17

「――俺の家族なんだ」

 咄嗟に出た嘘が、少し罪悪感を生んだ。

「というより、親戚なんだけど……」

 だから、更に付け加えた嘘が尻すぼみになってしまった。

「……本当に?」

「あ、ああ。本当だ。従兄なんだ。見舞いに来たら、急にこの地下まで走って行ってしまって――」

「本当に?」

「だ、だから――ぐあっ!」

 突然、頭に強い衝撃が走る。目の前がグラグラする中、リオンは相変わらずの目つきでこん棒をまた振り上げた。

「もう一度聞くよ。それ本当?」

「だからそう言って――っ!」

 もう一発、今度は腹に一発食らい、キースはロイと同じように吹っ飛んだ。

「僕が何人の目を見てきたと思ってるの?危機を目の前に懇願する人の目はね、その場凌ぎの嘘で泳いでるんだよ。君も同じだ」

「何を言って……」

「そうやって平気で嘘をつくような身体はね」

 ドチャッと聞いたことのない音が身体の内側から響いた。

「……え?」

 見ると、キースの胸にはこん棒が深々と刺さっていた。

「ほら、こうして死体になった方がよっぽど綺麗だ……」

 ドサッと力のない音をして、キースは倒れる。そのまま、キースの世界は暗転した。永遠に――。


〈GAMEOVER〉

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