第七幕:Aの独白
――あのね、セト。わたし、ずっと、あなたのことをみていたんだよ。小さいころから、ずっと誰かの記憶をたぐるように、夢の中であなたの姿を追いかけていた。
ひとりぼっちだった“わたし”に、初めて声をかけてくれたのは、セトだった。お腹が空いていたときに、パンをくれたのも、セトだった。“ユミル”と“ユリア”――その二つの名前を、セトが“わたし”にくれたときは、本当にうれしかったんだよ。
でも、ごめんなさい。わたし、セトにひとつだけ嘘をついてた。
お母さんのお墓の前で、わたしは自分に名前がないって言ったけど、本当はわたしにもちゃんとした名前があるんだ。それは、わたしが“はじめて”ガーディアンを召喚したときに、お母さんがつけてくれた名前――ずっと嫌いで、認めたくなかった名前――それは、お母さんたちを消していった存在と同じ名前だった。
ユリア・アカシック・セブンフィールズ。それが、わたしの本当の名前。わたしが、大嫌いだった名前。
――でもね、今はこの名前も、嫌いじゃないの。だって、わたしは、
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