マスターシーン ~戦闘
欠けた最後の七不思議 ~その脅威
「あら。やりあうつもりなのねわたし。いいわ、相手してあげる」
余裕を含んだ笑み。詩織に似た姿を取っていた
「ちがうー。わたしそんなに髪の毛ボサボサじゃないよー!」
「残念すけど、瓜二つっすよアマテラっ子。見事な変身術っすね」
自身を模した怪物に異論を挟む明日香。首を振ってその異論を否定する琴美。だが瞳は油断なく敵を見ていた。
「ええ。しかも与えた傷の一部をこちらに『写す』ことができるみたい」
「流石鏡の怪物ね。しかも七不思議の一部を使役しているわ。『プールから現れる白い手』『赤マントの怪人』『瞳が光るベートーベンの絵』……」
詩織と燕が冷静に相手の能力を見やる。相手の姿を映す鏡の怪物、ドッペルゲンガー。それは
故に、敵の
「『白い手』に掴まれたら、
偵察の口火を切ったのは燕だ。手帳を取り出し、トトに問いかける。親神と彼女の知性の高さは自他ともに認めるところがある。それゆえの一番手。最も危険性が高いと思われる
「八咫烏、いっけー! ……げ、あいつに切られるとビビりそう……!」
そして明日香が八咫烏に命じて『赤マント』の能力を探る。血を求める殺戮の怪人。そのマントの赤は血の赤。その剣は
「アテナ様、御加護を……!」
詩織が『瞳が光るベートーベンの絵』を調べる。芸術を司るアテナの恩恵を受け、その絵が持つ呪いを知る。その瞳と流れる音楽。それを聞いた人間全ては激しく動揺し、
「
燕が何かを恨むように拳を握る。バランス考えろ、とぶつぶつと呟いていた。
「まー、怪物に慈悲なんてないっすから」
琴美がそんな燕の肩を叩く。言葉の意味は当然理解していないが、もう燕の言動には慣れたとばかりに。
「愚痴ってる暇はないわ。行くわよ!」
「あらほらさっさー」
詩織の号令と共に明日香が手をあげて動き出す。それぞれが思いのままに動き出し――
「やほー、生徒会長よろしく!」
「ええ、って諏訪さんもこっちに来たの!?」
『プールから現れる白い手』の前には詩織と明日香が。
「やふー、赤マントさん。よろしくっす」
『赤マントの怪人』の前には琴美が。
「戦闘は苦手だから、サポートに回らせてもらうわ」
戦闘圏内から離れた
(拙いわね。『ベートーベン』を押さえる相手がいない。あの光と音楽は誰かが押さえると思っていたのに)
相談する時間がない四人の神子は、皆同じ思いを抱いていた。即興のチームであるが故の弱点だが、相談する余裕がない以上は仕方のないことだ。
だが、悔いている余裕はない。今できる最善をこなすのみ。神子達は気を取り直して七不思議に挑む。
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