お仕事(謀略)
side黒ウサギ
「お兄様の凄さですか?」
「ええ、アレは実力者なんですってね?」
飛鳥さんがそんな質問をしてきたのは皆様をコミュニティの本拠に案内して、久しぶりのお風呂でのひと時でした。
「はい。箱庭でも結構な実力者なんですよ?」
「そうなの?あまりそう見えなかったけど」
「悪ぶってるだけに見える」
「あ、確かにそうね」
「飛鳥さんも耀さんも信じてませんね!?お兄様はすごいんですよ!」
「本当かしら?」
お兄様が誤解されたままじゃいけません!
「わかりました!ならばお兄様の魅力を全力で語りますよ!」
「いや、そろそろあがりたいのだけど」
「(スッ―――)」
「お二方逃がしませんよ?」
「(もしかして地雷踏んだのかしら?)」
「(飛鳥のせい)」
お兄様の魅力を語る会は外からの轟音で中断されるまで語り続けました。
☆ ★ ☆
sideゲント
「これが証拠だ」
「本当に潰してくるなんてね。おい。約束の金を持って来い」
「少々お待ちください」
「ゆっくり待ちますよ」
俺は今ペルセウスとかいうギリシャ神話系のコミュニティに来ていた。
ルイオスとか呼ばれる頭首に依頼――とあるコミュニティを潰す――の完遂報告と言った所である。
あ、この茶菓子美味しい。
「コミュニティ一つ潰したにしては料金が安くないか?僕はかまわないけど」
「町の外に国規模のコミュニティを創ったからか最近調子に乗っていろんなとこに迷惑かけてたんですよ。薄利多売みたいな感じでいろんな所から少額で結構な依頼が取れたんで、総合すれば結構な黒字になるんで。ま、
主に特定の恩恵持ちを探してたりする組織や売り込みたい奴との縁を繋いで紹介料を取るのが、基本的なうちのコミュニティの収入源だが、突発的なゲームや調子に乗り過ぎたコミュニティを大事にならないうちに処理するのも大事な収入源だ。
「正直助かったよ。国規模のコミュニティ程度潰すのはわけないけど、恫喝気味に要求してくるし、潰しに行っても採算合わないだろうし本当に面倒臭い相手だったんだよねえ」
「それをわかっててやってた連中ですからね」
空間移動系がいないとこばかりにそれやってましたんで確信犯だろうし。
「中心に居た連中は丸ごと潰したんで今頃
あそこら辺には森の動物の支配者として自身の所有権を奪い合う
「はん!いい気味だ!」
僕に逆らうものは滅べばいいとか言って高笑いする様からはバカの印象が薄れない。親の七光で頭首になったという噂はほぼ正解みたいだ。あるいは――
「うん?なんだ僕の顔になにかついてるのか?」
「いえ。その首に付けているギフトが気になりまして」
箱庭の三大問題児の一角――アルゴールという白夜叉と肩を並べる称号を持つ星霊――なんぞ力量的には使いこなせないだろうが、権能の一部でも4桁で敵うものは者はほぼいないだろう。あれは余程の例外的な
使い手はバカだが敵に回したくない奴に
先代は理知的だったのになんでこんなバカに後を継がせたのだろうか?鷹が鳶を生んだのだろうなあ。
「へー。これが気になるかい?やっぱり見る目があるね!どうだい?今度うち主催のギフトゲームをするんだけど参加してみたらどうだい?」
「それは構いませんがよろしいので?景品の
「・・・・・・それには緘口令を出しているんだがな?」
「急にギフトゲームを中止にする理由はそれぐらいしかないと思いますけどね?」
「ま、すぐに連れ戻せるから気にしないでいい。
「そうですか」
景品の吸血鬼――レティシアは仲間思いの吸血鬼だったし、今頃
そこのバカも白夜叉が手引きしたことぐらいは掴んでるみたいだし、ノーネームが潰れるくらいのことにはなるだろうが。まあ、ノーネームからの復活なんて夢を掲げる
「では、ゲームには腕利きを派遣しますよ。箱庭の騎士がいれば箔がつきますしね」
効率良く妹と子供達を自分のコミュニティに組み込むかのプランを立てつつ、グダグダとお茶を楽しむ。
「こっちも大盤振る舞いしたんだ。儲けるさ」
読めないのは
「楽しみにしときます」
どっちが勝ってもいいように準備しとかないとな。
どっちが勝っても大きく動き始めるだろうし。良くも悪くも。
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