国民からの要望。

今回は国民から要望を聞こうと思う。

そう思っていた矢先、もう手詰まっていた。


「どう国民から聞けばいいんだ…?」


一人ずつ聞いて回るわけにもいかない。

仮にそんなことをすればキリがないし時間がかかりすぎる。


「それなら…あのー…」


スクーに考えがあるらしい。


「全員が要望あるとは限らない…ので要望箱…作ってみたらいいと思い…ます」


他にいい方法はなさそうだ。

さっそく要望箱というものを作り、街中に設置する。

数日たったら回収してどんな要望があるのかをみてみる。


「ふむふむ…」


「大事な指輪をなくしてしまい…ました。あきらめる…ことができないので一緒に探して…ください。お願いします…」


そういう要望?

まあいいか。


「スクー! 行くぞ!」


「は、はい…」


そしてこの女性のもとへ。


「わざわざすみません…気が付いた時にはその大事な指輪が置いた場所になくって…。確かに家で外した記憶はあるんです」


「ってことは家のどこかにあるってことだよな…」


「そう…だと思います…」


家に入り指輪をさがすがどこにも見当たらない。


「おねえさん、外ではずしたんじゃないですか? どこにも見当たりませんよ?」


「おかしいです…もうあきらめるしかないのでしょうか…?」


「これだけ探しても…出てこない…」


俺達はあきらめた。


「すみません。わざわざ来ていただいたのに…」


「謝るのはこちらのほうです。要望をくれたのに叶えられず申し訳ないです」


そしてお姉さんはおでこに手をやる。


あれ?

指に指輪ついてるけど…。

まさかだよな…?


「すみません、指輪つけてますがそれではないのですか?」


「…? ああっ…!」


こんだけ探してもないはずだよ。

おねえさんもうつけてたじゃないですかー! 

やだー!


「これです! 本当に申し訳ないです…!」


「いえいえ、見つかったのでよかったですよ。またもしなにかあったら要望箱にお願いします」


「親切にありがとうございます…!」


1つ目の要望終了!

さて次だ次。

なになに、『飼っていた猫が逃げてしまいした。なんとかして連れ戻せないでしょうか? よろしくお願いします』って…。

俺達はお手伝い係じゃないぞ…! 

でもまあ要望がきてしまった以上やらなければ…。


「あー! 来てくれたんだねー! ありがとう!」


「それで猫なんですが毛色は?」


「黒猫です。探しやすいでしょー?」


「わかりました」


それで?

この広い場所で猫さがしってもうほとんど絶望だろ。

どこから探すんだよ…。

目の前に黒猫が通る。

ほら、探しはじめると猫が出てくるでしょー?

それくらいに猫もたくさん…ん?

黒猫いたーっ?!

運がいいな。

あとは捕まえて要望者に引き渡すだけだ。

そーっと近づいたが逃げられてしまう。


「ちょ、待って…」


…いなくなってしまった。

これはこちらも最終兵器を出すときがきたようだ。

レムに電話をかける。


「もしもーし?」


「お、レムか? 一緒に猫を探してくれ…! 頼む!」


「は? なに言ってんだ? 急に。」


「麻酔弾で猫撃っておわりの簡単な作業です!」


「まあとりあえず手伝ってやるから待ってろ?」


そしてレムがきた。


「で? 猫を麻酔で眠らせればいいんだな?」


「黒猫ね。簡単でしょ?」


レムは急に難しい顔をする。


「あのなあ、動物っていうのは動きが読みにくい。それに猫となると小さくて麻酔当てるのも一苦労だぜ?」


「そうか。でも要望を受けた以上、やるしかないんだ」


ケータイがなる。

スクーからだ。


「隊長…! 黒猫っ! いた!」


「わかった! すぐ向かう!」


そしてスクーと合流したが、


「黒猫…どこかにいっちゃいました…すみません! 見張っていたのに…」


「そんなこともあるよ。大丈夫だ」


「これじゃあ埒があかねえ。こうしてるうちも猫は動いてるかもしれねえ。次見つけたらすぐに教えろ。あの高い台で俺は待ち構えておくから」


「わかった」


それで探すこと30分。 

いたぞ…!

黒猫だ!

無線でレムに繋ぐ。


「いたぞ! 赤い家の庭! 座って休んでる!」


「わかった!」


バンッ!


麻酔は見事命中し、黒猫は倒れた。

これであとは飼い主に持っていって要望終了だ。


「ありがとー! お兄ちゃんたちすごいね!」


「今度は逃げられないようにしろよ? それじゃあな」


そして次の要望は…『悪がきを捕まえてください』…?

要望者は食品売りのスーパーの店長だ。

やっぱりそういう子供もいるのか…。


「来てもらって悪いんだけど…」


なんだ? 

なにかあったのか?


「なんです?」


「実はそいつらのアジトもなにもわからないんだ。いつも銃で脅されちゃうし…」


結構な要望だった。

これはリリーに手伝ってもらうとしよう。


「わかりました。捜索してみます」


「それは助かるよ」


まずはアジトを探すしかないか。

聞き取りからはじめるか。

…があっさりわかってしまった。

これであとはリリーを呼んで襲撃するか。


―10分後


「なによ悪がき退治って? それにゴム弾って。まさか相手は武装してるの?」


「正解っ!」


「はぁ…。で、何人なのよ?」


「5人いる。でもまあたぶん平気だろ」


そしてアジトに入った。


「誰だお前ら!」


もう見つかったか。

仕方ない。

先手必勝だ。


ダダダダダダダッ!


よし、3人ダウンした!


「まさか赤寺か?一体ここになにしにきたんだよ!」


「スーパーの店長から要望があってな! 悪さなんてするなよ!」


「あの店長! チクりやがった!」


そして戦闘にはなったが無事逮捕できた。


「リリーありがとう。助かった」


「それにしてもあんな子供が悪さとはね」


「そういう人間もいるってことさ」


これで国民からの要望はすべてかなえた。

完璧にお手伝いさんだったな…。

思ったけどこれ、警察の仕事…だよな?


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