第41話 何かあったの?
竹中さんの励ましもあってか、講堂に着くころには小鹿野さんもずいぶん緊張感がほぐれていた。
でも落ち着いて周りを見ると、まあ確かに興味本位の視線は多いんだけど、賞賛と憧れの視線もかなりあるのに気づいた。
意外なのが菅谷に対する女子生徒からの視線だ。あいつこんなに人気あったっけ? 以前は「冷たい眼鏡男」だった気もするが、今は「クールなメガネ男子」になってる。そりゃね、確かにあの活躍は凄かったよ。しかしあんたらマスコミ報道に影響されすぎだぞ。
小鹿野さんに関しては、事件の報道でお金持ちなのが知られたせいか、お姫様を見るような視線が増えている。男子生徒からの崇拝と憧れと諦めの視線は、納得する部分もあるなぁ。
あれ、私に関してもいろいろ聞こえてくるな。当然といえば当然か。
「あのコなんであの2人といつも一緒にいるんだろ」「邪魔じゃないのかしら」「気を利かせて少し離れればいいのにね」「ペットだったりして」
なんじゃそりゃ!
講堂の壇上で、校長先生が何か喋っている。周囲の頭にくる噂話に気を取られて今まで全然耳に入ってこなかったが
「残念なことに全員揃って新学期を迎えることはできませんでしたが」の言葉にビックリした。
あわてて意識を壇上に向ける。他にも「近年、様々な形でこの辺りも治安が悪化してきています」「ここにいる皆さんも、できる限り注意して、危険から身を遠ざけるようにしてください」とか言ってる!
「以上を持ちまして……」
え、おしまい? 結局意味がわからなかった! 小鹿野さんの一件以外に、まだ何かあったの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます