第14話 超能力?
「ね、ね、それってやっぱり、超能力?」
「さっきスマホで検索かけただけだが、海外では事件の捜査協力とか歴史上の遺跡の発掘などで実績があるらしい。小鹿野みたいに触れた物から情報を読み取る者もいれば、トランス状態になって何かを見る者もいて、能力の発現方法もいろいろあるようだ」
「じゃさ、超能力者集めて正義の味方のチームを作れるんじゃない?」
「水を媒介にして情報を読み取るパターンもあるそうだが、小鹿野もそういった事はできるのか?」
「世界を救う超能力者チーム! その中の1人は可憐な現役女子高生!」
「プールに入った時に、他の人たちの気持ちは確かにいっぱい見えるかも。でも海とかプールってとにかく騒がしいから、そこで感じているのが自分の目や耳からなのか能力によるのか、
「あー、でもチーム作っても敵がいないと話になんないわよね」
「なるほど、そういえばお婆さんの育った地域の話とか、詳しく聞いた?」
「あまり聞いてないの。なんか、四国の山の上の方にある村で、平家の
「敵がいないんじゃなー。だったら犯人探しとか」
「となると、平家の落人伝説を利用して隠れ住んでいたのかも……。どういった形で能力が継承されて活用されていたか、手がかりでもあるかと思ったんだが……。戦争で伝承が失われたのかもしれないな」
「そうだ! 未解決事件の証拠物件を小鹿野さんが触れば真犯人が判るじゃん! テレビに出れるかもよ」
「却下だ!」
「なによ! さっきから人の話ずっと無視してたクセに、いきなり『却下だ!』はないでしょ!」
「三宅こそ何考えている。小鹿野さんを見世物扱いする気か?」
見世物!
「見世物にしかならないんだよ、今の世の中では。小鹿野さんの能力が正しく働いても見世物、もしミスすれば詐欺師扱いだ。社会的制裁を受けるだろうな。そうなって誰が小鹿野さんを守る? 聞けばこの家に
小鹿野さんの顔に
苦い顔をしながら菅谷は続けた。
「それに、もっと危険な想像をするなら、小鹿野さん自身が何らかの犯罪に巻き込まれる可能性だって出てくる。誰だって知られたくない秘密はあるわけだし、逆に他人の秘密を暴きたい人間もいる。犯罪組織が小鹿野さんの能力に目をつける可能性だって……最悪、誘拐とか」
「菅谷!」
菅谷はハッとして顔をあげた。
小鹿野さんが真っ青な顔をしている。無理もない、これまでだって自分の能力が自分を幸せにはせず、むしろ家族の離散という不幸を招いているのに、それを更に上回る災厄の可能性を指摘されたんだから。
家族の離散がこれまでの最大級の災いであり、今後考えられる最大の不幸は友人を失う事。たぶんそれが小鹿野さんの想像の限界だったと思う。だって、普通に生活している学生なら、それが当たり前だもん。
私は、小鹿野さんのお婆ちゃんが、幼い小鹿野さんに能力を誰にも喋らないように
「すまん、怖がらせるつもりはなかった。でも小鹿野の能力に関しては、俺たち3人だけの秘密にしよう。それが小鹿野のためだ」
うなずく私と小鹿野さん。
「それと、話を戻そう。本吉の件をどうするか」
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