第11話 謝れ!
菅谷が
「えっと……まず、黄色い帽子が23、次に2階の右から2番目の部屋、それから図形の展開図は3番目、あ、これ間違いだと気づいて保留にしたのね、その次はADの山本さん、そして……」
「もういい止めろ!」
顔面蒼白になって菅谷が叫ぶ。
「どう? 信じてもらえる?」
「え、なに今の? ひょっとしてパズルの答?」
私の質問には、菅谷の怯えた目が十分すぎるほど答えていた。ザマァ!
「すごいよ小鹿野さん! この能力があればテストなんて簡単でしょ?」
「印刷された物から作った人の考えまではわからないのよ。わかるのは、あくまでもそれに触れていた人の気持ちだけ。だから今読んだのは、このパズルを解いている菅谷くんの気持ち」
「じゃあさ、今私が何考えているかわかる?」
「うん! 『何考えているかわかるかな?』でしょ」
2人で大笑いした。
「止めろ!」
何よ菅谷、そんなに怖い顔して。
「三宅、お前怖くないのか? 自分が何を考えているのか、他人に読まれるんだぞ……」
「何言ってんの、小鹿野さんだよ? 怖いわけないじゃん」
菅谷の眼鏡の奥の眼は、明らかに怯えている。それも小鹿野さんに対して。
「いや普通怖いだろ、気持ち悪くならないのか? 自分の心を誰かに読まれるなんて、考えただけで……」
小鹿野さんの表情が急に
「てめー菅谷! 今すぐ小鹿野さんに謝れ!」
私はちゃぶ台を両手で叩いて立ち上がり、菅谷の前面のちゃぶ台を思いっきり踏みつけて吠えた!
「てめー今何てった! 小鹿野さんを薄汚い
小鹿野さんが制止しようと手を伸ばしてきたが振り払ってしまった。
「菅谷! お前今の歳になってオナニーしたことがないなんて言わせねーぞ! オナニーの時何考えている! 誰か女の子のイヤラシイ姿想像してんだろ! 男の子だから当たり前だよそれを悪いとも言わないよ。だけど想像したことがあるのと、のべつまくなしに誰彼問わずイヤラシイ眼で見るのとはわけが違うだろ! お前が今小鹿野さんにしたことは……、だからえーと……」
「いいのよ三宅さん、それより、座って……」
「悪かった、謝る。だから……その……隠せ」
え?
自分の今の姿を見てみると、制服姿のままで菅谷の眼前でちゃぶ台に片足載せて大股開いているわけで……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます