走》の影響か? …と考えたら、その和やかな会話と笑顔のウラに何かそれぞれの含みがありそうで、そこはかとなくオソロシイが。

「てゆーか、あのー……そろそろ時間も差し迫ってきてますので、打ち合わせに入りたいんですが、よろしいでしょうか……?」

 カクゴを決めて俺が何とか踏み切って、その言葉を言ってみた途端……、



 ――どすっ……!!



 イキナリ背後から、まるで飛んできたかのような勢いでもってブチ当たってきた物体により、思わず「おあっ…!?」という呻きを洩らし、よろけて前につんのめった。

 かろうじて転ぶこともなく踏ん張ってコラえることが出来たのだが……俺が振り向いてナニゴトかと言葉を発するよりも早く、腰に手を回されて抱き付かれると同時、ナナメ下あまりにも低い位置から聞こえてきた、ヤタラと高いアニメ声。



「はっろーん、たいちゃんっ♪ 応援合戦、お疲れサマーんっ☆」



 聞こえた途端、振り返るまでも無く、声でソイツの正体が判った。――そもそもこんなことしてくるヤツなど、俺の知る限り、一人しか居ないのだが。

「――ぁあああッッ……!!」

 呻きながら、俺は自分の腰に回された細い腕を引っぺがし、心底イヤそーな表情を作って、改めて振り返ってやった。

 振り返った俺の、見下ろした視線の先には……めちゃくちゃ小柄な、やっぱり体操着とブルマー姿の、一人の女子生徒の姿。

「おまえなあっ……何の予告も無くイキナリ飛び付いてくるなと、いつも言うとろーがっっ!!」

「じゃー、予告すれば飛び付いていいの?」

「やかましい!! やたらめったら飛び付いてくるなと言ってるんだ俺は!!」

「えー、だって平ちゃんてばデッカイから、飛び付かないと気付いてくれないんじゃないかと思ってー……」

 そうして口許で両手を組み合わせた挙句ウルルンとした上目遣いの瞳でコチラを見上げ「怒っちゃヤー」とかまで言われてしまうと……外見上、俺がオマエをイジメたりとかしてるみてーじゃねえかハタから見たら。

 ぜってー、そんなことをチャッカリ理解している上でやってやがるんだからコイツは、タチが悪い。…悪すぎる!

 コイツに何を言っても効き目は無い、ということを充分に理解している俺が、もはや何を言うのも諦めてタメ息吐きつつ、「由良…」と疲れた声で口を開きかけた、――とソコで。



「ひょっとして……部長のカノジョ?」



 そんな好奇心マンマンにコッソリ三樹本に囁いた小泉の声が、シッカリと俺の耳にまで聞こえてきてしまって。

 なんだそりゃ…とガックリしたあまり、そのまま疲れた声を継続さして「おい…!」と振り返ると、問われた三樹本に先んじて、俺は呆れたように小泉を見やるや否や、心の底からイヤそーな声で告げてやった。

「小泉……オマエは、自分の通ってる学校で“生徒会長”やってる人間の顔も知らないのか……?」

「は? 『セイトカイチョー』って……?」

「はーい! 生徒会長してまーっす、二年C組、吉原よしはら由良ゆらでーっす! よっろしくーっ♪」

「――はいっ……!?」

 俺の身体ごしにピョコンと顔を出してニッコリそう挨拶した由良の姿をポカンと眺めて……そう小泉が絶句してまで驚くのもムリは無い。

 なぜなら、この由良ほど“生徒会長”という役職に相応しくないだろう人間も、そうは居ないからな。

 俺の腰のあたりにしがみついたまま、小泉に向かいニコニコと手を振ってみせる、そんな由良の身長は、驚くなかれ一四三㎝。小泉よりも更に低い。しかも、ややヤセ型という所為でもあるのか、引っ込んでるトコは引っ込んでいるものの出るトコが出てないという、典型的なオコチャマ体型。さらに、小泉に輪をかけて、めっちゃくちゃ童顔でもあり。おまけに髪型は、ほぼ常にツインテール。今日に限っては、体育祭ということもあり、邪魔にならないよう普段は流してるだけのツインテールを頭の両脇で団子にして纏めてはいるが。それにしたって、ドコからどう見ても“小学生”以外のナニモノにも見えない外見である。おまけに声だって子供特有の高い声だし。しかも独特のアニメ声。

