第21話 絶対よくないもん!

「ねーねー、小鹿野さんの能力、何かに使えないかな?」

 食後のコーヒーを口にしながら、ちょっと問題発言してみた。

 驚いた顔で私を見る菅谷と小鹿野さん。

「お前まだそんなこと言ってるのか」

「んー、目立つことしなければいいんじゃない?」

「言ってる意味が判っているのか? 矛盾してるぞ」

「わ、わたし、あまり目立つことしたくないし……」

 ほらみろと言わんばかりの顔の菅谷。

 分かってる、分かってるよ、でも……。

「でも、このままじゃダメだよ!」

 つい大声を上げてしまった。

「このままじゃ小鹿野さん、自分の力を悪い物として、ずっと引け目を感じて過ごすことになるもん。自分の力が、自分と周りを不幸にするんじゃないかって、自分を怖がったままでさ。小鹿野さんがクラスでもあまり喋らないのが、自分におびえてるからなんて、そんなのよくないもん! 絶対よくないもん!」





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