第45話 絶対匿名だそうで

「で、私に相談ってことは」

「うん、断れなかったの」

 小鹿野さん優しすぎるからなあ。

「だってね、検索してみて……『裏アカ』って……ツイッターで……」

 えー、私だって知ってるよ裏アカくらい。本名とは別の裏のアカウントで、匿名をいいことに好き放題悪口とか言いまくるアレでしょ? そりゃバレたら問題になるでしょうよ。え? 違うの? ナニナニ?

「えええええええええええええ!!!!!!!!!」

「でしょ? でしょ? でしょ? でしょ?」

 裏アカ、裏垢、うらあか、いろいろあるが、どれも自分の裸の写真を大量にアップしてる!

「ちょっとこれなんて、モロで接写じゃん! いいのこれ?」

「ね、こっちもホラ」

「うわ動画だよ!」

 再生したらトンデモナイ音と声が出てきて慌てて停止した! アパートの中でよかった! 学校の中だったら大変だった! 小鹿野さんと2人、お互い顔真っ赤にして汗かいた。

 みんな匿名で顔出さないから物凄い写真を平気でアップしてる。名前は出さなくても、年齢とか学年とか載せてしまってる。大丈夫か、このコなんて中2とか書いてるぞ! 知らなかった、未成年のヌードを規制しても、未成年本人がこうも簡単に自分の裸をネットにアップしてたら……。

「こんなんじゃ……エッチな雑誌が売れなくなる」

「違うでしょ三宅さん!」

「だって、実際にそれで食べてる人たちがいるわけで、いや今はそこじゃないな問題は」

「ね、こんなのがバレて脅迫されてたとしたら……」

「その相談してきた人、かなりヤバイよね」


 相談してきた人は、小鹿野さんは教えてくれなかった。絶対匿名だそうで、そりゃそうだな。

 でも、こんなの、どうやれば脅迫を止めさせることができるんだ? そもそもどうやって相手を突き止める?


 うーん、いくら考えても答えが思いつかない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る