 …これで“正真正銘の一七歳”って、世も末だよな。



 ――よってコイツこそ、ウチの学校の生徒会が“イロモノ”と呼ばれている最大の所以ゆえんである。



「でも…え、じゃあ、なに……? 『吉原』って……部長と同じ苗字……」

 …ようやくソコに気付いてくれたか。…あまりにも遅くて涙が出てくるホド嬉しいぞ小泉。

「だからコイツは、俺の“妹”」

「――え、えええええっっ……!?」

 だって似てないっ…!! と叫びかけてからハッとして彼女は口を噤むも……遅いからソレ。シッカリ聞こえてるし。――正直な感想ドウモアリガトウっ。

 まあ、確かに……父親似の俺と母親似の由良とでは顔もあまり似てはいないし、それに片や身長一九〇㎝片や身長一四三㎝じゃあ、俺たちに血縁関係があると思ってくれるヤツの方がとてつもなく少ないのは、事実だけどな。

 ――てゆーか、そもそもウチの高校に通ってて、《三連山》はおろか、この“現会長”である由良すら全く知らずに避けて通ってきていたなんて……だからオマエ、人生ドコをどうやって歩んでいるんだ小泉……!!

 …という俺の心の叫びは、さておいて。

 驚いたあまりか近くの高階と早乙女に「二人とも知ってた!?」と訊いてはスゲなく「当然」と返されてショックを受ける小泉から視線を外し……そこでようやく、「なにはともあれ…」と、改めて俺は由良へと向き直った。

「それで、何の用だ由良?」

「えー、べっつにー? ただ平ちゃん見かけたから話しかけてみただけー?」

「………とっとと消えろ」

「いやーん平ちゃん、冷た~いっ!」

「ウルセエよ! こっちは大事なレースを控えて忙しいんだ! ジャマすんじゃねえよ!」

「そんなの由良だって同じだもんっ! だからココに来てるんだし?」

「――は……?」

 その瞬間、ウンザリしていた表情のまま、ハタ…と俺は固まった。

 なんだか今……モノスゴク重大なコトを、聞いてしまったような……気が、する……?

「ちょっと待て……!!」

 反射的に、思わず俺は問いかけていた。

「じゃあオマエも、ひょっとして次のレース、出るのかっっ……!?」



「ふははははははははっ! ――ウチの可愛いバトン嬢に何か用かね? 平良たいらくん!」



 そして同時に……突如として真横から響いてきた、不愉快な含み笑いと、その言葉。

 もはや振り返るのも面倒くさい。

「…出たな、三バカ」

 そんな俺の予想に違わず……振り返ったそこに並んでいたのは、例によって《三連山》の坂本さかもと葛城かつらぎ田所たどころの面々。

「よお平良! 応援合戦、ご苦労だったな! お疲れさーんっ!」

「俺たちもC組の一員として鼻が高い。素晴らしい応援っぷりだったよ。サスガだ平良!」

「しかし! …とはいえ運命の女神は皮肉にも、チームメイトで、かつ友人でもある、深い絆で結ばれている同朋の俺たちを引き離し、よりにもよって敵対する宿命を与えてしまったのである!」

「ぅああ、なんということだろうか! たとえ運命とはいえ……恨まないでおくれ、これもまた俺たちに与えられた、いわば試練っ……!」

「――だから何が言いたいキサマら……」

 そこでナゼ芝居調になって言う必要があるのか、そのことからして全くもって意味不明なのだが……俺がウンザリして口を挟んだ途端、三人揃ってビシッとポーズを決めたかと思うと、「つまり結論!」と、キッパリはっきり、言い切ってくれやがった。



