19
「左!」
強いて言うなれば何となく、だけを根拠にキースは左の壁に突っ込んだ。
すると突然壁の一部が新しく縁取られ、そのままクルリと回って三人を中へと詰め込んだ。
「っと! 何だよこれ……」
あまりに急な動きに驚いたが、同時にその原始的な仕組みに呆れてしまう。
部屋を一周ぐるりと、視線を巡らせてみる。ただの長方形であること以外、情報は何一つなかった。――起爆装置も。
「あ、これってさ! これって――」
ロイもそれに気づいたのか、再びその場で跳ね始めた、しかしそれはすぐさま響いてきた衝撃音によって止められた。
「……もしかして、隣の部屋が?」
「きっとね。あっちに起爆装置があったのかも。でも……」
キースとリオンは顔を見合わせた。その表情は、お互い曇っていた。
そのままゆっくりと、天井を見上げる。
――物騒の代名詞とでもいうような黒い箱が、貼り付けられていた。
「こっちにもあるみたいだね」
リオンが苦々しく笑うと、再び爆音が彼らの周りを取り巻いた。
――その音を尻目に、看守は口角を不気味に吊り上げた。
「なんで今まで男ばかりが地位を優先されてきたんだと思う?」
役目を果たしたスイッチを、看守は道端に捨てた。
「男の方が優れていたから? とんでもない! 女の方が肝も据わってるし根性もある。そんな奴が同じ土俵にでも立たれたら、男の立場は無くなるからよ。ナンセンスな生き物なのは、」
看守は火薬の匂いが漂う道に背を向けた。
「……あななたちの方よ」
ポケットから無線を取り出しながら、そのまま曲がり角へと姿を消した。
取り残されたモノたちは、もう動くこともなく使われることもなく、ただただ静かに終わりを物語っていた。
〈GAMEOVER〉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます