第2話
大体、文化祭の打ち上げは文化祭が終わってからなのになぜ、今から話す?
文化祭自体、来週末開催で、まだ始まっても、終わってもないのに。
「舞ちゃんっていい子だけど、クールだよねぇ〜。」
「悪い子じゃないんだけどね、ノリは悪いよね。」
「まぁ、舞ちゃんは昔からあぁだから!さ、どこにするー?」
みんなが何を話してるのかは予想がつく。
大体、クール、とか。つれないなぁ、とか。
イジメられてるわけではないから特に気にはしないが。
クラスが嫌なわけでは無い。
ただ、わたしはキャッキャするノリが苦手なだけで。
そして、そんなことよりも、もっと楽しいことがあることを知っているのだ。
「雪ちゃん。もういいよ。代わる。」
「舞ちゃーん!いいの?5分しか仕事してないけど。でも、じゃあ、今日もお願い!!」
長くふわふわとした髪の毛の彼女は顔の前で手を合わせて、お願い、と言った。
普段は目立つグループの中にいる彼女。
図書委員は仕事内容があまりないということで図書委員になったらしい。
ギャルとまではいかず、地味ではなく。
清楚系な子で、だけどノリも良くて。
こういう子がモテるのだとつくづく思う。
「いいの。私は本読めるから。」
そう、私にとっては図書室で本を読んでいる時間のほうがよっぽど楽しいのだ。
「えっと、たしか、ここに…あった。」
カウンターの引き出しの中にしまっておいた読みかけの本を出す。
「…え?」
どう考えてもおかしい。
「なんで?」
私が読んでいたのは100ページは越していたところ。
なのにしおりが挟んであったのは47ページと48ページの間。
「時田!いつも偉いねぇ〜。ってかまぁ、仕事なんだけどね。毎日来てるもんね?」
「飯田先生。図書室で本読むのが趣味みたいなもんですから。この時間のために学校来てるようなもんだし。」
飯田先生は図書室の先生だ。
「あれ?」
飯田先生が私の手元を見つめる。
私の手元には読みかけの本。
「それさぁー、窪塚も読んでたなぁ。面白いの?若い子の読む本は私は読まないからなぁ〜」
面白いですよ、という言葉が口に出そうになった時に、ひっかかった。
「今、なんて言いました?」
「だから、面白いの?って」
「違います。いや、違くないです。面白いですよ!面白いですが、その前に!」
「あー、窪塚も読んでた。若い子のは読まないから…」
それだ!なにか引っかかったやつはそれだ。
窪塚。
「窪塚って誰ですか?この本読んでたんですか?」
いきなりの質問は思いもよらなかったようで飯田先生はびっくりする。
「そう。知らない?窪塚大介。2年7組の。たまーに来るけど。この間、それ、読んでたんだよ。」
これ?この本?
絶対にしおりを動かしたのはそいつだ。
2年ということは同級生。
だけど、知り合いが多いわけじゃない私には到底わからない。
「窪塚大介…。」
本が繋ぐラブストーリー @chi115
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