「この勝負に関して!」

「俺たちは“生徒会代表”として!」

「決して負けるワケにはいかないのだ!!」



 ――つまり“宣戦布告”、と……だったら最初からそう言えよ回りくどい。



「ごめんねえ、平ちゃぁん。…つまり、そういうことなのよーっ」

 再びナナメ下めちゃくちゃ低い位置から投げ掛けられる、そんな由良のすまなさそーな声。…ウソクサさ満点。

「平ちゃんとは、出来ることなら争いたくはなかったんだけど……」

「…じゃあテメエら揃って今スグ棄権しろ」

「ああん、それだけはダメなのよぉおおおっ!!」

「許せ平良! これでも同じ天文部員だ、部のためにも協力してやりたいのはヤマヤマなのだが……!!」

「そればっかりはどうしても協力できかねる、マリアナ海溝よりも狭くて深~い事情があって……!!」

「曲がりなりにも俺たちだって生徒会組織の一員、やはり易々とドコぞの部に部費をホイホイくれてやるワケにもいかず……!!」

「………よーするに平たく言えば、梨田なしだサンが怖い、と?」

「「「――オマエに彼女の何が分かるっっ!!」」」

 そう声を揃えて言われましても、ねえ……? ――エエ分かりませんとも、ちーっとも。

「あのなあ…」と呆れてウンザリ声を投げ掛けようとした途端、今度はナナメ下から響いてくる、「平ちゃん…?」と俺を呼んだ珍しく低いローテンションな由良の声。

「あのね…まぢ本当ーにっ! ――梨田リンダちゃんは、怖いのよ……?」

 そう呼ばれることをイヤがっている梨田女史に真っ向から臆面もなく『リンダちゃん♪』と呼びかけられる人間は、全校ドコを探しても由良しか居ない。居るとしたらば他には三樹本くらいなモンだろう。…と、それくらい由良と梨田は、昨年から同じクラスだということもあってか、一応は“仲の良い親友同士”であるハズなのだが。

 その“仮にも親友”である由良の口から、こうシミジミと、これほどまでに言われてしまうとは。

 ――梨田サン……アナタ一体、どんな手を使ってコイツら脅し付けたんですか……。

「だから平ちゃん? 本当に本当に、私たちの身の安全を考えてくれるなら、このレース……平ちゃんたちこそ、棄権してっ?」

「却下! そんなもん、俺らの知ったこっちゃねえしっ!」

「いやーん、平ちゃんのヒトデナシーっっ!! 可愛い妹がどうなってもいいってゆーのーっっ!!」

「それくらいじゃどうもならねえだろ。…頑張ってコラえて勝手にどーぞ生き延びてくれ」

「平ちゃんは、リンダちゃんのオソロシサを知らないから、そんな悠長なことが言えるのよぉーっ!! ――これでもし仮に、優勝できない、なんてことになったら……どんなオソロシイ目に合わされることか……アタシ、確実に地獄行き……!!」



『――聞こえてるわよ、由良!』



 …とソコで、ふいに大音量でスピーカーから響いてきた、その声に。

 途端、ウラミツラミをツラツラと言いかけていた由良が、出しかけていた言葉も出せないままに、そこでパッキリと固まった。

『ヒトの悪口を言うのなら、当人には聞こえないトコロで言いなさいね』

「な…なんで……?」

 硬直したまま背筋に冷や汗ダバダバ流しているだろう、そんな状態で呆然と呟く由良の横に。

 フと気が付けば、ヒッソリと一本のマイクが向けられている。

『――ハイ! …というワケで、これからいよいよ始まります《部活動対抗障害物リレー》!! 各部チーム、選手の皆様が続々と集まってきては早くも白熱しております入場門の様子を、まず真っ先に中継させていただきました! この競技は生徒会主催ということもあり、コチラ放送席には、主催者でございます生徒会会計の梨田さんを解説にお招きしております! どうぞよろしくお願いします!』

