彼の日常
sideサイ
ここのコミュニティに入って割と月日が経ち、そろそろ入会金のサウザンドアイズの金貨10枚も払い終えるかという頃。
仕事の為にボスの部屋に行ったところでそれを見た。
「お兄様~」
「今日は一段と甘えん坊だなリトルシスターというか。なんでここに?」
・・・・・・うわぁ。
そこら中に甘い空気を振り撒いて何やってんねんこの兄妹?
ボスはあれから10歳の見た目から14歳くらいまで育って、8歳くらいの妹さんと抱き合ってる姿はなにか道徳的にOUTっぽい気がする。
「私は気づいたんです!お兄様が月一でしか会いに来てくれないなら毎日お兄様の所へ伺えばいいって!」
「全然納得は出来ないけど、ちゃんと夕飯までには帰るんだよ?」
「はいです!」
兄の方は妹に対しての愛情と屈折した欲望で妹の方は純粋な兄弟愛と肉親に抱いちゃいけない類の感情を抱いているのを自覚してないっぽいな。
上っ面ならただの仲のいい兄妹って感じだけど、中身を見ると相当ドロドロしてるがな。それ見て蛇のお嬢ちゃんが嫉妬すればいいのか羨ましいのかわからんような顔してるねぇ。本当に面倒臭いなこの職場。
「お兄様の匂いがします~」
「え?俺匂うん?ちゃんと洗ってんだけどな?」
なんやろあのフラグ満載のやり取り?あいつらほっといたら一線越えるんじゃないのか?
面白そうだろうけど放置しとくのは不味いか。
「あ~、ボス。商談を完了したんで印お願いできます?」
「ん?あ~わりい。仕事溜まってたか」
「あ、こっちもお願いします」
「リリィもか。ほれこっちに持って来い」
さっさと終わらせてくれよ。本当に。
sideゲント
「報告は以上か」
「はいな」
「マイシスターを帰してよかったな」
「そうですなあ。週一ペースで刺客を送り込まれてると知ったら絶対面倒なことになりますわ」
よほど俺達のというか俺の存在が邪魔な組織がいるらしい。二重三重に仲介人を挟んでるからどこが敵対してるのかがよくわからない。
「まったく俺のどこが気に入らないんだか」
「そりゃあ、あんだけ商業ゲーム荒らしたり、新たな経済圏を作って勢力拡大を目指してた組織の邪魔とかしまくってたら恨まれますわ」
「その程度利用できない方が悪い。つーか、商業ゲームに関しては参加するように頼まれたのが大半だぞ?」
「え?初耳なんやけど?」
「言ってないからな。大赤字になりそうだから軽減するために参加してくれってな。荒らしに荒らして最終的には少し黒字になったらしいから感謝されたな」
大手同士の争いで負けそうだから荒らしてほしいという依頼は結構ある。やってることは大手の独壇場にならないように(ゲーム内の)大手の縄張りを合法的に荒らして大手以外に勝ち目を残すためのマネーゲームへの参加である。ちなみにこっそりと大手からも依頼があったりする。大手も独り勝ちを避けたい場合が多々あるのだ。信用が絡んだり組みたい相手がいたりとね。
「へえ。てっきり嫌がらせ兼楽しむために参加してるのかと思ってましたわ」
「たまにそれが理由で参加してるぞ?」
「・・・・・・」
「話を戻すが」
「あ、はい」
なにを大人って汚いって言ってるんだ肉体年齢的にはまだ子供だぞ俺?
「先週襲ってきたこいつは明らかに毛色が違う」
「こいつはたしか疫病の魔王でしたか」
「木っ端魔王が出てきた風に見えるが明らかに、こいつの狙いは外門にいた階層支配者を襲うように見せかけて、こっちを狙うことを主軸にしてた節がある」
「鬼姫の連中が協力してくれなかったら大変でしたなあ」
「協力してくれたのは奇跡に等しいがな。さあさあ楽しくなってきたなあ」
味方は少なく周りは敵だらけかもしれないとか最悪に等しい。天相手にちょっかい出し過ぎたかな?
「ま。いつかわかるさ」
そこで俺は立ち上がって外に向かう。
「どこに向かうんですか?」
「再来年にはリトルシスターの儀式だからねえ。今のうちから送るものを考えとかないと。月の都の連中の度肝を抜かないとなあ」
「気が早くないか?」
「ばかやろう!リトルシスターの大事な日だぞ!毎年一年かけてプレゼント厳選してんだ!次の次は重要性の高い儀式だから多く手間をかけるだけだ!」
「シスコンもここまでくると清々しいな」
そんなに褒めるな照れる///
「褒めてない褒めてない」
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