貴重な休日。

最近は忙しかったから久々に楽ができるようにと勝手に自分で休日にした。

なんせ戦闘があった日には体は悲鳴をあげているからだ。

心身ともに休めたいと思い、マッサージ店へとやってきた。

人はさほどいなかった。


「いらっしゃいませー! 今日はどのようになさいますかー?」


「全身コースでっ!」


俺は全身コースを注文し体を横にする。


「上から下にやっていきますねー」


そういうとおねえさんは頭からマッサージに入った。

イテテ…。

おねえさん、それマッサージですか?

それとも俺はこの歳で頭もこっているんですか…?

そして顔もやってもらえた。

おねえさんの手がなんともいい匂いがしてそれだけでも心が安らぐ。

首にきてからすごい痛さを感じて声を出すほどだった。


「いてて!」


「我慢してくださいねー」


鬼畜である。

そして肩や背中がおわり、足ツボがはじまる。

足裏の真ん中部分を強く押される。

これが一番痛いですぅー!!


「痛いっ!」


「もう少しで終わりますよー」


それでもなおこのおねえさんは引かなかった。

これまであった人の中で一番強いんじゃないか?!


「はい、終わりました。お疲れ様でしたー」


「ありがとうございました」


そして全身がほぐれたのを確認して、次は久々にゲームセンターに行った。

実は言うとチャコに来る前の日本の生活でもゲームセンターはあまり入ったことはなかった。

いろんな音がいっぱいしていてうるさい。

せっかくきたのだから楽しもうとUFOキャッチャーでなにか取ろうと思った。

ウサギの人形が目に入ったのでさっそくチャレンジしてみる。

一回目は人形を持ちあげたが落ちてしまい取れない。

二回目も取れない。

そして三回目のときに聞き覚えのある声が聞こえた。


「頭のほう…つかむといい…」


俺は驚いてしまい、誤操作してしまった。

だけどなぜかウサギは持ちあがり取り出し口に出現した。

赤城さん、幽霊じゃないんだからしっかりとした挨拶をしよう…。


「赤城? なんでゲームセンターにいるんだ?」


「なんでって…楽しむために来るんだよ・・・?」


「そうだよな…」


当たり前のことを言われてしまった。


「辰真…ちょうどいいからガンシューティング…やろう…!」


目をキラキラさせながら誘ってきた赤城を俺は断る理由もなく協力プレイで遊ぶことにした。

しかしなんだこのゲーム。

大きなクモが襲って来たり、巨大ロボが襲ってきたり。

なかなか意味がわからなかったがまぁ、楽しめた。


「辰真…楽しめた…?」


「そうだな。それなりに…?」


「ならよかった…」


楽しんでいたか心配されてたらしい。


「私は帰るから…辰真…ばいばい」


「気を付けて帰れよー」


赤城と別れて一人ゲームセンターに残る俺。

そんな俺を小さい女の子がみてくる。

…よくみるとウサギの人形をみているようだった。


「これ欲しいの?」


「いいの…!」


「じゃあ、あげるよ」


女の子にウサギの人形をあげた。

女の子はうれしそうにしていた。


まだまだ時間があるな…。

1人カラオケでもやってみようと思い、カラオケ店へとやってきた。


「すみません、部屋ありますか?」


「何名様ですか?」


「1人です…」


なにか罰ゲームをしているようだ…。

そして部屋に案内され席に座る。

なんというか、みんなでワイワイやるような場所に1人ポツンといるとまるで友達がいないかのような人みたくなってくるな。

俺はそんなことを思いつつ歌った。


『あなたの歌の点数はーーーーー83点!』


まぁ普通かな。

カラオケ店を出る。

謎の虚無感がうまれる。

俺…何してるんだ…。


今度は本屋に行くことにした。

確かちょうどホラー物の小説が発売日なんだよなー。

…あった。

本を一番上の物ではなく中間から引き抜いてレジに持って行った。


「ありがとうございましたー!」


本を手に店をでる。

…休日ってこんなだっけ。

することがなくて逆に時間を持て余してしまう。

レンタル店が近くにあるので寄って行くことにした。

そうだ! 

みたいアニメがあるんだ! 

それ借りて家で見よう!

そうだそうしよう!

そしてアニメコーナーに向かって物色を始める。

あったあった。

『愛しているよマリー』

恋愛ものだけどおもしろいらしい。

題名がアレだがほんとに楽しめるのか?

それを借りるために手に持つ。

そしてホラージャンルの棚を覗く。

『ザ・イナイ』

というのが気になった。

パッケージ裏の映画情報をみて見るとでかでかと、

『そこにはなにもいなかった…!!』

という文字にいくつかのコマの画像が。

これも一応借りることにした。

2本もあれば楽しめると思い、会計をすませてレンタル店をでる。

あとは家に帰って借りたものを観よう。

自分の家へと歩きだす。


「ただいまー」


無人なので返事はない。

まずは愛してるよマリーから見ることにした。

再生機器に入れて見始める。


『マリー、なぜそんな男を選ぶんだい? 僕はこんなにもマリーを愛しているのに…!』


『だって、あなたよりこの人のほうが素敵だと思えるからよ…!!』


『どうしてなんだい…。どうしてなんだマリー…!』


どうしてなんだマリー!! 