『こちらこそ』

『そして実況は、ワタクシ滝本たきもとコウイチと……』

『中継に榎本えのもとツヨシで……』

『お馴染みワタクシども「放送部の《Kinki Kids》」が、二人がかりで競技の模様を逐一、詳しく分かりやすく、皆様にお伝えしてまいりまーす!!』

 そこで客席全体から湧き上がる拍手と喚声。――そのアナウンスから察するに、俺らの会話は、何だか知らんがいつの間にか全校生徒に中継されていたということか……? つーか、スピーカーから声が流れてただろうに、そのことにすら全く気付かなかった自分が不覚。

 そして、いつの間にこんな近くに来ていたのか……あまりに突然のことで絶句するしか出来ない俺たちの横で、放送係の腕章を付けた、おそらく中継リポーターの放送部員・榎本ツヨシと思しき男子生徒が一人、俺たちの横でマイクに向かいニコヤカに喋りまくる。

『こちら入場門です。いましがたの会話は、優勝候補であります生徒会チームと、有力対抗馬として名を上げてます天文部によるものです! やはりコチラも皆様ご周知、生徒会長と天文部部長の兄妹対決ということもあり、これは好カード! のっけから面白くなりそうですねー! ――どうですか吉原生徒会長? そこのところのご心境は?』

 そうやってマイクを向けられても……あまりのオソロシサのためいまだ冷や汗タラタラ流しているであろう由良に、気の利いた返答など出来る余裕は、間違ったってカケラも無い。

 しかし、そんな由良に追い討ちをかけるかの如く、再びスピーカーから響いてきた心地よい穏やかなアルトの声。…ただし迫力満点。

『――由良…? 今サラ「棄権する」なんて、言わないでしょう……?』

 途端、ハジかれたように差し出されたマイクを引っ掴んで由良が叫ぶ。

「せせせ、せーいっぱい頑張らせていただきますっっ!! たとえ相手が兄だからといって、容赦はコレッポッチも致しませんっっ!!」

 ――だから梨田……オマエ一体、どんな手段を使ってコイツらを説得したんだ……?



「ところで……なんで生徒会が“優勝候補”で、ウチが“対抗馬”なの? 運動部でも無いのに……」



 やはり、そうコッソリ三樹本に投げ掛けられた小泉のソボクな疑問を聞き止めて、『おーっと、それはいい質問だあっ!!』と、即座に食い付いた放送部員。

『ナゼに生徒会が、並み居る運動部の面々を差し置いてまで“優勝候補”と言われているのか! ――ご説明いたしましょう、それはダントツに生徒会のバトンが“軽い”からでございます!!』

 その言葉を聞いた途端、むむっと小泉の眉が軽く寄る。自分も同じバトン役、しかも“小さい”と言われることで過剰なまでに怒りを表す彼女のことだ、そうバトンの軽い重いで“優勝候補”とまで決められてしまうということに軽く抵抗を感じたのかもしれない。

『モチロン、生徒会チームのバトンは、皆様ご存知、いつもながら小柄で愛くるしい吉原生徒会長! 今日も相変わらずキュートです! アタマのお団子が何とも可愛らしい! そんな彼女より軽い人間は、全校生徒を見渡したところで、まず他には居ないでしょうっ!! しかも、そこまで軽い彼女を運ぶ走者には、前年度生徒会の立役者、コチラにいらっしゃいます屈強な《三連山》のお三方が揃い踏み!! 全校一の軽さを誇るバトンに、ココまでガタイの良い選手が三名!! そんなメンバーを揃えた生徒会チームこそ、“優勝候補”と言わずして何と言う!!』

 そこで再び、うおおおおおっ! と盛り上がりを見せる応援席および一般客席。そして観客サービスに余念の無い、手を振って声援に応えるヨユーなど見せる《三連山》の面々。…このお調子モンどもめ。

『そして対抗馬! そんな生徒会チームに匹敵するのが、吉原部長率いる天文部チーム! やはり運動部を差し置いて、優勝候補に対する“対抗馬”として目されている理由は……まず君だ!! 一年C組、小泉桃花!!』

