蓬莱の神々〜俺と仲間と八百万
第14話 出航
そんなこんなで俺はこのチームのリーダーになってしまいましたとさ 。
副リーダーは全員一致で雪乃 。 俺的にリーダーが雪乃で良いのでは ? と思ったんだが、そこは何故かミサと雪乃の両方から猛烈に反対されてしまった 。
その会議はそのまま解散となったんだが、
「 直也様っ ! 明日の旅の用意、お手伝いしますよっ ! 」
とミサが俺の部屋 ? に来てしまった 。
そこに雪乃が来てしまって、
「 先輩、明日の準備いっし... 」
一緒固まった後、
「 なんでミサがここにいるのっ ? 」
「 あなたこそ何故ここに ? 」
と言った具合になにやら話し始めて最終的に今に至るのだが... 。
「 ほら先輩 ! あそこに金平糖売ってますよ ! 」
「 直也様っ ! こちらで猿回しがっ ! 」
俺はいつから二人の遊び道具になったのだ ?
さっき部屋で鉢合わせしてからずっとこの調子だ 。
右にミサ、左に雪乃 。 俺の腕は引っ張られっぱなし 。 ( 時折二人の胸が当たるので許しているが 。 )
二人とも笑ってはいるものの、たまに二人で目を合わせて火花を飛ばしている気もする 。 気のせいだよね ?
ゴリ... いや、雪乃と戦天使がバトったらシャレにならないからね、ホントに 。
なんやかんやで俺は二人に夕方まで街ブラをさせられてしまった... 。
俺... まだ何の用意も出来てないや... 。
ミサと雪乃は上機嫌で俺を連れて館に帰るが、俺は全くだよね 。 徹夜確定乙 。
門を開いて中に入ったところでようやく二人に釈放された 。 二人と俺は部屋が反対の建物だからここで別れないと、と俺が小一時間かけて説得した成果だ 。
あーあ、めんどくさい 。 これから徹夜なんかしてたら旅の初日からダウン確定だわ... 。
軽い絶望と共に部屋に戻ると障子の前にケルベロスが座っていた 。
「 お前何で俺の部屋の前に座ってんだよ 。 」
「 お前が主とミサ殿と町に行くのが見えたのでな 。 お前の代わりに旅支度をしていた 。 」
俺が障子を開けるとそこには完璧に用意の整った旅セットが出来上がっていた 。
ケルベロスさん、マジ神ですわ 。
「 我は男なのでな 。 部屋はお前の向かい側、決して犬小屋ではないぞ ? 」
違うんだ 。 てか、犬に部屋あるんだね、この館 。
が、ケルベロスには感謝しておかないとな 。
「 まぁ、ありがとな 。 おかげで徹夜しないで済む 。 」
「 当然だ 。 上を助けるのは下の者の務めだからな 。 お前が明日、倒れると我らも困るのだ 。 」
言い残してケルベロスはくるりと回って部屋に戻ってしまった 。
晩飯は二人のせいで食えそうにない 。 町で食い過ぎた 。
俺は布団に入るとそのまますぐに寝てしまった 。
翌日
俺は誰かの気配を感じておきた 。
気づかないふりをして眠ったふりをしていると
「 ...ミサ、静かにね... 。 」
「 雪乃さんこそ静かにお願いしますよ... 。 」
雪乃とミサ、俺に丸聞こえなんだけど 。イタズラにイタズラで返すのも悪くない 。 逆ドッキリだ 。
俺は二人が近づいてきたと同時に
「 おはようっ !! 」
と、大きな声で起き上がった 。
「 にゃうっ ! 」
「 ひゃっ ! 」
二人とも揃って飛び跳ねた 。
すぐに二人とも
「 ごめんなさい、ごめんなさい 。 ついほんの出来心で... 。 」
「 せ、先輩っ ! 起きてたんですかっ !? 」
と反応し、ミサなんかは土下座せんばかりに体を縮こめてしまってる 。
脅かしすぎたか ?
そこにリリヤが呆れ顏で、
「 ...お姉ちゃん、ミサ 。 二人とも心配になって来てみたけどやっぱりね 。 」
いったい何がやっぱりなのだ ?
「 直也、そろそろ行く準備して 。 もうすぐしたら出るから 。 」
早いな 。 俺まだ起きたばかりなんですが 。
でもリリヤはやっぱりすごいな 。 落ち着いてるというか、余裕というか 。 これが王の資質なのか ?
俺は二人とリリヤに背を向けて準備にとりかかった 。
...早く出てもらわないと着替えられないんですけど... 。
出て行こうとしないミサと雪乃、それをじーっと見ているリリヤ 。 見た目は超カワイイのになぁ... 。
「 俺着替るからでてくんない ? 」
ミサと雪乃は顔を見合わせた 。 そして何か言いたそうに俺をみてから出てった 。
「 直也、君はホント鈍感だね 。 」
リリヤも出てった 。
鈍感って何だよ ? どこがだ ? さっぱりわからん 。
俺達は準備を整え、真冬の旅に出る 。 目的地は京 。 帝に会って天界に送ってもらうのだ 。
俺、雪乃、ミサ、リリヤ、カツェ、李広、そしてわんちゃんのケルベロス 。 俺達のパーティーは船でまずは大浦城の津軽為信のところに向かう 。
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