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 手頃そうなものといったら、スタンガンだろうか。よく分からないまま キースはそれを手にすると、倒れてきた盾を奪ってそれで看守を払いのけ、体制を崩した輩に押し当ててみた。

 一瞬看守が面白いほどに跳ねて、動かなくなる。とても簡単な作業だった。

 その時、こちらへ飛び込んできた看守が目に入り、慌ててキースはまたそれを突き立てた。跳ねて、動かなくなる。

 また来る、当てる、跳ねる、動かなくなる。

 工場でベルトコンベアに流れてくるものを加工していくように、キースは手際よく看守を動かない物体へと仕上げていった。

 来る、当てる、跳ねる、動かなくなる。

 また来る、当てる、跳ねる、動かなくなる。

 またまた来る、当てる、跳ねる――。

「……はははっ」

 単純作業がどんどんパターン化されていくにつれ、手際は早くなる一方だ。それがキースの中で何かを加速させていた。

「ははっ、あはは!あははははははははっ!」

 何が愉快なのか、本人にもよく分からないままキースは笑った。息が吸えなくなるほど笑って、また当てて、跳ねて、倒れる。来て、笑って、跳ねて、倒れて――。

「あはははははっ!ひゃはっ!はははは――」

 しかし笑い声は、発砲音一つですぐ止んだ。

 キースはよろめきながら、傷口を抑えることもなく緩み切った口角をへらりと吊り上げた。

 肩からダクダクと溢れる血を眺めながら、ゆっくりとスタンガンを自分の首にあけた。

 ボタン一つで、キースの視界はあっけなく暗転した。

 

 〈GAMEOVER〉

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