「ほえっ……!?」

 振り返った放送部員により突然ビシッと鼻先に指を突きつけられ、目を丸くして小泉が三樹本の影に隠れたままパッタリと硬直する。

 しかし、そんな小泉の様子など何のその、相変わらずの調子で中継レポの榎本はエキサイトしたままのテンションで言葉を繋ぐ。

『さきほど行われました“午前の部”最後の競技《WANTED! ~ミッション・イズ・『ウォーリーを探せ!』トライアル☆》にて、大活躍を見せてくれましたことは皆様の記憶にもまだ新しいと思われますが、その小泉選手、今度は《部活動対抗障害物リレー》において、天文部チームのバトン役を務めます! しかも小泉選手は、ご覧の通り、なんと吉原会長に負けるとも劣らない小柄な体格の持ち主です! ワタクシどもの調査によると、身長も体重も、ほぼ互角!』

 やはり案の定、そこでムカッ腹が立ったか小泉が声を上げようとするも。――即行、「余計なこと言わんと」と、またもや三樹本にやんわりと口を塞がれる。…サスガ三樹本、ナイス判断。

『しかも走者には、まず第一に、生徒会チームの《三連山》の面々に勝るとも劣らない屈強なガタイの持ち主であり、しかも校内一の戦闘集団でもあります空手部をその配下に置いていらっしゃるという、校内随一の武闘派との誉れも高い、コチラ吉原部長がおられます!』

「――って、人聞きの悪いこと言うな!」

 という俺のササヤカなツッコミは、しかしアッサリと黙殺される。――今まで一度だって『空手部を配下に置いた』よーな覚えなんて無いっつの! 部長をはじめ部員をことごとく叩きのめした記憶ならば、何度かはあるものの。

『それに加えて、おまけに禁じ手、よりにもよって顧問の碓氷先生まで走者に担ぎ出してくるという、これはあからさまに勝ちに討って出てますねー天文部チーム! …やはり先ほどの《WANTED! ~ミッション・イズ・『ウォーリーを探せ!』トライアル☆》にて、初体験の告白などしてくれちゃいました姿がまだ記憶に新しい、コチラ碓氷先生でございますが』

 即座にヒクッと、先生の頬が小さく引き攣ったのを……そんなん、見逃す俺ではない。――あぁあ、こりゃ相当キテるよなあ……てゆーか、今ので寝た子を起こしたよーな感があるぞ? なんてことしてくれやがるソコのウッカリ放送部員。

『ご覧の通り、やはり先生も並ぶ吉原部長と同等の体格! よーするに、これで天文部チームも、生徒会チームに負けるとも劣らないバトンと走者の揃えっぷりとなったワケですね! ――てゆーか、そもそもソボクに疑問です! 顧問とはいえ教師を使ってもいいのでしょうか、この競技!? どうなんですか、そこのところは!? 主催者および解説の梨田さん!?』

『そうですね……確かに、そこは皆様、疑問に思うべきところだとは思いますが……しかしルールにも「教師の参加は不可」という項目は見当たりませんし、また、この競技における過去の記録を辿りましたところ、“部員数が走者の数に満たない”という理由で顧問教諭の参加を許可している前例もありましたので、よって、このたびの天文部からの申し出につきましても、…まあ所謂“抜け道”と言える手段ではあるのかもしれませんが、許可を致しました次第です』

「別に、そんな『許可』なんぞくれなくても全くモンダイは無かったんだ…」という至極ご尤もな碓氷センセーのウンザリしたようなボヤきは、心を鬼にし聞かなかったことにする。――てゆーか、この期に及んでまだ言ってるかねそんなこと。いい加減ハラ括ってくれないと。

『サスガ梨田女史、どこまでも公平かつ正当な理由での裁定でございます! そこに一縷の不正もございません!』

『当然です! この競技に関しては生徒会の威信にかけて、「一縷の不正」も入り込むスキ無きよう、万全の体制で取り計らっておりますから』

『素晴らしい! やはり生徒の上に立つ生徒会は、こうでなければなりません! ――と、こうして碓氷先生の参加理由がスッキリ飲み込めましたところで、中継のツヨシくん! 続きをどうぞー?』

