リリーとショッピング~荷物持ちは男の仕事~。
ケータイを見るとリリーからメッセージが届いていた。
内容は『今、辰真の家の玄関前に居ます』…?
そこまで来てるならピンポンしろ…。
そもそも俺の家の場所をどう知ったんだ?
そんなことより家を出るか。
俺は玄関をでてリリー(私服)を見た。
カワイイ。
「目の保養だ…」
「あんた、なに言ってるの? そんなことより早く行くわよ!」
そういうとリリーは先に歩きはじめた。
「最初はどこに行くんだ?」
「とりあえず食材ね。今まで家にいることが少なかったからちょっと買っておかないとなにもないのよ。そのあとは洋服を見に行ってそれから本屋へ行って…」
「わかった。とりあえず食材だな」
リリーと俺は近くにあるスーパーに入った。
そこでリリーの作ってきたお弁当を思い出した。
おいしかったので料理は得意なのか。
「とりあえず一週間分ね」
野菜、肉、魚介。
次々とカゴに入っていく。
「意外と量あるな」
「そうね。食材を買い終えたら一度リリーの家まで行って荷物を置きましょ。それから洋服ね。アイスも買っておこっと♪」
家? リリーの?
ここから近いのか?
まずい、急に緊張してきた…。
今思うと女の子とこうして歩くことが初めてな気がする。
って俺はなに意識してるんだ!
ただの買いものの付き合いだ。
冷静に冷静に…。
「なにボーっとしてるの? 早く行くわよ」
リリーは会計の場所へと向かって行った。
支払いが終わり、買った物を袋へと入れる。
一人分の一週間分だから重くはない。
「リリーの家ここから10分くらいだからそこまでよろしくね」
「おう」
この10分なにを話したらいいんだ?
普段は普通に話しているのにこういうときになるとわからなくなる。
苦し紛れにでた言葉は最悪なものだった。
「リリーって彼氏とかいないの?」
やっちまった。
これじゃあまるで俺がリリーのことを気にしてるみたいじゃないか…!
「…え? 別に、いないわよ?」
ホッ…。
・・・なに安心してんだ俺。
「そういえば洋服だけどショッピングモールに行くわよ。歩いて30分、バスで10分だけど…バスでいいわね」
「ウイッス」
「ついでにリリーの家ここね」
そういうと小さなアパートに着いた。
階段で2階へと上がる。
なるほど、2階の一番奥の部屋か。
リリーが鍵をあけ家に入る。
「どうぞ入って」
そう言われ俺は家に入る。
・・・女の子の部屋。
すごいいい匂いだしキレイだな。
「リリーが買ってきたものしまうからその間適当に座ってアイスでも食べてて」
リリーがさっき買ったであろうアイス(ソーダ味)を渡してきたのでそれを受け取りイスに座る。
「部屋キレイだな」
「そう? まぁほとんど家にはいないからね。汚いほうがおかしいかも?」
俺の部屋も汚くはないがもうちょっと物がある気がする。
リリーの部屋には日常生活では困らない最低限の物しかないように見える。
でも机に自分の銃をそのまま置くのはやめない?
「銃はガンケースには入れないのか?」
「あーさっきメンテナンスしてたから。しまうの忘れてたわ」
かわりに俺がしまうことにした。
それを見ていたのかリリーが「ありがとう」と言ってきた。
「さて、そろそろ行きましょう。バス停、すぐそこだから」
俺達は家をでてバス停でバスに乗った。
揺られながら眠くなってくると目をこすり俺はリリーを見た。
・・・寝てる?
ほんのわずかに寝息が聞こえる。
本当に、かわいいやつだな。
俺は降りるバス停まで起きていた。
これまで休みなしだったし戦闘続きでさすがに疲れが溜まっていたのだろう。
それにしてもこれまでいろいろありすぎた。
俺も疲れてはいるが不思議とその疲れをあまり感じはしなかった。
「リリー? そろそろ降りるぞ」
「…わっ! ごめん! 寝ちゃってた…ありがと」
リリーは少し顔を赤らめてそう言った。
バスを降りてショッピングモールに入る。
当然人がたくさんいる。
「リリー、はぐれるの嫌だから手、繋がない? 今だけよ! 今だけ! ばか!」
そうですか…。
でも手なんて繋いでいるのを知り合いにでも見られたら絶対勘違いされるがリリーがいいって言うなら繋ぐことにしよう。
「洋服なんてしばらくぶりに見に来たわ!」
一軒ずつ見て回るみたいだ。
リリーに、これは似合う? だとかこんなのどう? など言われるがそれはもうとびきりかわいいです。はい。
俺の勝手な想いだが、リリーはモデルになれるのではなかろうか?
多少口が悪いところはあるがかわいいしかわいい。
おまけにかわいい。
・・・天国か?
