チャコ唯一のお祭り。

今日になるまで知らなかったのだがどうやらお祭りがあるらしい。

なんのお祭りなのかはわからないが聞いた話しだと土地神様への感謝をするお祭りだという。

このチャコでも神様がいるのか。

そして街はその準備で大賑わい。

出店や山車などもあるらしい。

本格的なお祭りのようだ。

ま、俺はいかないけど。

そこでケータイが鳴る。

メッセージが8件。

リリー、レベッカ、レム、赤城、エル、スクー、ホカ、メク。

そして内容はみんな一緒だった。

…お祭りに行こうというお誘い。

別に嫌というわけではない。

人が多いというのが嫌なだけだ。

まあ全員から誘われてしまった以上いくしかない。

俺はお祭りのしたくをする。


「遅い!」


リリーに怒られた


「すまん!」


すでにみんな揃っていた。

リリー、レベッカ、赤城は浴衣で他は私服だった。

リリーは赤い浴衣に赤いコイが描かれた浴衣。

レベッカは白い浴衣でお花が描かれた浴衣。

赤城は黄色い浴衣にお花が描かれた浴衣。

みんなかわいい。


「焼きそばに綿あめ、りんご飴にじゃがバター! ひゃー!」


そういってレベッカは早くも姿を消した。

集まった意味ないだろっ!


「祭りだっ! 祭りだっ! メクっ! いくぞぉーっ!」


「おーっ! ですわーっ!」


そして開発者組もいなくなる。

なんだこれ。


「俺はレベッカが心配だから探しにいってくるわ。スクーもこい」


「わ、わかったから…引っ張らないでー…!」


また2人消える。

残る4人。


「とりあえず4人でまわりましょうか」


「そうだな」


結局4人でまわることになったが集まった意味があったのか俺にはわからない。


「お祭りといったら焼きそばとかたこ焼き? お好み焼きもあるわね」


俺とリリーとエルはやきそば、赤城はたこ焼きを買った。

荷物になってしまうので先に食べることにした。


「辰真…たこ焼き…あーん」


たこ焼き一つくれるらしい。


「さんきゅー!」


俺は口を開ける。


「ちょっとなにしてるのよ!」


リリーはそういいながら赤城が俺にくれる予定のたこ焼きを横取りした。


「辰真にあげるの…リリーはだめ…!」


「なんであげるのよ! 辰真には焼きそばがあるでしょ?!」


「でもたこ焼きはない…」


そういってまたたこ焼きをようじで刺し、俺に向けてくる。


「やめなさいったら!」


「やめない…」


「なら私も…!」


そういってリリーは焼きそばをこちらに運んでくる。


「2人とも…」


「辰真は!」


「どっち…食べるの…!」


結局、両方食べて解決した。


「辰真殿も大変でござるな」


「ほんとにな…」


お祭りで疲れる日がくるなんて思ってもいなかった。

それにしても人多いな。

レベッカは大丈夫かな?


「辰真! 金魚すくいがあるわよ! やりましょー!」


そして4人で金魚すくいをする。


「拙者、金魚すくいは苦手でござる…」


「私…頑張る…!」


俺は苦手よりの普通かな。


まずはリリーからやったのだが手慣れていないのかすぐにやぶれてしまった。


「もうー! なんでこんなに難しいのよ! 悔しいー!」


「私がやる…!」


そして赤城が挑戦。

なにかプロっぽい感じだぞ!

これは期待できそうだ!


「ピース…」


結局赤城は2匹取れた。


「赤城に負けてさらに悔しいー!!」


「俺の番だな」


そして俺は1匹の金魚に狙いを定める。

今だっ!


チャプン!


なんとか1匹取れたが勢いで破けてしまった。


「やるじゃない辰真ー!」


「さすが辰真…」


「拙者の番でござるな」


エルはそういうとすごい勢いで水につける。

…破けた。

そんなに勢いつけるからすぐ破けるんだよ…。


「無念でござる…」


エル…ドンマイ。

リリーがかわいそうだから俺が取った金魚をあげることにした。


「リリー、可愛そうだから俺が取った金魚やるよ。可愛がってやんな」


「いいのー?! ありがとう!」


するとちょうど山車が目の前を通る。

すごい山車だ。

見応えあるな。

しばらくそれをみてまた歩きだした。


「辰真殿…! 射的でござる…!」


「なんだー? やりたいのか?」


「私もやりたい…!」


エルと赤城が射的をすることに。

景品はたくさんある。

人形、お菓子、ゲームに遊園地のチケット。

…遊園地のチケット?


「あのゲーム…辰真と一緒にできる…?」


「そうだな。できるぞ」


「あれとる…!」


そして赤城は全弾をゲームに注ぎ込むと見事撃ち落とし、ゲームを手に入れた。


「辰真と一緒にゲーム…フフ」


赤城の笑った顔はそれはもうかわいい。


「拙者は遊園地のチケットを狙うでござる!!」


この前の遊園地でわかったがエルはかなりの遊園地好きだ。

そうでなきゃ男2人でなんて遊園地にはいかない。

エルはチケットに全弾を使うも落とせなかった。


「ぐぐ…もう一回でござる」


しかし落ちない。


「辰真殿…拙者はここから離れられないでござる! 拙者に構わず先に行くでござる!」


エルがそういったので先を行くことに。

しかし長いこと歩いたな。


「ほれはおいしへふー!」


「あんまり食べ過ぎるなよー?」


レムとレベッカだ。

こんな先にいたのか。

スクーが見当たらないがどこ行ったんだ?

そしてリリーと赤城、俺は最奥へときてしまったらしい。


「お祭りも終わりだな」


「いいえ。まだよ」


「花火が残ってる…」


大きな音と共に花火が打ち上がった。

花火なんて久々だ。

俺達は花火に見入っていた。

10分くらいで花火が終わる。


「綺麗だったな」


「そうね」


「とてもよかった…」


そして今になってホカとメクが気になりはじめたけどあの2人大丈夫だろうか?

スクーもいなくなっていたので心配だ。


「赤寺辰真ではないかっ!?」


「そうだなっ! ですわっ!」


「た、隊長ー…」


噂をすればなんとやら。

ホカとメク、それにスクーも一緒みたいだ。

ホカとメクは両手いっぱいにお祭りで買ったであろうものでいっぱいだ。

スクーも手いっぱいだけどもしかして荷物もちになってるのか…?


「みなさん集まってますよ!」


「レベッカ…食べたばっかなのに走れるのかよ…」


これで全員…。


「やっと取れたでござる…」


揃ったな。


「それじゃあ、帰りますか」


こうして長いお祭りは終わった。

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