八時間後――闇の底
暗く湿った狭い場所。
そこに、アイは居た。
そこは、昔彼女が居た場所に、とてもとても、良く似ていた。
だけど、今はもう、怖くない。
ゆったりと『友達』に背中を預ける。友達は寄り集まり、群れを無し、彼女の体を柔らかく受け止めていた。
「さぁ、時間だ、そろそろ幕が上がって余の眷族達がやってくる」
(ああ、嬉しいなぁ、もっともっと、お友達が増えるんだ)
優しい事実に、アイが歓喜する。
それに、今度のお友達は、殺さなくても良いと友達が言ってくれた。友達は人間を
いっぱいいっぱい殺すけど、友達は殺さなくも良いって言ってくれた。
(解らない。何でケイは、友達を殺そうとするんだろう?)
私の事を好きになりたいから殺さないと、過去にケイは言っていた。
私の友達とケイは、仲良くなりたくないのかな? と、アイは思考する。
だとしたら、ケイには申し訳ないけれど、友達として今度は私が手を貸す番だとアイは思う。
「受け入れてくれるかい? 主」
友達が言う。
「うん、いいよ」
アイが答える。
契約の言葉に、虫の一匹が、アイの体を這い上る。肌を越え、湿った肉の更に向こう。少女の体内へと、悪魔がその身体を這わせていく。
ああ、ずっと、一緒だ。
体内に友達が入りこんでいくのを感じ、アイの体が震える。ビクンと大きく身体が一度跳ね、すぐに虚脱感か襲って来た。
(皆が仲良くできる夢を、見れれば良いなぁ……あ、そうだ、次にあった時には今度こそ、ケイに、伝えなきゃ、なぁ……)
アイの意識が眠りに落ちた。
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