『ハイ、ツヨシです! そんな“抜け道”を使ってでも、あくなきまでに“勝ち”への意欲を燃やす天文部チーム! 臨時賞与の威力たるや、なんて絶大! …そして皆さん、見えますでしょうか? 天文部チーム走者五人のうち先生を除いた四人全員が、なんと先の応援合戦で活躍しましたC組応援団員でございます!! しかもC組応援団幹部格闘家三人、団長・副団長が揃い踏みです!! この黒い学ラン姿が、なんだかミョーに強そうだーーーっっ!!』

 ――学ランなんて……暑いわ苦しいわ窮屈だわ動きにくいわで、『強そう』以前のモンダイであることが……ハタから見てる人間には、所詮、伝わってくれやしない。見た目で軽くモノを言うなコンチクショウ。

『そんな天文部チームを率いてらっしゃいます吉原部長が、校内一の戦闘集団であります空手部をその手の中に押さえていらっしゃることに加え、現生徒会会長の兄君ということもあり、また、前年度生徒会役員として現生徒会組織内においても多大な影響力を揮っていらっしゃいますコチラ《三連山》の方々のご友人、ということもあり。――ココだけの話、武力・政治力の両刀を握った、実はナニゲに校内で最も権力を持っている人物なのではないかと、専らのウワサでございます!』

「――根も葉もない誤解だ」

 てゆーか、全校規模で『ココだけの話』とかすんなよ、そこのお気楽放送部員!!

『その話については……そういえばワタクシども、少々気になるウワサを仕入れておりまして……』

 俺がヤツのマイクを引っ掴んで弁明をしようとした、その先を奪われて……何を言う前に今度は放送席の方から、スピーカーを通して、そんな言葉が届いてくる。



『天文部の吉原部長と、コチラにいらっしゃいます生徒会会計の梨田さん、――実はお二人、過去お付き合いされていたことがあったとか?』



 それを聞くなり沸き起こった会場のどよめきと、即座に「えええええっっ!?」と俺の目の前でウチ部の一年生三人も、声を揃えて絶叫する。

 同時に、やはり穏やかで心地よいアルトの声で、しかしトコトン不機嫌そうに、スピーカーから降ってきたのは件の梨田女史のピシャリとしたセリフ。

『…ウルサイわよ、そこの《浅草キッド》!』

『おおっとー、すぐ隣のご当人により、ワタクシ玉袋筋太郎にされてしまいました! ――もうお一方ひとかたのご当人は如何でしょう、中継の水道橋博士?』

『はい、水道橋博士です! アトムは制作しておりません! …というワケで、どうなんでしょう吉原部長? そこのところの真相は?』

 梨田サンの冷たい言葉にも全くメゲない、おそらく最初からコレを狙っていたのだろう、そんなスチャラカ放送部員にマイクをシッカリ突きつけられて。目の前では一年生の三人がキョーミしんしんの表情で覗き込んでくれてやがるし、周囲に集まってる競技参加選手どもの視線は集めまくりだし、また放送を通して全校生徒の注目まで集めてしまっている、こんな状態で……俺に逃げ場なんて、ありゃしねーし。

(――ごめんよセンセー……さっきの競技での碓氷センセーの気持ち、今はじめて理解できたよ……!)

