後日談という名の考察
Sideゲント
あれから半月が経った。
今、俺はコミュニティーの地下牢で紛糾している会議の結果を待っている。
俺が魔王になった結果、ゲームクリア時には人間に降格していた。ついでに全身火傷で死にかけた。
当然、その事は単民族コミュニティーである月の兎としては大問題らしく、追い出す派、残留派、処刑派まで出てくる混乱具合である。真面目にどうでもいいが、俺を目障りに思ってた派閥が嬉々として責め立てているのだろう。なぜかマイシスターがそれを断固拒否してるらしく会議は踊りされど進まずって感じらしい。バカばっかなのだろうか?
俺なら追放しか選択肢はないと思うが、俺がいなくなったらコミュニティー有利の外交が出来なくなると危惧してるアホな派閥もいるらしい(大人の癖に子供に頼るなよ)。実際に俺の魔王化でまとまりかけてた交渉は全部ご破産、ついでにまとまった交渉も見直しと称して無限延期状態なのもいくつかある。
あのギフトゲームの話をしよう。
あれは嫉妬の大罪のゲームの大幅改変(負の感情で化け物になる話とか誰からも忘れられるという話を混ぜ込んだ)した俺への警告だろうなと推測している。
本来のゲームは参加者が互いに嫉妬を抱いて同士討ちを誘発させる趣味の悪い魔王が遊びに使ってたゲームだったはずである。
だが、その魔王は倒されそのゲームを創ったのはその魔王ではなく遊戯屋を名乗る謎の詩人であることはわかっているが行方も身元も不明である。
今回のギフトゲームにも関わっていると睨んでいるが結局はなにもわからずじまいである。
ただその詩人はかなり実力も思考もヤバイ類いの人物てあることは確実だ。
まず多少嫉妬をしていたとはいえ、魔王になるほどのものではなかった。だが、資格は足りない主催者権限も持たない俺が魔王となった理由は
(自分で発動して何らかの方法で俺に押し付けたな)
過去に吸血鬼のギフトゲームを強制的に分離したことがあるということをどっかのコミュニティーの秘密文書で読んだ記憶がある。
ならば、発動したギフトゲームを切り離して他人が使えるようにすることが出来るのではないだろうか?
だとすれば俺は嵌められたことになる。
あの時の俺は近くで強制的な主催者権限の開催の気配を感じて、少し離れた所にいたリトルシスターに避難するように言おうと思い、妹を見たときに多少抑えていた負の感情が暴発し、咄嗟に妹の視界に入らない所に逃げた所で俺の記憶は断絶してる。
話を聞く限り、そこから十数分後にゲームが始まったことになっているため俺の推測は大体当てはまるんじゃないだろうか?
推論は出せても真実は闇の中である。
あの時にリトルシスターを助けたのは誰かまでは俺はわからない。だが、うまく保険が効いたのだと思う。そうでないとあの都合のいい行動は理解できない。
犯罪コミュニティーの壊滅させる際、ある程度使えそうな奴をギフトゲームなどで俺ら兄妹に有利になるように立ち回れというのを取引としてギフトゲームで絶対遵守させて、逃がした悪党が一定数いる。ついでにいえば俺の為に動けるような奴も一定数いたから俺を消すような動きが本格化する十数年前からコツコツ仕込んでいた甲斐があったというものである。
(今回は偶然そいつがいなかったらマジで詰んでたな)
妹を守り、ゲームクリアに妹が必要だと睨んで俺の元に向かうように誘導した。こいつの慧眼には称賛が止められないレベルである。絶対本人の前ではやらないが。
聞いた特徴だとなんでそこにいたのかは知らないが南側外門で叩き潰した密漁団にそんなのがいた気がする。そいつは札付きらしく今は逃亡中らしい。
最後にあの時の状況について書こうか
妹は無意識だろうが俺の事を信じて、命をかけた。
俺が暴走してた時に妹に向けて撃たれた矢から(犯人曰く手に入れられないなら殺してしまえだそうだ)妹を守るために咆哮をはなった。それで俺の感情は守る方向性に向き結果嫉妬の感情が薄れた。
よってゲームのクリア条件
『燃える獣の正体を暴く』 ・・・・・・妹が感覚だけで正体を察知し魔王の前で答え合わせ
『開始より二四時間の経過』 ・・・・・・これは時間経過でなるから割と関係ない
『燃える獣の死』 ・・・・・・嫉妬の感情を元に生み出された獣のため条件が失われたから消え去った。つまり死んだ。
以上によりギフトゲームの完全クリアを妹は成し遂げたのである。半分以上運と偶然に助けられただけで分の悪い賭けだと俺は思う。少なくとも俺じゃそんな賭けは出来ない。そこまで俺自身を信じられないから。
「でもあいつは当たり前のように俺を信じたんだよなあ」
ギフトゲームの完全クリアでリトルシスターに隷属状態になるはずだったが、妹は当たり前のように『お兄様は家族です!』とこれを破棄。会議が紛糾する理由の一端でもある。
「器量で負けてるなあ兄なのに」
でも、今回の一件であいつへの負の感情がほぼ消えた。
泣きじゃくりながら無事を嬉しがるリトルシスターを見て、なんか吹っ切れた。誇れる兄になろうってな。
ガキっぽい?いいじゃん俺はまだ子供なんだからな。
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