どうしてこんなにも昼ドラみたいなんだいマリー!

…ふぅ。

突っ込まざるをえなかった。

気を取り直してザ・イナイを観よう。


『きゃっ! その扉の先から物音が…!』


『大丈夫! 僕が確認しますから!』


そう言って男が扉を開ける。


『きゃー!! どうして?! 確かにこの扉の先から物音がしたのに誰もいないなんて…! 怖いわっ…!』


……。


『ああ。大丈夫だよ。今度物音がしたらまた開けてみよう今日はたまたまだったのかもしれないし今度こそはきっといるさ…!』


……。

はい…?

いやうん。

逆転の発想ってやつ?

もとからいないような幽霊を逆にいてほしいと思わせる映画はこれが初めてだよ。

なんだよこの映画! 

ツッコミどころ満載だよ。

なんで幽霊いないんだよ!

頼むからいてくれよー!


割と楽しんだ自分がそこにはいました。


だけどなんだ。

とても後味が悪い。

悪すぎる。

映画って作れば内容とか関係なしにレンタルとかされるんだっけ…?

あー時間の無駄だった。

仕方ない。

気分転換にゲームでもするか。

ゲーム機のスイッチを押して起動する。

おっ。

リリーとエルが同じゲームやってんじゃん。

パーティーに入れてもらって一緒にやるか。


『パーティー入れてー』


『招待送ったでござる』


そして通話ソフトで通話もする。

こうしたほうが連携がとれて勝率もあがる。


「招待ありがとう。で、ルールはなにやってるの?」


「チームデスマッチよ」


「隊長殿が来てくれて助かったでござる」


ちなみにチームデスマッチとはチームに分かれて戦って相手のチケットを0にしたら勝つルールだ。

チケットというのが残りの歩兵の数という認識でいいだろう。


「隊長殿の後ろに敵がいるでござるよ!」


「おっ! 助かったぜ」


こうして仲間に教えたりしてやるのが楽しいゲームだ。


「リリー後ろ!」


「えっ?」


俺がリリーの後ろにいた敵を倒すがリリーはやられてしまった。


「ごめんごめん」


「ちょっと! 今わざと倒すの遅くなかった?!」


「そんなことないって…!」


リリーはゲームだと途端に弱くなる。

それで人のせいにするという嫌なやつになる。

それでも俺はリリーとやるのをやめない。

なんでかというとリリーのやられる姿がおもしろいからだ。


「あーまたやられちゃったわ…」


「どんまいでござるよ」


そしてあきてきたのでやめるとエルが、


「実は遊園地のチケットがあるのでござるがいかがしよう?」


「リリーはパス。今そんな気分じゃないわ」


「っていうことは…男2人でいくの?」


「暇でござるからいくでござるよ辰真殿!」


そして男2人で遊園地にきたのだが、人がかなりいる。


「大盛況でござるな」


「遊園地だもん。これくらい人がいないとね」


男2人じゃなきゃ楽しめたのだが。


「ジェットコースターに乗るでござる!」


そして待ち時間20分が経過しジェットコースターに乗る。


「楽しみでござるな♪」


上に上昇、そして。

―滑るように落ちていく。

俺はジェットコースターは好きじゃない。

そしてなぜ苦手なものに乗ってしまったのか後悔した。


「ううううううううげええええええええええ!!」


すごい早さでコースを回る。


「すごいでござるー!」


そして俺は白目になる。


「辰真殿もすごいでござるううううううー!?」


…もう2度と乗らない。

次はなに乗るんだ…?


「ジェットコースターが苦手なら早く言ってほしかったでござるよ。次はあれでござる」


エルが指さすほうを見るとメリーゴーランドがあった。

え? 

この歳でメリーゴーランド乗るの? 

いいけど。

馬にまたがるとメリーゴーランドが回りだす。

これはちょっと恥ずかしいな。


「これは余裕だったな」


「それはよかったでござる。次はコーヒーカップにするでござるよ」


そして2人でカップに入った。

しばらくして動きだす。


「いくでござるよー?」


エルが勢いよく回しはじめる。

ちょ、遠心力で持ってかれちゃうから…!

っていうより目が回る…。


「うぅ…。気持ち悪い…」


「調子に乗りすぎたでござる」


ついに日が暮れてきた。


「それじゃあ次が最後でござるな」


「…まだなにか乗るの?」


「観覧者でござる」


「男2人で…?」


「そうだったでござる…」


そしてエルとのフラグがたつこともなくそれぞれ家に帰った。

こんな感じで俺の休日は終わりを迎えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る