第2話
一時間くらい経った頃だろうか。新幹線は停止したみたいだ。何せ、外が見えないので、判断のしようがない。だが、体が宙に浮いている感覚は無くなった。
「恭介、着いたよ」
「姉ちゃん、外が見えないのに何でわかるんだよ」
「あれ」
そう言って、姉ちゃんが指差した先の電光表示に終点の文字があった。
「なるほどね。納得」
新幹線を降りると、そこには不思議な光景が広がっていた。町並みは平凡ではあるが、周りにある建物の壁が全て鏡になっていた。
「恭介、先に荷物置いて来よ」
そう言うと、姉ちゃんは歩き始めた。五分ほど歩くと、地下道の階段が見えた。その階段を姉ちゃんは降りて行った。
「姉ちゃん、どこに泊まるの?」
「もう少し先」
そう言って、姉ちゃんは歩き続ける。それから十分くらい経った頃だろうか、姉ちゃんが言った。
「恭介、着いたよ」
そこは決して、立派とは言えるような場所ではなかった。その宿に窓はなく、フロントは薄暗くなっていた。その宿の名前は、フューチャーホテルとなっていた。
フューチャー……未来、か。その言葉が少し引っ掛かり、僕は尋ねた。
「姉ちゃん、この街ってもしかして、未来遊園地があったりする?」
「そうだけど、どうして?」
「いや、別に」
姉ちゃんは僕が何故、その事に興味を持っていたのか、知っている様子だった。
フロントで手続きを済ませ、僕たちはそれぞれの部屋で休む事にした。明日の事、まだきいてなかったな。しかし、この部屋は本当に窮屈だ。部屋も狭ければ、冷暖房は一括管理で微調整できない。おまけに、窓もない。こんなホテルでどうやって快適に暮らせと言うんだ。旅行中の食事は各自で済ませるように、姉ちゃんと決めていた。しかし、特にお腹も空いておらず、やることもないので、僕は寝る事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます