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※キーワード「r」を手に入れました。
「ありがとう。お礼が言いたくて」
すると、リオンの肩がピクリと動いた。
「へぇ。止めないんだ」
今度は笑って答えてくれた。
「本当はついて来て欲しいけど……でもそれはリオンの邪魔をすることになる。だから、止めておく」
「なるほどね」
リオンはキースの元に駆け寄ると、また手に何かを握らせた。
「そこまで分かってくれてるんなら、それもあげるよ」
新しいカードキーだった。
「……ここから左に行ったところのカードキーだよ。君の探してる人は多分そこにいる」
ハッとして顔をあげると、リオンはもう背を向けていた。
「ありがとう!」
小さくなっていく後ろ姿に、キースはまた言葉を投げた。
その更に後ろ、死角に潜んでこちらを覗く影があった。
「はい……現在も尚、あ、はい。了解しました……応援部隊と合流するまで待機します」
無線に連絡を流し込みながら、その目は二人から離れることはない。
無線を切ると、それは――看守は、心の中で舌打ちした。
捕らえるべき相手は今、目の前で呑気にストーブに当たっている。それが看守の中でどんどんもどかしさとして膨らんでいった。
仕事なのだ。だから上司の命令は絶対だ。
本来患者を始末する際に戸惑う看守に向かって、いつも口癖のように浴びせられた言葉だった。だが今は、始末の指示を待てずに飛び出してしまう看守への、牽制の言葉になっていた。
しかし、今この場にいるのは看守一人だ。いつものように説教をする上司もいなければ、止めてくれる同僚もいない。
看守の欲望はどんどん暴走していく。
狂ってる人間なんざ、人間と呼ぶのも本当の人間に対して失礼だ。だからこそ、彼らを拘束することは義務であると同時に人間に敬意を払うという礼儀でもある。
それもまた上司に散々聞かされた説教だ。それが看守の仕事に快楽を見出してしまった。
時間に縛られ、人に虐げられ、特に自分の意思もなく駆けずり回る日々。その中で自由に人間じゃないからこその扱いができるこの仕事は、看守にとって数少ない楽しみとなっていた。
患者を牢屋に押しこみ、地下の状況を知ってしまった彼を始末する。最終的な目的を今この場で果たしてしまうことができないのはどうしてなのか、看守は答える相手のいない疑問をひたすら自分の中で消化していた。
仕事なのだ。だから上司の命令は絶対だ。
でも……でも!
揺らぐ看守の忍耐力は、もう限界に達していた。
▼ドウスル?
・飛び出してキースを始末する →8へ
・上司に再度連絡を入れる →20へ
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