 例の競技で吊るし上げを食らったセンセーを哀れに思いつつ心配しつつ、でも面白がっていたバチがココで自分に返ってきやがったか、と。

 そうして一つタメ息を吐くと、そこで俺はハラを決め、短くヒトコト、応えてやった。



「……まあ、あくまでも“元”ですけど」



『なんと、吉原部長当人から肯定のお返事をいただいてしまいました!! やはりお二人の関係は、“モトカレ”と“モトカノ”!! …どうなんですか梨田さん、ソコのところは!?』

 そして全校生徒の喚声やら嬌声やら鳴り物やらに紛れて届いてきたのは、やっぱり不機嫌そうな、ピシャリと返される不機嫌そうな声。

『…だからウルサイわよ、《東京キッド》!』

『ぅをっと、今度は往年の名曲が飛び出しました、昭和の歌姫が偲ばれます! そうまでして答えたくないか梨田女史ーっっ!! ――ところでいー加減、いくら通称とはいえ、正しいワタクシたちの名称を呼んで頂きたいものでございます! 改めてもう一度、申し上げておきましょう! ワタクシども、誰が呼んだが「放送部の《Kinki Kids》」は、決して間違っても《浅草キッド》でも《東京キッド》でも、御座いませんっ!』

『――ああーらゴメンナサイ、《“変態”Kids》さん?』

『うぉっとう!! 今度は“Kinki”を和訳されてしまいましたー!! あくまでもワタクシどもを《Kinki Kids》と認めてくれたくはない模様!! それとも、あくまでもコメントしたくない照れ隠しなのか!? もーこの際、《関西ボーヤ》あたりで妥協しまして、諦めて次いってみましょうかツヨシくーん!?』

『じゃあ、そおんな梨田女史に代わって、吉原部長にズバリお伺いいたしましょう! ――お二人は、どうして別れちゃったんですか?』

「…に、ことごとく付き合いをので」

 何を隠そう……その『どっかの誰か』ども張本人は、今この場所で何食わぬカオですぐ隣に立っている、――つまり例によって《三連山》の面々、なのである。

 おかげで、“モトカレ”“モトカノ”とは言いつつ、ホトンド付き合いらしい付き合いをしないままで終わってしまうことになったのだ俺たちは。

 まあ…そうだな、面倒くさいし、詳しいことについてはココでは語らないでおくけれども……よって俺は、白い目を向けつつ「詳しくはそこの三人に聞いてください」と、そう話をヤツらに振って、ここいらで返答を放棄することにした。

 そしたら即座にマイクが三人を追いかけて俺のもとから去っていってくれたが……その場から即三人が逃げ出しやがったことにまで、俺が責任を問われる必要も無い。

「うし、じゃあ周りも静かになったことだし、時間のあるうちに打ち合わせ……」

 それを言いかけながら、ようやく改めて、ウチチームの面々に向き直ってみたところ……、



「つまりなー? あの放送係のにーちゃんずが、このことから何を言いたかったのか、っつーと……ウチの吉原部長こそ実は、武力&政治力に加え、ああやって校内の財政力まで握り込んでる、その気になれば何も出来ないコトは無い、いわば“ウチの学校で最も権力を握ってるコワいヒト”、だったりするんやでー? ってコトやな! そこらへん、よーく憶えとき?」



 ――おいコラ三樹本……可愛い後輩たちに、なーに根も葉もないことを尤もらしく説明口調で吹き込んでやがるんだキサマ……!? てゆーかそもそも、もしやその黒いウワサの出所はキサマかコノヤロウっ……!!?



 速攻、無言でヤツの背後に回った俺のチョークスリーパーが炸裂したことは、もはや言うまでも無い。



「ちなみにー……こーやって、ヘタに情報屋サンなミキモトパールくん、ガッチリ絞めて押さえて支配下に置いちゃってることでー、校内の武力・政治力・財政関係にコネを持っているのみならず、さらに情報網に関してまでも、抜け目なくシッカリばっちり、その手に握っちゃってるワケなのよねー平ちゃんはーっ! …ねっ、どこまでも黒いでしょおっ?」



 ――由良……キサマまでそーニッコリ笑って、おまけにマイクまで通しやがって、全校生徒に事実無根な説明を発信すなッッ……!!



 これにより……それからしばらくの間、俺が誰彼からとなく『裏番長!』とアカラサマに囁かれては後ろ指を差されるようなハメとなってしまったことについても、――モチロン、不本意ながら当然、言うまでもなくなってしまったのだった。…ちくしょうめ。





【[5.後半戦]へ続く】

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