サイドストーリー 『高宮瑞希の恋愛感2』
『女って』
「もっと、もっと……ああっん」
ココは実験クラブの部室。
オレの目の前で淫らに腰を突きだすのは同級生の女。
童貞キラー菅野先輩に食われてから、オレの貞操観念は大きく変わった。
色仕掛けで近づいてくる女は誰彼かまわずに抱いた。
「オレには婚約者がいるから」
そう必ず先に言う。
でも、彼女たちはそれでも良いっと。
バカな女たち。
性生活が破たんしたまま、大学生活に突入する。
そこでも女には不自由せず、気ままに遊びまくった。
女なんか全部一緒。
結局、オレの看板に惹かれるだけ。
「ねぇ、次いつ会える?」
「分からないな」
これがお約束。
次の約束なんかしない。
気ままだった大学生活。
そして産まれた時から決まっていた高宮への就職。
就職後、仙台に出向はある意味気楽で。
オレ自身を知らない奴らに囲まれる。
高宮のジュニアだと女たちが盛んにアプローチしてくる。
でも、会社の女に手は出さない。
それはオヤジからきつく言われていたし、オレ自身も将来部下になるであろう人材に手を出す事などしたくはなかった。
『伊波すみれ』彼女だけは周りにいる女たちと違っていた。
オレが高宮瑞希だと知っても目の色を変えない。
彼女もまた会社を背負いながら生きてきた一人。
そんな彼女の中にオレをみた。
世間知らずな彼女は、いつも誰にでも優しい。
陰で何を言われていても、我関せずを貫き通す。
ガマガエルの様なオヤジと結婚させられそうになっても、涙を堪えそれを受け入れようとしていた。
オレの将来を見ているようで胸が痛かった。
だからオレは彼女を助ける事にした。
自分の行く先を案じるように。
いつも受け身でいる彼女。
そんな彼女が強く熱く語る時がある。
それは古城。
彼女がどんなに古城を愛しているのかが強く伝わってきた。
それと同時に彼女の中に気高さを感じた。
巡り巡った縁がオレ達を結びつけたのかもしれない。
ガマガエルから彼女を救い出す。
差し詰めオレはツバメの王子かな?
ピンクの唇。
クルリとカールした毛先。
小さく抱きしめたら折れてしまいそうな身体。
彼女は親指姫そのもの。
「み、瑞希……大丈夫だから」
彼女の喘ぐ声に我を忘れそうになる。
すみれは全てを捨てる覚悟をした。
でも、オレは後押ししか出来ない。
そして、彼女の初めてを奪う事しか出来ない。
彼女を愛してしまったのは誤算。
手離したくない。
でも、これは彼女が自分自身を捨てる為に必要な事。
そう、自分に言い聞かす。
彼女が乱れれば乱れる程、オレは胸が熱くなる。
胸の中にすっぽりと収まる彼女。
オレの胸にしがみつきながら、顔を紅昇させ潤んだ瞳でオレを見上げる。
離したくない。
このまま閉じ込めてしまいたい。
すでに成熟した身体。
痛みを堪える姿はすぐになくなり、甘い匂いを発しながらオレを煽る。
何度も果てそうになりながら、すみれが満足するだけ抱いた。
グッと我慢。
でも、潤んだ瞳がオレを煽る。
甘い声を出しながらオレの名を呼ぶ。
「大丈夫だから……」
彼女は何度もそう言う。
そしてオレはただ「ごめん」としか言えない。
すみれを攫いたい。
一緒に逃げたい。
でも、それは彼女も望んでいない。
何度も何度もキスを交わす。
彼女の柔らかい唇がオレの理性を翻弄する。
彼女にオレを刻み付けるように、何度も何度も攻める。
彼女はそれに応えるように、嬌声を上げながらオレにしがみつく。
終わりたくない。
でも、我慢できない。
そんな贅沢な狭間をオレは何度も行ったりきたりする。
オレは知っている事、全てを彼女の身体に刻み付ける。
この先、オレ以外のヤツとシたって感じないくらい。
オレで満たしてやりたい。
オレでしか感じない身体になるように、あの手この手で彼女を攻め立てた。
これはオレのエゴ。
エゴで縛り付ける。
すみれの身体にオレを深く刻み込んだ。
オレって人間をちゃんと見てくれた人。
オレの分身のような彼女。
一緒の境遇は傷の舐め合いかもしれない。
でも、オレは確かにすみれに愛を感じている。
すみれからもオレに対する愛情が流れてくる。
でも最愛の人はオレから遠く離れていく。
それを後押ししたのはオレ。
この先に待っているのは政略結婚。
そこに愛はない。
オレの全ての愛をすみれに注ぎ込むように、すみれをただひたすら愛した。
オレを忘れてしまわないように。
end
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