心配なんかしてないぞ?してないからな!?
sideゲント
ある日、ちょっとした用事をこなした後の帰り道でいきなり襲い掛かられたと思ったら、東側の7桁の外門にあるサウンドアイズの支店に拉致されていた。
「お主が
「俺も用事がなきゃこっちには来ねえよ。帰りにてめえに拉致されなきゃここに来ることもなかったわ」
「そう言うな。居場所のつかめんお前を偶然見つけたら捕獲するに決まってるだろう」
そんな決まりねえよ。
そう悪態をつきたいのを我慢して、取り出した煙管を咥えて紫煙を燻らせる。この部屋の主・白夜叉はそれを見てムッとしたようだがとやかく言う気はない様だ。だが煙草の匂いが私室に残るのは嫌なのか空気を綺麗にする木の苗を出し、部屋の片隅に置く。
チッ。嫌がらせにも的確に対応しやがる。腹が立つのでそのまま会話を続ける。
「で、俺をなんで捕まえたんだ?嫌がらせか?」
「そんなわけなかろう。それにそれはお主の趣味だろうに」
「お前俺のことなんだと思ってんだ?」
それも趣味の一つではあるが。
「悪ガキだの」
「おい」
まだ俺のことそんな風に見てやがんのか。もっとも自分でもあんまり成長したとか変わったとは思ってないから間違いでもないかもしれんが。
「いや、目撃情報は腐るほどある癖に
「追いかけて来たら逃げたくなるじゃん?」
「いや、返り討ちにしに行くじゃろ」
「それは場合による」
「ふむ?そうかの?」
最強の
「いや、そんなことはどうでもよい」
「そだな。んじゃ俺帰るわ」
「待てい」
帰ろうとしたら止められた。めんどくせえなといいつつ座り直す。
「遠回しに言うのも時間の無駄だしの。単刀直入に言う」
「前置き長い」
「うっさいわ。―――ゴホン。ゲントよ。変な意地張らずにそろそろ黒ウサギのいるノーネームを助けてやってくれんかの?」
「一応聞こう。なんでだ?」
「お主のようなシスコンが月の兎が滅んだとはいえ、他のコミュニティに妹を預けるとは考えにくい。あのコミュニティを信用していたとしても滅んだ今、お主がなにもしないのはおかしいじゃろ」
「・・・・・・」
なにかと思ったらそんな事か。確かに昔の俺らしくないことだな。仏門経由で俺のことを聞いてたら絶対にんなことは言わないだろう。上層の修羅神仏からハブられてるという話は本当臭いな。
「なんか勘違いしてるっぽいからいくつか訂正しよう。一つ、まず俺はあのコミュニティ――――というより彼らを信用してたから任せたんだ。兄離れ出来なくなったらそれはそれで問題だしな。二つ、ぶっちぎりで若輩とはいえ月の兎の生き残りなんだ生きていける程度の仕事はあるだろ。
「お主らしくないの。以前のお主だったらそんなことを関係なしに自分の近くに置いて守ろうとすると思ったのだが、お主も
「BBAおちょくってんのか?」
「む!?わしはまだまだ現役じゃぞ?」
あれから200年近く経ってんだ良くも悪くも成長するわ。ていうかそれBBAの否定になってないし。
「お主なりの考えがあるのならよいのじゃ。実はノーネームが一か八かの大博打に出ての」
「博打?旗印もねえ
「うむ。ノーネームが稼いだ生活費を削って貯めた金で、外界から三人召喚したのだが」
「ちょい待て?
ノーネームが一か八かの博打で三人も召喚できるか?
一人召喚するにしても費用が相当するのにノーネームが用意できるのか?
「そうじゃがどうしたのかの?」
「・・・・・・何でもねえよ」
なんでこいつ疑問に――――そういやこいつ大金動かす側だったな。ノーネームに用意できるはずのない金額だとしても金銭感覚マヒしてて疑問にも思わなかったんだろうな。
「召喚される人物はぶっちゃっけどんな人物かわからんじゃろ?」
「ランダムらしいからわかるわけねえな。求める人材じゃ無いことなんてザラらしいし」
そんなこと狙って召喚とかできるのは女王くらいだろうし。もしかしたらマイシスターは召喚された自分勝手な連中に虐められてるかもな。
――――その頃の黒ウサギ――――
「な、なんであの短時間に“フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!!」「準備している時間もお金もありません!!」「一体どういう心算があってのことですか!?」「聞いているのですか三人とも!!」
「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」
「黙らっしゃい!!」
――――終了――――
「仮に黒ウサギがそれが原因で死ぬ破目になっても俺には関係ないね。戦力が残ってるうちに新たな旗でも立ててコミュニティを作らないのが悪い。変な意地張ってノーネームを続けた自業自得だ」
「腕震えておるぞ?」
「気のせいだ」
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