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 冷たかった。

 気温がとか、空気だとかそういう意味ではない。

 二人分の体温がいきなり消えたせいで、冷たかったのだ。

 ハイヒールが鮮血に浸るのも気にせず、看守は彼の近くによるとその顔を覗き込んだ。

 苦痛に歪むことも、狂気に笑わせることもなく、ただ不思議そうな顔をしてこちらを見ている目が二つ。看守はそれをそっと閉ざしてやると、ため息をつきながら彼の手の中のカードを拾い上げた。

 出口に繋がっているカードキーは、半分以上が赤く染まってしまっていた。

 もし研究室の方のカードキーを引いたら、拳銃はしまうつもりだった、だが不幸にもキースはこっちのカードを選んでしまった。

 躊躇なく、引き金は引いたつもりだった。だが、一発で仕留めることが出来ずに二発も彼の身体に弾を撃ち込んでしまった。

 詫びの言葉を入れようにももうキースは目を覚まさない。

 看守はゆるゆると首を振ると、無理にでも彼らに背を向けた。

 カツカツと鳴る彼女の足音が、いつまでも通路に響いていた。


〈GAMEOVER〉 


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