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※キーワード「v」を手に入れました。
「君の名前は?」
実際、青年の名前を聞かなかったことを後悔していたキースは、今度はまず一番にそのことを尋ねた。
「俺? ロイ」
「そうか。俺はキース」
「ちゃんと自分の名前を言うなんて珍しいな。新入りか?」
「新入り?」
先ほども青年に聞かれた。だが、聞き返す前に彼が壊れてしまったために中身をまだ知れていなかった。
思わず辺りに目を配る。廊下の幅や色は、シャッターの手前とさして変わりはない。だが、ロイの背後に構えている奥向こうは、青年を追いかけていた時よりも暗く淀んでいた。
「……あのさ、新入りってどういうことだ?」
恐る恐る、自分のことを聞いてみる。
「ここのだよ。ここ、もう外に出るなって言われた奴らが住んでるところなんだ。もう帰れない奴ら。お前もそうなんだろ?」
「もう帰れない? いや、まさか……」
既に奇妙な空間ではあったが、ぎゅるりとそこに自身も巻き込まれる気味悪さがキースを襲った。
あの時、外に出ようと思えば出られた。好奇心に邪魔されなければ――。
「まあいっか。どうせ次にシャッターが開くまで時間かかるぞ。案内してやる!」
「え? ちょっと待って!」
「何だよ」
「開かないのか? コレ」
キースが指さす先では、重々しく影を落としたシャッターがでんと構えている。
「一度閉まると、シャッターの向こう側に取り残された奴は毒ガスで潰しちゃうんだ。管理員は避難路を知ってるから平気だけど、そうじゃない奴は大抵ここの脱走者だからな。容赦ないよなー。だから、毒ガス撒いた後は換気が終わるまで開かないよ」
「っ!」
人を殺める行為を、「今日何曜日だっけ?」くらいの気軽さで平然と語るロイに、キースは目を見張った。
「本当なのか……? それ」
「うん!」
眩しいくらい無邪気に答えるロイに、キースは弱弱しく笑うしかなかった。
「とんでもないところに来てしまったみたいだな……」
「まあまあ、どうせ暇だろ? 皆案外良い奴だから紹介する! なあ、誰が良い? 誰が良い?!」
ピョンピョンと飛び跳ねながら、口を叩いてアオアオアオと奇声を発するロイを傍目にキースは深くため息をついた。
「じゃあ、少し聞き込みに協力してもらえないか?」
▼誰二聞ク?
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