そんなことをして早2時間弱。
「はっ…つい夢中になってたけど洋服は見に来ただけで買う予定はないの! 本屋にいくわよ!」
ショッピングモール内にある大きめの本屋にきた。
リリーは文学少女なのか。
俺は本は嫌いじゃないが読む暇がな…。
するとリリーはカゴが必要になる量の小説と漫画を持ってきた。
「これカゴによろしく! そしたらレジまでお願いっ!」
カゴいっぱいの本をレジに持って行く。
会計額…見なかったことにしよう。
「これで目的達成! ありがとうね。そろそろお昼だからなにか食べましょうか。適当にファミレスでいいわね」
重い本の袋を席の奥に置いてリリーと向い合わせになるように座った。
「今日は本当にありがとう。助かったわ。お礼に今度リリーが辰真の用事に付き合うわ! ありがたくおもいなさいっ!」
「俺も楽しかったよ。お礼? それは貸しということでいいな?」
「…そういうことでいいわ」
メニュー表に目を移す。
なに食べようかな。
ん~ピザにしよ。
リリーも決まったみたいだ。
呼び出しボタンを押す。
店員がきたので注文する。
「私はたらこスパゲッティーをお願いします」
「俺はエビマヨピザをお願いします」
注文終了。
隣りの大量の本をみて思った。
こんなにたくさんの本をいつ読むんだろう?
「なぁ、リリーはこんなにたくさん本を買ったけどいつ読んでるんだ?」
「暇なときよ」
あ、そうですか。
そうですよね。
「基本は休日ね。あとはちょっとでも読めそうなら開いてるわ」
「そうなのか」
注文したものがきた。
「それじゃあいただきます」
「いただきます」
食べるときは無言だった。
ちょくちょくリリーをみたが食べてる姿がどこかのお嬢様のようだった。
なんで軍に入ったんだろう?
食べ終えて少し話す。
「なんでリリーは軍に入ったんだ? そういえば俺達よりか先に入ったみたいだけど?」
「ちょっといろいろあってね。大津には助けてもらった身なのよ。それで詳しくは言えないけど大津の下にいることしかできなかったから入るしかなかったの」
「なるほど」
なにか事情があるのか。
それはみんな一緒か。
なんてアホな質問をしたのか。
「もう用はすんだし帰りましょうか」
重い本を持ち俺はレジに向かう。
「会計は俺がするよ」
「いいわよ。リリーが払うわ。付き合わせたのも私だし」
「いいんだ。ここは俺に払わせてくれ」
そう言って俺が会計を済ませる。
いやー楽しかったなー。
バスに乗りリリーの家に向かう。
「この休暇はいつまでなの?」
「さぁ? 大津が必要なとき呼ぶって言ってただけだから」
「そ」
それ以後特に会話はなく、バスを降りてリリーの家に着いた。
本の袋を渡す。
「今日はありがと。ほんとに助かったわ。楽しかったし」
「俺も久々に楽しかったよ。ありがとう。それじゃ俺は帰るから」
俺は歩いて家に帰った。
いい休日だった。
こんなことが続けばいいのにな。
ま、軍に入ってるから忙しくなるのが決まってるけど。
リリーからメッセージが来ていた。
『今度は映画にでもいきましょうか』
気が早いな。
俺は『そうだな。わかった』と返信した。
…まだ今日時間あるな。
俺はリリーに『まだ時間あるし今日いかないか?』と送った。
返信がきたのでメッセージボックスを開く。
『別にいいけど』
決まりだな。
映画館で会う約束をしたので映画館に向かった。
リリーを探すが見当たらない。
すると誰かが近づいてきた。
「ちょっと、なにしてるのよ? それで? どれを観ようか?」
いつもはツインのテールなのに今はポニーのテールになっていた。
「リリー、なんでツインじゃないんだ?」
「あーこれ? さっき帰ったとき髪を下ろしちゃったから。めんどうだったから一本にしただけよ」
「印象がまったく違うな。ま、かわいいけど」
「かわっ…!? ばか言ってないで早く選びなさい!」
俺達は上映中の映画一覧に目を通す。
こういうときは恋愛ものが定番だがリリーはどうだろう?
「なにか見たいのあるか?」
「そうねー…。ホラーなんてどうかしら?」
「ホラー平気な人なのか。そうしようか」
チケットを二枚買って入館する。
指定席に座り上映を待つ。
「あ、飲み物とか買ってないけど平気か?」
「大丈夫。そういうの買わない派なのよ。小さい頃はよく買ってたけどね」
そうなのか。
そういえば俺もあまり買ったことはないな。
言っちゃ悪いが映画館で販売されてるポップコーンとか値段が高い。
別に高いから買わないというわけでもない。
なんでだろうな。
時間になったのか照明が消え映画が始まる。
…どうやらゾンビもののようだ。
開幕そうそう、一人の男がゾンビにやられてしまった。
こういう映画は怖いというよりびっくりするほうが多いと思うのだが俺だけだろうか?
音が大きいのもあるが体がビクッとしたり…。
それを見られて恥ずかしくなったりしてね。
女の人がタンスに隠れた。
アンデッドをやりすごすみたいだ。
アンデッドはなにもないと思ったのかどこかに行ってしまう。
女の人がホッとした瞬間にゾンビがタンスの扉を破壊して襲う。
そのときだが隣りから振動がきた。
リリーがいるのだがビックリしたようだ。
目が合ったがちょっとムスッとしているように見えた。
わかるよ、その気持ち。
そして映画は人々がゾンビに対抗するため協力したり、よくわからないクリーチャーがでてきたりとなかなかあきさせない作りだった。
映画が終わりスクリーンから離れる。
「映画の途中ビクッとしてたけど怖かったのか?」
「んなわけないでしょ! びっくりしたのよ。あんなの卑怯だわ!」
「そっか。見終わったからこれでおひらきだな」
「そうね」
これでリリーとのデート? は終わった。
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