第10話 たぶん信じると思う……
「それでね、あの日の事なんだけど、トイレに入ったら扉に見慣れないフックがかかってたの。それに何となく触ったら、それを設置している本吉先生の様子が頭の中に浮かんできて、あ、このフック、カメラなんだって思って。悲しくなってそれで……」
「それでトイレを飛び出してきたのね、納得」
「納得できるか!」
菅谷が突然声をあげた。
「物に触っただけで気持ちが読み取れる? マンガならともかく現実にそんな話、信じろという方がどうかしてる。三宅は小鹿野が言ってる事を信じられるのか?」
「当たり前でしょ! 小鹿野さんが嘘つくわけないもん!」
「じゃあ小鹿野が、『本当は私、裏庭の竹の中から生まれて、お爺さんとお婆さんに育てられました』なんて言ったらやはり信じるのか!」
「たぶん信じると思う……」
「小鹿野、悪いことは言わない。友達は選んだ方がいい」
「何よそれどういう意味!」
思わず立ち上がりそうになる私を抑えた小鹿野さんは、その手を菅谷に差し出して言った。
「パズルの本、ちょっと貸して」
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