不機嫌な日常
sideサイ
仏門のトップと謁見してから頭首殿の機嫌がすこぶる悪い。最近はどこからか閉心術という心を読むのをふせぐ術をどこかの魔法使いから学んだらしく、考えていることが読めずに中々楽しいことになってる。
変に気を使わなくてよくなるし、頭首殿のやることなすこと無茶苦茶なために予想が出来なくて楽しいものであるが、こういう時は不便だなと素直に思う。
「で、何やらかしたんですかい?仏門から抗議の手紙来てますけど?」
「向こうが約束反故にするのが悪い」
「約束でっか?」
はて?頭首殿の古巣とも近いから仏門とは取引はそこそこにして、
「ああ、護法十二天の連中を引っ張りだせること確定したら横槍入れてきやがった」
「いやいや!?なんで護法十二天を引っ張りだそうと!?流石に仏門が後見としているあいつらを味方につけるのは難しいですよ!?」
下手に仏門と切り離そうとしたら潰されかねないし、箱庭最大の治安維持機関を敵に回すのは不味い。箱庭の4割が敵に周りかねない。そんなことになったら間違いなく詰む。
「勘違いするなよ?妹の誕生日に特別参加を飛び入りするように頼んでただけだ」
「あんた護法十二天をなんだと思ってるん?」
「
そう言えば一回、うちのコミュニティの金を堂々とタカられて、その件で頭首殿がカチコミにいって護法十二天と共にフルボッコにしたと言ってたな。あんときはいろいろ大変だった。
「まさかと思いますが護法十二天全員を妹さんの誕生日の為に引っ張りだそうと?」
「そのつもりだったんだがな。失敗した」
当然やろ。
それは仏門側が横槍入れて当然だわ。一人二人ならともかく全員が一時的にでもいなくなったら箱庭のパワーバランスが一気に崩れかねない大問題だ。そんなもん良くも悪くも認められるわけがない。
「5人しか引っぱり出せなかったんだが・・・・・・」
「は?5人?」
「ああ、確約したのが帝釈天・日天・地天・梵天・伊舎那天だ」
「妹さんの誕生日を祝いに行くんだよね?世界滅ぼしに行くんじゃないんだよね?」
「当然だろ。なんで世界滅ぼすとかめんどくせえ事しないといけないんだよ」
その面子はどう考えても最終決戦にでも出てくるような連中なんですが?いや、どちらかといえば温厚な気質の連中でよかったとも言えるのか?
「どうやってそんな面子を引っ張ってきたんで?」
「単純に今まで作ってきたカリを返せと要請しただけだ。仏門その他への根回しも完璧だったんだがな!土壇場で仏門の横槍のせいで帝釈天一人だけになっちまったよ!」
「それはそれで大戦果のような?」
月の兎は帝釈天を主神と崇めてるから結果的には良かったんじゃないだろうか?
絶対に飛び入りでも絶対に喜ばれるだろうし。
「○陀の鶴の一声のおかげで今まで根回しに使った金の99%が無駄になっちまった!小遣いほとんどつぎ込んだのに!」
「不機嫌の理由そこかい」
というかどれぐらいの小遣い持ってたのか知らんが3桁レベルの修羅神仏相手に根回しに使った金って国規模のコミュニティがいくつ買えるのだろうか?考えたくねえな。
「しかも誕生日がすぐそこだから精神的にダメージがデカい。なんとか帝釈天は借金のカタがデカいんで残せたんだがな」
「そう言えば頭首殿の小遣いで借金肩代わりしてたんでしたっけ?いくらです?」
「サウザンドアイズの金貨19万ほど」
「国規模のコミュニティの予算やないですかい。そんなに私服肥やしてたんですか」
「金なんぞ増やそうと思えばどんどん増やせる」
なんでこの人は月の兎のコミュニティで引き止められなかったのだろうか?どう考えても恩恵特化の妹さんよりも重要だと思うが。
一人でなんで世界規模の金貯めこんでるんだよ。どこにため込んでたんだ?
「まあ、それはいいんだ」
「いいんですか」
「問題は嫌がらせなのか妹の誕生日を指定して呼び出しかけてきたことだ!」
「あー」
妹ラブな頭首殿に取ってそれは不機嫌に入るわ。即座にカチコミに行ったり仏門への金融的な攻撃仕掛けないだけ大人になったものだ。
「つーわけで、仏門に殴りこみに行った時の苦情がさっきお前が持って来たそれだ」
「あれ呼び出しされた先で無礼を果たしたわけじゃなかったんか!?」
「ああ、理由知った上で堂々と邪魔されたんだ殴り込みに行くわ」
「勝手に突っ走るの止めてくれません?うちのコミュニティははみ出しもんの集まりなんですよ?」
「
まあ、ここがなくなっても全員好き勝手に生き延びるのは目に見えてるが。目をつけられるのは面倒なもんであるし。
「それでどうするんですかい?」
「どうもしねえよ。大体の話し合いは終わってんだ。呼び出しも反故にはさせれんかったし顔出して速攻で月の都に向かえばメインが始まる前には着く」
「そうでっか」
それはそうとして、別の商談もあるしそろそろ移動するか。
「ほな。あんまりはしゃぎ過ぎて迷惑掛けんでくださいね?」
「てめえは親か」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます