第13話 新たな旅団
俺は雪乃にケルベロスの事で応えた後、またすぐに気を失っていたらしい 。 我ながら、役に立たない男だぜ... 。
俺は布団から起き上がった 。 すると、俺の股辺りに濡れた布が落ちた 。
( ...雪乃、俺の為に看病してくれたんだな 。 )
よく見ると雪乃のよく使っているハンカチだった 。 俺はそのまま座ってるのもなんだし、腹も減っていたので布団から立ち上がり、部屋の外にでた 。
部屋の外はとてもキレイな木目調の廊下があり、俺の部屋の反対側にもまた部屋があった 。 とりあえず俺は、廊下を歩いて一番端 ( 俺の部屋は一番奥だった 。 ) で左に曲がった 。
すると、
「 おお ! 直也、やっと目が覚めたか ! 我が主も我も、みな心配しておったぞ ! 」
一匹の黒い豆柴 ? のような犬が俺に話しかけてきたではないかっ ! 危うく、もう少しのところで腰を抜かすところだったが、何とか耐えた 。 こんな事で腰を抜かしてたら、ミサ達で何度抜かされるか... 。
「 ...ごめん、わんちゃん ? 僕は君を知らないし、知りたくもない 。 飼い主さんも心配してるんじゃないかな ? 」
アリスに続き二徹を踏まなければ...
「 ...直也、すまんが今のお前は相当気持ちが悪いぞ 。 それとわんちゃんではない ! ケルベロスだ ! 」
うん、見事に踏んだね 。 俺の事はこれからフラグ神と呼んでくれている構わない 。 それにしてもあのケルベロスがよくまぁ、こんな可愛いわんちゃんになったこと... 。
ガブリッ !
ケルベロスがアゴをナデナデしていた右手に思いっきりカブリついてきた 。
「 ...ってぇ ! 何すんだ ! 」
「 それは我の台詞ぞ、直也 。 お前は我を持ち上げた挙句、気持ちいい... 違う違う 。 我の顎を撫で回ったのだぞ ? 噛まれて当然であろう ? 」
今ケルベロスちゃん気持ちいいって言わなかったかい ? やっぱりわんちゃんなんだろうか ?
「 ...悪い悪い、もうしてやらねぇよ 。 」
俺は少々意地悪そうに言ってやった 。
「 ...別にそういう意味では... 。 」
あれれ ? 地獄の番犬ともあろうわんちゃんさんがツンデレですか ?? なんだかんだで俺の手から下りようとしないし 。
「 おぉ ! そうであった ! 直也、お前を主達が呼んでおったぞ ! さ、早くいくぞ ! 」
ケルベロスは俺の手から離れる気は全くないらしい 。 仕方なく ? ケルベロスを抱えたままケルベロスの言う通りの廊下を通って ( いくつか階段も ) ようやくその部屋に着いた 。 てか、この屋敷かなり広いな... 。
「 ケルベロス、ここで良いんだよな ? 」
一応もう一度ケルベロスに確認 。
すると、
ピョッン !
と、俺の手から飛び降りて
「 うむ、間ちが... 」
バシンッ !
障子が突然勢いよく開いて、
「 直也様っ ! 」
「 直也先輩っ ! 」
ミサと雪乃がいっぺんに飛びついてきた 。 ケルベロスの奴、絶対分かってて飛んだだろ... 。
「 先輩 ! 気分は大丈夫ですか ? 」
「 直也様 ! 何かお食事はいかがですか ? 食べたいものはありますか ? 」
...俺の目の前で美少女二人が笑顔で火花を散らしている 。...なぜだ ?
「 聞いてますかっ !? 」
二人ハモって俺に聞いてくる 。 なんだ、仲良いじゃないか 。
「 ...おほん 。」
部屋の中でじーっとこちらを伺っていた李広が咳払いした 。
「 あー... 。 お取り込み中失礼するようだが... 。 」
李広の横の人物が言った 。
「 まずは直也殿 。 私は父上の三男、蠣崎 慶広 だ 。」
軽く俺に会釈をして慶広は挨拶をした 。 俺を見る目がちょっと殺気まじりじゃなかったか... ?
「 うむ、ではまず貴殿らに報告せねばな 。 」
李広は包みの中から一本の書簡を取り出した 。
「 昨日、安東様より伝令がまいった 。 我らとまた誼みを結びたいようじゃ 。 安東様曰く ” 此度の件、わしは全く覚えておらん 。 ”と書簡には記されておる 。 これに関してはわしらは赤子同然 。 故にリリヤ殿、意見を聞かせて欲しい 。 」
李広はリリヤに書簡をわたした。愛季のやつも忘れたって... 。 あんな事して忘れるとか病気なんじゃないのか ?
「 ...僕はこの手紙からは偽りを感じません... 。僕が以前、聞いた話だとウーラノスは人を操った後、殺すか記憶をとばすと聞いてます 。 」
ウーラノス、やはりクロノスもこいつに操られているのだろうか ?
「 してミサ殿、お主の意見も聞いておきたい 。 」
「 はい 。 私はリリヤ様と同じ意見です 。 あの方達は私達天使よりはるかに力ある者... 。 そのような事が出来ても不思議ではないと思います 。 」
「 私も同じです、李広さん 。 」
リリヤもミサも、雪乃もそうなら俺もそうなんだろうな 。
「 では、新しく結成された我々の長、直也殿 。 直也殿の意見も伺っておこうか ? 」
ちょっ ! いつの間に俺がお前達のリーダーになってんだよ ! ミサもリリヤも雪乃も、そして李広も俺の方をニヤニヤしながら見ている 。 ケルベロスもちゃっかりリリヤのお膝でくつろいでるしっ !
あぁぁあっ ! もうっ !
「 わーったよ ! リリヤの言う通りだ ! 」
という事で新しく結成されたパーティーの総員 ? の意見で今回の安東と件は不問となったのであった 。
てか李広も李広でお前の城の外交だろうがっ !
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます