第24話 つきあいなよ

 あれから2週間近くたち、小鹿野おがのさんの「トランプ占い」は、少しずつ口コミで広まっていった。

 それまで内向的な小鹿野さんは、クラスで私と菅谷以外に一緒にいる友達もいなかったけど、あれから小鹿野さんの周りには人が増えはじめた。

 うれしい半面、少しさみしいかも。


「上手くいってるようだな」

 菅谷が、話しかけてくる。

「まあね、ざっとこんなもんよ」


 笑顔の小鹿野さんの周りに人が増えてくる。

 友達が友達を連れてくる。別のクラスの生徒だったり、上級生だったりすることもある。

 相談のお礼としてちょっとしたプレゼントを渡されたり、放課後一緒にカフェに行こうというお誘いを受けたりしている。

 そして、小鹿野さんの笑顔がステキであることに気づいた男子たちも、遠くからあこがれの視線を送るようになってきた。

 今、小鹿野さんは、ちょっとした人気者になりつつあった。

 これが本来あるべき小鹿野さんの日常なんだ。これでよかったんだ。


「ひょっとして、三宅もいつも1人でいることが多いんじゃないか?」

「私? そうだっけ?」

「お前はやたら活発だからあまりそうは思えないが、でも基本的に1人だよな。まぁ俺もそうだが。部活に入らず、勝手に気ままに行動しているわけで」

 そうか、そうかもね。


 私は菅谷に言った。

「あんた、今日はつきあいなよ」

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